小さな女の子
ギルドに到着後、ヒロナさんのところへ向かおうとしたが受付には列が出来ていた。
クエストの達成報告しにきた冒険者たちだろう、そうして待つこと十数分、ようやく俺たちの番になった。
「あら~彼氏さんとレナちゃん~、おつかれさま~。その顔をみると順調だったのかな~?」
「ヒロナさんもお疲れ様です。順調かどうかは初めての冒険でわからないんですがアレス草はそこそことれましたよ。」
そういって俺はギルドカードに収納していたアレス草を受付のテーブルの上に出した。
「わぁ~こんなにアレス草をとってきたんだ~。初冒険の新人さんでこんなにとってきたのは初めてかも~?」
「へぇそうなんですか?幸先いい冒険になったちょっと安心したかも。」
レナさんと比べて落ち込んでいたが新人の中ではいい方だとほめられたようで少しうれしくなった。
「ちょっと群生してたからいいとこ見つけちゃった。
少しは残した方がいいかなと思って全部取り終わってないから明日も集めにいこうかな?」
「なるほど~アレス草の群生ですか~?珍しい場所をみつけたんですね~?」
魔力を帯びているアレス草は魔力が集まるところに生えるかといったらそうでもないらしい。
ポ-ションの材料だから量産の確立をしててもおかしくないだろうけどそうもいかないらしい。
「それじゃ~これは買取いいのかな~?それとも少し残してポーションの材料でもっていく~?」
「そうか、今後の冒険にポーションがいるのか。そうだね、少し残しておこうかな…とはいってもなるべく宿代くらいはあると助かるんですけど…。」
「あら~?レナちゃんの家で夜を楽しむんじゃないんですか~?」
この人はまた俺を揶揄うつもりか…。中身はおっさんじゃないんだろうか?
と思ったらヒロナさん、ふふふふふ、と笑ってない笑顔と冷たい視線が飛んできた…この人も心読めるかな、不用意なこと考えるのはやめよう。
「レナさんにお世話にならずに一緒に生きていくってきめからね。だから済むとこの確保は自分で用意しようと思うんだ。」
そういったらレナさんも同意してくれたようで
「私の家はもともと今朝で出ていく予定でしたので問題ありません。のちほど弟弟子さんのユウちゃんにお譲りする予定でしたので。」
…初耳です。というかここまでレナさんに見通されてる気がする。
「ということは~住むとこは変わっても~一つ屋根の下なのはかわらないのかな~?」
「私はそのつもりでしたけど、悠斗さんのお気持ち次第ですね。できればご飯は私が作りたいですが…。」
少し不安そうにしているレナさん。
正直なところレナさんの料理をたべられるのはありがたい。ただ異世界にきてレナさん以外の料理を食べてないのもまた事実なんだよね…、浮気じゃないよ?ただ気になるというか。
初耳ということもあり今後のことは要相談だな。
「それで~アレス草の買取と宿代ですけど~まず買取ですが~
最近冒険者がなくなる事件も発生してて~ポーションの値段が上がってるんです~。だから買取価格も上乗せしちゃいますね~。
次に~厨房かしてくれる宿はそこそこお値段しますよ~?貸してくれるかも怪しいですが~その辺はレナさんの実績ありますし問題ないと思うます~。」
「それじゃ、今日の厨房かしてくれる宿代分、あ、二部屋分ね。その分だけ買取お願いしてもいいかな?あとはできる限りポーションにまわしてみるよ」
…格好つけてみたもののあまりアレス草は残らなかった。
まぁポーションの材料はレナさんが集めたアレス草で賄うことになったのでヨシとしよう…。
レナさんの方は食料のメイダケをある程度残しつつラプン草をメインに買取をしたようだ。
無事に買取も終わり今後予定をレナさんと相談すると、まずポーションを作りに調合屋へむかうことにしたのがギルドをでると一人の小さな女の子が近づいてきて
「あなたがレナお姉さまの彼氏なんて、ユウが認めないんだから!」
そうして胸のあたりをポコポコと叩いてくる、やってることは可愛いんだが、どうしたものか、とレナさんの方をみると
「こら、ユウちゃん!初対面の人ダメじゃない、ちゃんとあいさつしないとお姉さん怒っちゃうよ~?」」
レナさんの新たな一面に感動しつつほっこりとながめていた。
仲のいい姉妹のようだ。お姉さまと呼ばれているし本当の妹なんだろうか?
「お姉さま、ごめんなさい。ちゃんと話すから許してください。」
そういって俺の方に向いて
「よく聞きなさい、ユウの名前はユウラシア=カーネット。気安くユウラシア様と呼ぶことを許すわ、犬。」
そういったとたん隣にいたレナさんが女の子、ユウラシアのほっぺをつまんだ
「ふふふ、ユウちゃん~?何をいってるのかな~?お姉さん、よく聞こえなかったからもう一度“ちゃんと”挨拶しましょう、ね?」
その言葉を聞いてビクっと背筋を伸ばすユウラシア。少し緊張してるようなので俺も膝を曲げて彼女の視線の高さに合わせて
「俺の名前はユウト。これからよろしくね、ユウラシアちゃん?」
そういって俺は微笑む。
「ユウのことはユウ、でいいよ。えっと…ユウも犬、じゃなくてユウお兄ちゃんと呼ぶね。」
なんだろうか?両極端だが少しは警戒をといてくれたんだろうか?
「同じ“ユウ”なんだね。お揃いだね~これからよろしくね、ユウちゃん」
小さな子供ということもありうっかりとユウちゃんの頭をなでてしまう。
「うん、よろしくね、ユウお兄ちゃん」
そうやって笑う姿は見た目相応の女の子に見えた。
最初のツンツン具合はどこへやら、けっこうなついてくれたようで嬉しくなる。
「それでユウちゃん、俺に何か用事かな?」
「ユウお兄ちゃんに用事というよりはお姉さまに鍵をもらいに来たの。」
「あー、なるほど。レナさんの家に…ってこんな小さな女の子が一人で住んで大丈夫なの!?」
俺の心配をよそに彼女は微笑んでいる。
「ふふ、このユウちゃんは確かに私の弟弟子ですが冒険者では大先輩なんです。
“蒼炎の戦姫”なんてかわいいらしい二つ名でも有名なんですよ?」
うん、かわいらしい、ね。
「もう~レナお姉さま、やめてくださいよ~。私なんて“レナお姉さまの妹”だけで十分です」
そういったユウちゃんは頬っぺに手をあててくねくねしている。
「そういえば二人は本当の姉妹なの?」
疑問に思ったことを聞いたが答えてくれたのはユウちゃんのほうだった。
「ううん、ちがうよ、ユウお兄ちゃん。ユウはずっとね、一人で冒険者やってたけどこの街にきて、レナお姉さまの料理を食べて初めて料理をおいしいと感じたの。
そしておもったの、私もこういった料理を作ってみたいって!
それでお姉さまに弟子入りしようと思ったけど、私も弟子入りしてる身だからって断られちゃった。
それで仕方なくお師匠様のところで修行することになったんだよ」
なるほど、だから弟弟子で、お姉さまと慕うのか。
しかしこんな小さな子が一人で上位冒険者とかやっぱり不思議な世界だな。
ひと段落したところで調合屋に向かうことになったのが、なぜかユウちゃんもついてくることになった
毎日12時30分投稿予定です。
文字数は前後しますが現状話が進まないため2500字程度を予定しております。
ストックがあるわけではなく毎日書いているので、いずれは1話ごとの文字数を多少は減らすかもしれません。
そんな感じで毎日投稿は基本的に守れるようにしていますので、気軽に読んでもらえたら嬉しいです。
ブックマーク等で気にかけてもらえるだけでもうれしいです。
予約投稿せずに投稿してしまったので再投稿です。
追記
明日(2018/11/28)より12時30分投稿に変更致します。
30分お昼休みに推敲をできる範囲でしたのち投稿致します。