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再戦

 

 閉じ込めれたことを理解して真っ先に動いたのは凄腕冒険者の3人。


 ユウラシアは元ペチュニアを。

 ミーシアはアイリスを。

 ウルドはヤグルマギクを。

 それぞれが最高の火力で突破するための武器を構えて最善の選択を考える。


「ここはミーシア殿の一点突破による破壊かユウラシア殿の檻自体の切断が妥当であろうな。

 儂の武器では加速する距離も少ない上に破壊すると周りにも影響が出るからの。」

 そう言って武器の構えを解く。


「わかった(の)!」

 二人は瞬時に理解して攻撃するために魔力を溜め、そして攻撃に移る、その瞬間、

「待て待て待て待て、待つのだ!」

 焦っているような声の主はさっき話していた人で間違いない。


「おじちゃん?」

「閉じ込めたのはすまんかったのぉ。

 だがさすがにルージュ様の加護付きの武器や、その反転させた剣で斬られるとワシでもちょっと痛いだけでは済まん影響が出るからやめてほしいぞい…。」


 焦っていた声もユウラシア達が止まったことにより落ち着きを取り戻したようだ。

「理由を聞いてもいいですかな?」

 常に冷静であったウルドが代表して他の者達の疑問を口にする。


「あの者にとって必要なことなんじゃ。

 見守ってやってはくれぬだろうか?」」

「でもあの魔獣相手にユウト様一人にできないの!」

 悠斗への死の危険なのか、込めた力だけは解除していないミーシアは今にも飛び出したい気持ちを抑え声の主に叫ぶ。


「あの者も弱くはなかろう?」

「そんなことはわかっているの!でもあの魔獣は!」


「そうじゃ。あの魔獣はそこのお嬢さんと二人で倒して、しかもルージュ様の加護無しでは本当に死んでいた。だからこそ必要なのじゃ。」


「どうしてあの魔獣なの?」

「少年はの、というよりも種子持つものは勇者相手にしろ、だれかを相手に超えられぬ壁を感じ、あたかも自分が成長が無意味であると感じるほどにな。」


「それとあの魔獣に何の関係があるの!?」

 本題に入らない相手に苛立ってきたミーシアの表情が少し変わっていく。

「こらっ、シア。落ち着きなさい!」

「わかってるけど悠斗様がっ!!」

 落ち着いてきたユウラシアが未だに不安なミーシアを諌める。


「嬢ちゃん、ここは堪えてくれぬだろうか?

 これが少年が望みであり、少年のためなのじゃ。」

「悠斗様の…?」


「そうじゃ。少年は困ったことに戦ったことある相手が乏しい。

 その中でもっとも自分の成長を実感させるにはあの魔獣以外ありえなかったのじゃ。」


「ほっほっほ、勇者と自分を比べるとは随分と向上心の強いのですな。」

「お主もああいう道を辿っておったんだがのぉ。

 それを弓に入れ込むとは思わなんだ。」

「それを言われると間違っていた、と言われている気がするのですが?」


「いや、すまない。そういうつもりではないのだがの。

 それにお主の生き方もまた女神様の望む形だしの。」


「ねぇねぇ、おじちゃん、その種子を持つものってなんなの?」

「なんじゃ、そのことも話しておらんかったのか。

 それはのーーーー



 話の流れと状況から何がまずいってコイツはインビジブル・ワームイーターを一人で相手しろってことだよね。

 まさかまたコイツと戦うことになるとは思いもしなかった。

 分体の気配を感じないのは不気味だが、魔力感知を維持しつつ土魔術を警戒しよう。


 あの時とは違う。

 火魔術も火炎魔術+炎熱支配、火炎の加護の蒼炎として、更にはアサギリさんのユニークスキルを使って“蒼炎天”として。

 まずは弓の修行のつもりだったから弓をだしていたので仕舞って剣を取り出す。


 鎚も考えたが魔術併用での実戦を試したことないので

 今は剣だ。

 だがあの硬い鎧を壊せるか不安だった。


 まずは不可視を解除のために冥闇魔術を使う。そして感じる違い。

 あの時は朧げにしか見えなかったが今回ははっきりと見える。


 攻略法は一緒で大丈夫そうだ。

 相手が土魔術による石の礫を使ってきた。

 俺は自分に当たりそうなの礫を剣で弾いていく。


 分体がいないとはいえ、前回のように攻撃が当たることはなかった。

 相手の攻撃が止まり、俺は近づき、そして斬る。


 もちろん魔力も込めたし自分の成長を理解しろってことで、前回弾かれた時と同じように攻撃した()()()だった。

 だけどはっきりわかる違いが相手に傷を負わせる結果として理解できた。


(俺、成長してるんだな。)


 魔獣が叫び声を上げる。

 また礫の猛攻が再度始まったが俺は難なく防いでいく。

 成長を理解するために剣で相手をしていたが、このまま長引かせてみんなを閉じ込めたままにするのは忍びなかった。


 剣で相手を追い詰め、動けなくなったところで魔力を込めて蒼炎を発動させ、力を込めるように叫ぶ。

「“蒼炎天!!”」

 肥大化した蒼炎を俺は敵目掛けて投げつける。

 火炎の檻はないものの前回をなぞるように。

 周りに被害が及ばない程度に、だけど敵を倒せる程度に。


 そして決着する。

 意識を失うこともなく、誰も悲しい顔をさせずに。

 苦労すると思っていた敵をここまで楽に倒せるようになってたんだな。


 勇者に負けて、越えたいと願う気持ちとは裏腹に感じる越えられない壁。

 だけど俺は俺、なんだよな。

 あぁ、これが成長してることを実感しろってことなんだな。


 敵を倒せたことを確認できたからか、みんなを閉じ込めてた檻がなくなり一安心してみんなのところへ駆け寄った。

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