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希少武器とレリック品

 

「希少武器になれなかったのがレリック品ってパトからきいたけどどう違うんですか?」

 使ってみて思うんだけど短剣自体はさほどクセが強いとは思えない。


「なんだ兄ちゃん、そんなことも知らずに使ってたいたのか?」

「あははー…、パトからこれ使えと言われたもので…。」

 俺はチラッとパトの方を見るがニコニコ笑顔から崩さない。


「きちんと武器のことを知って、最善の選択をしてやればそれに応えてくれる。

 ただ闇雲に振ればいいじゃないんだぞ?」


 知らなかった、は罪というやつか。

「はい、すみません。」

 俺は素直に謝る。

 世界のことを知るだけでいっぱいいっぱいだったとはいえ武器にも個性がある。

 いろいろなことに目を向けていこう。


「まぁいい。いや、よくはねーがこれから知っていけばいい。

 それで希少武器とレリック品の違いだったな?


 基本的に両方とも六大精霊の棲まうと言われるダンジョンから排出される。

 そしてその二つの違いは精霊の加護だな。」


「精霊の加護?」

「ああ、そうだ。レリック品の大半は加護の力が不安定なせいで希少武器になれなかった。

 あの嬢ちゃん二人が選んだレリック品がそれだな。


 そして兄ちゃんが使ってた剣は逆に加護がきちんと制御できないまま付加されたために過剰暴発で脆くなっている、ということだ。」


「レリック品のほとんどは微精霊レベルの加護が付いているんですよ。」

 付け加えるようにパトが教えてくれた。


「ほう、こと精霊に関してはさすがはエルフだ。

 風精霊の加護下で生き続けただけのことはあるな。」

「風精霊って六大精霊?」


「ええ、風精霊シルフ様。

 リンスレット皇国が水精霊ウンディーネで発展したのとは違い、僕たちエルフの住む里はシルフ様の加護無しでは保って1週間と言われるほど加護なしでは生きられない環境でして、常にシルフ様の加護と共に生きてきました。

 それにもともと精霊魔術に長けていますので精霊が関わっていることにはセンシティブなんです。」


「風精霊にエルフの里か。

 行ってみたいがパトやへーティさんみたいな人がいっぱいいると思うと少し躊躇いがあるな。」

「それってどういう意味ですか?」

 目が笑ってないニコニコ笑顔のままこっちを見ている。


「そのままの意味だったけど伝わらなかったかな?」

 俺も負けじと、言葉通りの意味だと伝える。

 だが結局パトは気にもしてないようで、

「まぁ僕たちは里からでた変わり者ですからね。

 彼らと一緒にしない方がいいと思いますよ。」

 自ら肯定してしまった。


「エルフのことは置いておくとしても、加護がきちんと与えられて初めて希少武器と呼ばれる存在となるんだ。」

「希少武器が加護付きってのはわかりましたけどレリック品がクセが強いというのはどういうことですか?」


「レリック品に限らず希少武器はそれぞれ精霊の個性ってのがあってな、極端な能力になっちまうことがあるんだ。例えばホウセンカだな。

 破城斧と言われるほど魔力を込めた一撃は凄まじい。


 普通は魔力を込め過ぎれば武器は暴発する。

 魔術でもそうだろ?

 だが希少武器は込めれる魔力上限がないに等しい。

 なんせ加護の力で制御できちまうからな。


 それにひきかえレリック品は不安定な精霊の力があるだけで制御ができない。

 あの弓は正確性と威力増強を重視した性能なんだが、魔力を込めた矢を撃つと恐ろしく遅い。

 まともに扱うことすらできない代物なんだよ。」


 なるほど、だから雷の速さなのか。

 とはいえそんな武器を店頭に並べるのはいかがなものかと思うのは俺だけだろうか?

 そう思っていたら、

「なんでそんな武器を店にって顔だな。」

 図星を突かれてしまう。この世界の人は人の考えてることを読まずにはいられないのかな?


「あはは、えっと、まぁそう思ってました…。」

「大した理由はないが、ああいう武器を選ぶ物好きがたまにいるんだよ。

 希少武器になれなかったとはいえ長い年月が経てば希少武器になる可能性もあるしな。」


「希少武器になれる…?」

「大会にでてた嬢ちゃんが持ってるシオンだってそうだぞ?

 もともとレリック品だったからこそ脆さという欠点が残っている。


 本来ならそう言った欠点は希少武器になると無くなるんだが何故かシオンには残っちまったんだよ。

 おかげで希少武器なのに価値がないとかレッテルが昔は酷かったんだぜ?」


 その脆さすらユウちゃんにとっては武器になるからむしろ残ってくれた方が良かったのかもね。

 ただそういう話を聞くとやっぱりシオンはユウちゃんのためだけの武器って感じなんだな。


「ちなみに俺の剣はどういったコンセプトなんですか?」

 知らないことを知っていく一歩として自分の武器について聞くことにしたが、

「あぁ、あの剣か。正直言うが俺にもさっぱり分からん。アレはいろいろな精霊の力が入り組んでてどうしてそういった武器が生まれたか、興味があるが…。」

 チラッとパトの方を見ている。


 武器のことをなんでもわかってそうなジャイロさんすらわからないなら、元の持ち主だし精霊に詳しいなら知ってるかもだしパトに聞くのが一番だな。

「なぁ、パト…

「すみません、僕にもわかりません。」


 なぜか聞こうとする前から遮るように知らないと告げる。

 これは話せないのか、本当に知らなくてただ心を読んで先手を打っただけなのか。

 どちらにしてもパトから聞くことは難しそうだ。


 今は諦めよう。

 それに武器についていろいろ聞けたからあとはお財布の心配が残っている。

 そこが一番の問題なわけだが先送りにするわけにもいかない。

「あの、あの武器はおいくらほどに…。」

「あぁ、そうだったな。あれは…

「あの二つは僕が払いますよ。」

 金額を聞く前にパトが払うと宣言してきた。


「いや、そこまでしてもらうわけには…。」

 嬉しい申し出なのは間違いないがさすがに断るつもりだった。だが、

「僕の依頼、覚えていますよね?そして報酬も。

 ユウトさんに必要なことならサポートを約束しています。それに…。」


「レリック品は欠点が強すぎてそこまで高価なものじゃねーからな。

 おまえさんの大会賞金ですらお釣りがくるレベルだ。

 ちゃんとしたものを選んでくれたら俺もボッタくれたによ。」

 とケラケラ笑いながらパトからお金を受け取り、

「希少武器になったら教えてくれや。

 武器のことならどうなるか気になるからよ。」


 いろいろ知らないことも聞け、千佳や七海さんの武器を手に入れ十分な収穫だった。








痛ましい事件があり、被害者の方々のご冥福をお祈りいたします。

あなた方がこれから作り出したであろう作品はきっと世界を魅了していたでしょう。

それを観れないのは残念です。

もしどこか別の世界があるのならそこでまた…。



京アニ作品を初めて観たのは最終便に間に合わずネットカフェで一泊したときに放送してたCLANNAD afterの13話でした。

もし放送していなければCLANNADに興味をもつことも京都アニメーションに興味を持つことも当分先だったかもしれません。


亡くなった方々が関わったかはわかりませんが、きっかけをくれてありがとうございます。

どうか安らかにお眠りください。


第2第3のあなた方のような悲劇を繰り返さないようにお祈り致します。

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