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それぞれの武器

 

 表に戻ったらすぐにシアはみんなところに戻って話をしているようだ。

 特にユウちゃんは興味津々なようで、

「武器は直ったの?」

「うん、でも斧ではなくなったの!」


「えーどういうことー!?」

「これなの!」

 そう言って見た目はまさにデスサイズ。

 禍々しい鎌を取り出した。

 千佳と七海さんはそのフォルムからか「はははっ…。」と苦笑いを浮かべてる。


 ただそんなことは気にしないユウちゃんは

「なにこれー?」

「持つだけで鎌聖術が付与されるアイリスという名前の武器なの!」


「すっごーい!ユウも持てるの!?」

「ううん、持てないの!

 冥界の女神様の加護がついた私の固有武器になったの!」

「えー!?シアだけずるーい!」


「えへへー、いいでしょー。

 ユウト様と同じ冥界の女神様の加護が付いているんだよ!」

 と今日一番の笑顔でユウちゃんに自慢しているようだ。


「むぅぅぅぅー…。」

 ユウちゃんの方は少し不貞腐れている。

 ルージュさんの加護で助かったという話はしたが俺の加護はもうなくなったんだけど…、とは流石にシアの笑顔をみていたら言えなかった。



 ただ固有武器としてアイリスはシア専用なんだけど、シオンだってほとんどユウちゃん以外扱えない専用武器だと思う。

 公私共にアイリスはシア専用ってのが羨ましいのかな。

 それにいつかはシオンもユウちゃん専用になりそうな気がするんだけどな。


「固有武器は現存で二つのみ、しかもどちらも女神様の加護付きですからね。

 固有武器の条件が女神様の加護だとしたらシオンが固有武器になる可能性があるとは思えません。

 もしあるとしたら智慧の女神様ですがそれは…。」


 俺の考えに否定的な意見を出すパト。

 心の中を読まれたのは最初にもされたから仕方ないと割り切れる。


 それに俺が勇者や魔王と話したことを知っているということは、俺が智慧の女神の加護を持ってることを茉緒が気づいて俺に話したことも知っていて不思議ではない。


 しかし、

「女神様の加護、ねぇ…。」

「プロテア然り、まさか加護付きの武器だったとは思いませんでした。あの慌てようも納得ですね。」

 一緒にいなかったはずのパトが知っている謎。

 これは気にしたら負けなんだろうか?


「あぁ、本当にビックリしたよ、いろいろと。」

 パトのことも、と含みのある言い方をしたが本人は気にするそぶりすらしない。

 少なくとも店に来るまでは本人も興味があると言っていたから知らなかったはずだ。


 ジャイロさんが話したことで本人も知ることができた?

 だとしたら、あの場にいた?

 いや、千佳や七海さんの武器選びを手伝っててこの部屋にいたみたいだしそれはないか。


 ……俺になにか憑けてる的な!?

 とかくだらないことを考え、頭から追い出そうとしたら、

「まさかその答えに行き着くとは思いませんでした。」

「…え?」


「いえ、なんでもありません。

 それより僕としてはどうして斧から鎌になったのか気になるんですが。」

「さらっと流せないことを言われた気がしたんだが…?」


「気にしないのが一番ですよ。

 それにサポートを約束しましたし足枷になるようなことはしませんから。」

「ったく、わかったよ。それでなんで鎌かって言われてもな…。

 斧だったホウセンカが望んだから、じゃないのか?」


「それなら鎌である必要がないとは思いませんか?

 武器術を付与できるなら今まで使ってた斧聖術でいいと思います。


 ホウセンカが望み、ミーシアさんのためだと言うならなおさらです。

 それを使い慣れていない鎌に鎌聖術を付与してまで鎌である理由は気になりますね。」


「そうは言ってもな…、あえて言うなら冥界の女神様の加護だからなんじゃないの?」

「どうして冥界の女神様の加護だからなんです?」

「え?だって冥界の女神って名前的に死神的な…?」


「死神、ですか…?」

 ピンとこないようで首を傾げている。

 これがカルチャーショックというやつか。


 わかってもらえない寂しさをよそに、

「冥界の女神様の趣味なんじゃない?」

 と、投げやりな回答しかでてこなかった。


「それはともかく千佳や七海さんの武器選びを手伝っていたようだけど何か良いのがあったの?」

「良いか悪いかはともかくお二人の武器選びは終わりましたよ。

 あとはジャイロさん待ちだったのです。」


「それでどんな武器を選んだんだ?」

「チカさんは弓でナナミさんは長杖ですよ。」


 七海さんは魔術メインでわかるが千佳が弓なのに違和感しかない。

 俺が知っている千佳は弓道はやったことなかった。

 千佳が望んで適性があれば叶う世界だから弓に憧れてたりしてたのだろうか?



「どうして千佳は弓を選んだんだ?」

「お二人に関して僕は何の武器を使っていたか知っていましたからアドバイスしただけですよ。

 もっとも、武器は全く同じものではなかったですけどね。」


 そうか、過去に会っているということで使っている武器を知っていたのか。要するに、

「なるほど、カンニングしてたのか。」

「なっ!?人聞きの悪いことを言わないでください!!」

 俺の一言はパトを動揺させるには十分だったようだ。

 散々心を読まれたお返しには足りないが少し勝った気分だった。


 しかし()()千佳はこうしてパトに弓を勧められて使うんだろうが、過去にパトが会っているという千佳はどうして弓を使い始めたのだろうか?



 過去にいた千佳も勧められて使ったというなら、パトから教えてもらったのが先か、千佳自身が使い始めたのが先か。

 ニワトリと卵みたいだな、とか思っていると、

「チカさん自身が先だと思いますよ。」

 パトが俺の疑問に答えてくれた。


「……せめて口に出した後に答えてほしいんだけど…。」

「ふふ、ごめんなさい。」

 笑って誤魔化そうとしている。

 さっき勝った気でいた俺への反撃なのだろう。

 口喧嘩しても勝てない相手がいるようにパトに勝つのは無理な気がする。

 うん、おとなしく勝つのは諦めよう。


「なんでそう思う?」

「召喚された日にジューザさんに質問していた内容に魔術以外での適性もありました。

 そして武闘大会一回戦第4試合、彼らの戦いを見ていますから自分なりの答えに行き着いたと予想できますね。」

 …そこにいなかったよね?

 もう余計な皺が増える気がするし話さなくて済む、と考えよう。


 それは置いておくとしても、

「勇者が使ってた魔術の矢か。」

「はい、雷の速さと弓は相性がいいですからね。

 それにあの弓そのものも速さという性能で欠点を補えます。」


「武器に欠点?」

「あの武器は…

 パトが説明してくれようとしたところで、

「なんだ、わざわざレリック品を選んだのか?」

 ジャイロさんが割って入ってきた。


 パトから譲り受けた(自称)短剣もレリック品だったが、レリック品は希少武器になれなかった武器としか知らない。

 そう言えばホウセンカを預けに来た時もクセの強い、と言っていたし何かあるのかな?

 この際だから聞いてみよう。

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