表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/169

1回戦終了

GW1日1話(予定)です。


 

「届かなかった、か。」

 悔しそうにうなだれるウルドさんに勇者は近づき、

「君は強い。あの時の魔王や誕生したばかりの魔王なんかよりもずっとね。

 もうあの時の幻影に苦しむ必要はない。

 それに魔王がいれば僕が倒す。」

「やはり覚えて…!?」

「さぁね。」

 その言葉を最後に勇者は去っていった。



「ちょっとレベルが違いすぎませんかね?」

 もう乾いた笑いすら出てこない。

 盛り上がる会場とは逆に現実逃避したくなる現状。

 うん、これは無理だ。勝とうなんて烏滸がましい。


「ユウラシアちゃんは勝てそう?」

 千佳も気になったのかユウちゃんに聞いているが、

「どうかな?蒼炎で時間稼ぎはできてもたぶん対応されて負けちゃうかな?

 剣聖術は見てないからよくわかんないけど、ユウの剣でもたぶんあのプロテアは斬れないと思うよ。」


「あはは…、バランスおかしい人が一人だけ出場してる大会に、自分が出てる時の気持ちがよくわかったよ。」

 絶望感に打ち拉がれる俺とは対照的に、

「決勝のことは決勝に上がった時考えればいいんだよ!

 今大事なのはお姉様の料理だよ!さっかえろっ!」


 勇者の強さよりレナさんの料理か。

 ユウちゃんらしいなと、少しだけ勇者の強さを目の当たりにして落ち込んでいたが、その元気をもらうことになった。



 今日一日の試合も終わり宿への帰路、

「あっ、することできたからユウ、ちょっといくね!

 お姉様!料理はユウが帰ってからだからね!」

「遅くならないように、ですからね。」

「うん♪」

 と、元気よく手を振りながら別方向へと走っていく。


「どうしたんだろう?」

「ふふふっ、今日のご飯は一人増えるかもしれませんね。」

 何か気づいてるのかレナさんが微笑んでいる。


「ユウちゃんの知り合いでもいたのかな?」

「女の子がまた増えるのは考えものですが、ユウちゃんにとってもあの子にとっても大事なことですからね。」

 意味有りげに言いながら結局、「お楽しみです。」と言う言葉で教えてくれることはなかった。


 そんなこともあり宿についた俺たちは手持ち無沙汰、とは行かず千佳に洗いざらいスキルについて吐かされた。


「なるほどね。あんたがちょっと特殊ってことだけはわかったわ。

 必要な情報としてちゃんと覚えておくよ。

 他に隠してることないわよね?」


 なぜ俺は千佳に脅されながらスキルのことを話しているのだろうか?

 しかも正座させられて俺を悪者扱いか!


「ただいまーっ!」

 そんな疑問を抱えたがユウちゃんが帰ってきたことで解放されることになった。

 いつもユウちゃんに助けられてばかりだな。


「おかえりユウちゃん。用事は終わったの?」

「うん!それと今日は一人増えるけどいいかな?」


「レナさんから聞いていたけど知り合いでもいたの?」

「うーん、知り合いというか…、友達?うん、友達!」


 友達か。ユウちゃんの同い年くらいの友達見たことなかったから少し親の気持ちのように感動してしまった。

 可愛らしい感じだがやっぱり蒼炎の戦姫ということで同年代の子たちには警戒されているんじゃないかと心配していた。


「それでその子はもう来てるの?」

「うん、来てるのはきてるんだけど…。

 シア!入っておいで!」

 その言葉を聞いてか、ドアの向こうからひょこっと顔が出てくる。

 俺たちも見知ったその顔は、1回戦の時は違う少しだけ緊張しつつ怯えた表情をしている。


「ユウ、やっぱり私はいいの…。」

「そんなこといいから、さっさと入る!」

 と彼女の後ろに回り込み部屋へ押して入れた。


 彼女はモジモジしながら俺たちを見渡している。

「ユ、ユウ…?」

「まずは自己紹介からだよ!」


 一応俺たちも名前は知っているが話したことないから自己紹介からすることになった。

「……ミーシア=リンスレットなの。」

 緊張からか短い自己紹介となったが、一番最初に返事をしたのはレナさんだった。


 レナさんは視線を合わせるように膝を曲げ、

「私の名前はリーファレナ=リスアミィです。

 リーファでもレナでも、お好きなように呼んでいいですからね。

 これからよろしくお願いしますね、ミーシアさん。」


「…えっと、ユウ?」

「お姉様だよ!」

「やっぱりそうなの。私のことはシアと呼んでいいの。

 そのかわり私もお姉様って呼びたいの!」


 その言葉に少し表情が固まるレナさんと、笑ってしまった俺がいた。

「……ダメなの?」

 不安そうな表情がよりあからさまになったのを気づき、

「えっと、シアちゃん。好きなようにと言いましたので構いませんが、私だとわかるように呼んでいただければそれでいいですよ。」

 少し諦めっぽく言っているがやはり優しいお姉様だ。


「レナお姉様!」

「はい、なんですか?」

「レナお姉様!!」

 そう言ってばさっと抱きついている。

「料理すごく美味しかったの!今度は私の分も作って欲しいの!お金はいっぱいあるの!」


「ふふっ、ユウちゃんと同じことを言うんですね。」

「むぅーそうだったかな?」


「お金も素材もユウちゃんが用意するからってせがまれたのを覚えていますよ。」

「えへへ、だんだん思い出してきたよ。

 今思えばそんなことしなくてもお姉様は作ってくれるのにね。」


「はい。だからシアちゃん。お金はいりませんよ。」

「本当に?」

「はい、だからいっぱい食べてくださいね。」

「うん!」


 1回戦までの彼女とは別人のような顔をしている。

 少しずつ変わっていければと思っていたが、こんな笑顔を見せれるくらい回復したのかな?


 ここまで劇的に変化するとレナさんの料理は劇薬か何かと勘違いしそう。

 そんな失礼なことは頭から放り出して残りの俺たちも自己紹介をすることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ