受付嬢とギルドマスター
これ以上変な情報を頭に入れると冒険にでるのが怖くなりそうだ。
二大剣使いなんて危なそうな情報はそっと右耳から左耳へと通り過ぎていった。
「あの、そろそろ、冒険者のクエストのことを説明してほしいんだけど?」
俺は受付嬢のヒロナさんにお願いをした。
「あ~ごめんね~彼氏さん。うんとね~ここはクエスト受ける場所であったり~?
成否報告してくる場所であったり~?素材買取もやってるよ~?」
なぜ疑問形なんだろうか?そもそもまだ彼氏ですらない。
なぜだろう会話するだけでどんどん突っ込み箇所が増えていく受付嬢。
おっとりタイプなしゃべり方のマイペース。これも慣れていけばスルースキルも身についていくだろう。
「ただ~、冒険者を始めるにはまず冒険者登録を正式におこなわないといけないよ~?
ギルドの地下にある水晶に魔力を込めるか魔術をぶつけるだけでいいんだけど~、彼氏さんは魔力をあつかえるのかな~?」
「そう、それです!魔力を扱えるようになるためにここにきたんです!」
俺は当初の目的を頭の隅におき、大事なことを聞いた。
「あれ~彼氏さん、魔術に興味津々ですか??まだ使えないってことでいいのかな~?
そうだね~、そしたらまず~、魔術の使い方覚えましょうか~。」
「はい、ぜひともお願いします!」
レナさんに確認せずに話を進めてしまったが、正式登録しないとクエスト受け取れないなら魔力の使い方を覚えるのは最優先事項といえる。
でもそうなってくるとレナさんはどうやって登録したんだろう?魔力を持っていないってことだったけどどうやって登録したんだろうか?
「レナさんはどうやって登録したの?」
「あ、その…私は…魔術素養は高かったので…以前共有スキルを持っていた方に魔力をお借りして、その、水晶に魔術をぶつけて登録できました。」
その時のことを思い出しているのか、申し訳なさそうにヒロナさんを見ている。
「あはは~あんな方法でも登録できたんだよね~、ギルマスが大丈夫だって言ったからレナさんは気にすることないよ~。
全力全開でやらないといけないのは魔力の時でも一緒だっていうんだし~?
水晶は無事だったんだし~?。無事登録もできたから結果オーライだよ~。
それに~?全責任は取ってくれたから大丈夫~?」
魔術をぶつけて登録とは思い切ったことをしたものだ。
しかしレナさんの顔を見てると突っ込んではいけない気がする。
「ま~、やんちゃした昔ばなしするにはまだはやすぎるかな~?
それじゃ~彼氏さんの魔力使い方覚えてもらおうかな~?」
そういってヒロナさんは奥の部屋に案内してくれた。
部屋にノックをして返事を待ってから部屋に入る。
「マスター、お客さんだよ~魔力の使い方がわからない彼氏さんだよ~」
案内された部屋に入ると魔術とは無縁そうなマッチョ男性がいた。
「ほう?ヒロナちゃんの彼氏かい?」
睨んでらっしゃる、すごく睨んでる。そしてこれさっきもやった流れだ。
しかも今度は相手がヒロナさんになってるのはもうそういう運命なのかな…?
「もう~マスター違うよ~?レナちゃんの彼氏だよ~?
ほら~マスターが変な勘違いしちゃうからレナちゃんが悲しんじゃったじゃないですか~?」
すぐに訂正してくれるヒロナさん。その情報も間違っているんですが…。
そういわれるとうろたえるギルドマスター。
「レ、レナちゃんもきてたのかい?それよりもヒロナちゃんそれを先にいってよ!
ヒロナちゃんの彼氏かと思って勘違いしたよ!
ということは、そこの少年が今日来る予定の異世界人か」
スッと目を細めて俺を見つめた。
「ほう、なるほどなるほど。面白い存在だな。」
「鑑定でもつかったのですか?」
「いーや?鑑定は使えない筆頭スキルだからな。ジューザの嬢ちゃんくらいだよ、あんな鑑定特化スキルもちはな。
長年、人を見てるからなんとなくわかる程度さ。」
ジューザさんを嬢ちゃん呼ばわりとは…この人は見た目以上の歳なんだろうか?
そんな疑問が思っているとニカっと笑って
「おめぇ今俺の歳を気にしただろ?」
「!!どうしてそれを?」
まさか読心系のスキルか?と思ってたら
「なに、さっきも言った通り俺は多くの人間を観察してきたからな。少年くらいの歳くらいなら手に取るようにわかるぞ?」
異世界怖い。経験で人の心読むとかどれだけ生きて、どれだけ人を見てくればできるんだろうか?
「それで少年、名前はなんだ?」
「名前は悠斗柳、今日から冒険者になりたくてここにきました!よろしくお願いします!」
「カッカッカッ、そうかそうか、ユウトか。俺の名前はニコラ・レン・レッティー。
わかっていると思うがここのギルドマスターだ。お前さんたちを管理するものだ。」
カッコつけていってくるギルドマスター、ニコラさん。
だがしかしそのカッコよさもヒロナさんの一言で崩れることとなった
「な・に・が、管理するもの、ですか~?フフフフフ~、面白い冗談ですね~?」
おっとりマイペースヒロナさんの威圧感が場を支配していた。
「いや、その、ははは…立場上間違ってない、だろう?。」
「それは~ちゃんと仕事してくれるってことですか~?」
「はい!誠心誠意がんばらせていただきます!」
ギルドマスターを手玉に取るニコニコ笑顔のヒロナさん。
たぶんこの人は怒らせてはいけない人筆頭だろう、と心のメモに書いておくのだった。
「それじゃ~最初のお仕事、レナちゃんの彼氏に魔力の使い方をおしえてあげてくださいね~?」
おっとりマイペースだけど仕事はきっちり、なのかここに来た目的に話題を戻してくれるのだった。
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