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ひなげしの花咲く丘で  作者: yuuHi
第三部 ~五月祭は、春の歌と花冠をきみに~
181/513





「はじめてお目にかかった瞬間から心奪われ、自分でもどうにもならないのです。叶わぬ想いとは承知しております……承知しているからこそ、後生でございます。これから先、あなたのいない場所で生きていけるよう、どうぞ今宵一夜――一夜だけでかまいません……わたしを愛していただけませんか。そうでなければ、わたしは明日から息をすることさえできません」


 ジャンヌの青白い頬を、涙が伝う。

 涙はやがて、リオネルの服に染みて、その胸元を濃い色に染める。


 燭台の炎が、揺らめきながら二人の姿を照らし出したが、リオネルの整った顔には深い影が差していた。


「わたしには、愛する女性ひとがいます」


 穏やかに、けれどはっきりと、リオネルは答える。

 しかし、その言葉によってジャンヌの決意が揺らぐことはなかった。


「存じております……それでもよいのです。お願いでございます。一度だけでかまいません。わたしに、リオネル様を忘れ得ぬ思い出をください」


 彼女が、リオネルの愛する女性とはだれのことだと思っているのか、それはわからない。

 もしくはそれが具体的にどこのだれかなどということは、彼女にとってはどうでもよいことだったのかもしれない。


「そのようなことをすれば、ティエリー殿に、私はどのように顔向けすればよいのでしょう?」

「これは、兄の望みでもあるに違いありません」


 最後のジャンヌの返答には、わずかな迷いがあるように聞こえた。

 けれど、彼女自身のなかでそれを誤魔化すように、ジャンヌはいっそう強くリオネルに抱きつき、懇願する。


「お願いです、リオネル様。胸が張り裂けるようなこの苦しみから、わたしを救ってください。父を失い絶望の淵にいるわたくしに、生きる力をお与えください――」


 途切れそうなほど切なく、また激しい訴えだった。


 瞼を伏せたリオネルの頬に、長い睫毛の影が落ちかかる。

 ずっとティエリーの妹に抱きつかれたまま身動きせずにいたリオネルだが、なにかを決心したように、腕に力を入れる。――そして、ジャンヌを抱きしめ返した。


 緊張の糸が切れたように、ジャンヌの身体から力が抜ける。

 ……ようやく願いが聞き入れられたことを悟ったからだ。


 その身体をリオネルは支え、抱き上げる。

 青年は、愛する人を思い出した。

 幾度も抱き上げたアベルの身体は、ジャンヌよりさらに軽く頼りなく、どうしようもないくらいの不安に駆りたてられた。


 そんなことを考えながら、ジャンヌの身体を寝台に横たえる。

 リオネルの艶やかな茶色の髪が、ジャンヌの額にかかった。


 なにかを期待するように目を閉じたジャンヌに、リオネルは告げる。


「口づけはしません。それは、真に愛する人にするものですから」


 うっすらと瞳を開いたジャンヌが、微笑する。まるで自嘲するように。


「……容赦がないのですね」

「貴女のためでもありますよ」


 どういう意味かと聞き返そうとしたとき、リオネルが騎士の命ともいえる長剣と短剣をたやすく自らの腰から外したので、ジャンヌは口をつぐみ、息を呑んでその様子を見守った。


 それから、リオネルは留め金を外して上衣だけを脱ぐと、そっとジャンヌの上に被さる。

 リオネルの右手が、ジャンヌの左手を絡め取る。もう片方の手がジャンヌの背にまわり、ドレスのリボンがひとつずつほどかれていった。


 ジャンヌの鼓動が高まる。

 これから起こることへの緊張から、身動きひとつできない。先程までの積極的な態度を示す余裕はもはや残されていないが、ここまでこぎつければ、もうその必要もなかった。


 このときを、あの日からずっと待っていたのだ。

 どのような方法でもかまわなかった。

 ――相手を寝台に誘い込み、丸腰にすることができれば。


 丁寧だが手際良くドレスを脱がされ、ジャンヌは下着だけの姿になる。

 リオネルがジャンヌの肩に顔をうずめたとき。


 ――武術の心得のない娘が、剣豪と名高い相手に勝つためには、この方法しかなかった。


 心臓が早鐘を打つ。


 ジャンヌは枕の下に忍ばせてあった抜身の短剣に手を伸ばすと、それを自らの身体に寄り添う青年の背中に向けて、力のかぎりに振り落とした。


 刃先は、激しく震えていた。


 躊躇とも、恐怖とも絶望ともつかぬ感情が、彼女のなかで弾ける。

 けれど、手を止めるわけにはいかない。ずっと計画してきたことなのだから。


 この瞬間に計画はすべて成功するのだと、ジャンヌは自分に言い聞かせ、暗殺を遂行しようとした。


 ……だが信じられないことが起きた。


 視覚でとらえられないほどの速さだった。

 背中に刃が触れる間際に、油断しきっていると思っていた相手が、するりと身をひるがえして攻撃を避けたのだ。渾身の力をこめた短剣をジャンヌが直ちに止められるはずもなく、それは自らの腹部へと迷いなく落ちていく。


 ジャンヌは、自らの手で自分は死んでいくのだと、一瞬のうちに思った。

 ――死にゆく恐怖と、奇妙な安堵が、彼女のなかで同時に交じり合う。


 しかし次の瞬間、彼女の手首は、寸でのところでリオネルにしっかりと握られていた。


 さらにジャンヌの手からすかさず短剣を奪い取ったのは、リオネルではなく、燃えるような赤毛の騎士。

 ベルトランは、無言で奪い取った短剣を、背後にいるディルクに放り投げる。


 ジャンヌからあらゆる危険から遠ざかった。


「おっと、危ないなあ」


 短剣を受けとったディルクが、迷惑そうに言ったが、その呑気な声音が、この部屋に漂う緊迫した空気とは不釣り合いだった。


 いったいいつから彼らがこの部屋にいたのか、ジャンヌにはまったくわからない。

 信じられないものを見るように、ジャンヌは彼らへ視線を向けた。


「親友の濡れ場を見るのは、これが最初で最後であってほしいものだよ」


 受け取った短剣を弄びながら言うディルクは、冗談めかしてはいたが、明らかに警戒心を滲ませている。それは紛うことなく、ジャンヌに対して向けられた警戒心だ。


 一方、露骨に冷やかな態度で接してきたのは、ベルトランであった。


「ジャンヌ様、なぜこのようなことを?」


 ジャンヌは皆の視線から逃れるようにうつむく。

 計画の失敗――つまり、リオネルを殺せなかったことに、むしろ安堵している自分がいることに気がつくと、ジャンヌはどうにもならないほど惨めな気持になった。


 自分がなにをしようとしていたのか、なにをしたかったのか、それさえもわからなくなってくる。


 ようやく発した声は、周囲が聞き逃しそうなほど小さな声だった。


「いつから気がついていたのですか?」

「貴女にはじめてお会いしたときからです」


 ベルトランの冷たい声音が、痛みを伴って胸に響く。

 顔を上げたジャンヌは、苦い表情のなかに哀しみを織り交ぜ、ベルトランではなくリオネルを見やる。


「あなたも気づいていたのですね」

「ええ」


 リオネルは自らが先程脱いだ上着を拾いあげ、下着姿のジャンヌに手渡す。


「貴女の真意を知りながら、失礼な真似をしたことをお詫びします」


 謝罪されると余計に虚しさが込み上げ、泣きそうになるのをこらえてジャンヌは唇を噛んだ。

 すべて、自分のひとり芝居だったとは。


「……知っていながら、なぜわたしの芝居につきあってくださったのですか?」

「ここまでこなければ、私たちは貴女の立てた計画そのものを知ることはできませんでした。それに――」


 寂しげにリオネルは笑んだ。


「私の命を奪おうとするそのときまでに、貴女のお気持ちが変わることを、私は密かに願っていました」


 顔を背けたジャンヌの頬に、ぽつりと涙が落ちる。

 自分が、この人を失望させたのだということが、なぜだか無性に哀しい。


 流れたのは、今度こそ本物の涙だった。


「ずるいことをおっしゃるのですね。父の命を奪っておいて」


 訪れた静寂は、凍りついたように冷たい。ジャンヌの言葉が、部屋にいた皆の胸に小波さざなみを立てたことは確かだった。


 ジャンヌにとっては、ひと言口にしてしまえば己の思いを語るのは容易なことだった。


「あなたが死ねばよかったのです。父ではなく、あなたが――」


 寝台から降りたジャンヌは、リオネルの服の胸元を掴んで言い放つ。


「なぜ父は死ななければならなかったのですか? 兄も、あの様子ではいずれ父の二の舞になります。あなたの命にどのような価値があるというのです? 正統な王家の血筋がなんだというのです。そんなものは、わたくしにとってはなんの意味もないこと。あなたなんて生まれてこなければよかったのに!」


 刃のような言葉に刺されながら、リオネルは寂しげにジャンヌを見下ろしていた。


 苦しんでいるのは、だれしも同じだ。リオネルもまた、そのひとりである。

 けれど、リオネルはひと言呟いただけだった。


「すまない」


 ――生まれてきて、すまない。


「そんな言葉はいりません。教えてください、なぜ父は死ななければならなかったのか……これ以上、わたしから大切な人を奪わないでください」


 涙を流して訴えるジャンヌに、リオネルは返す言葉が見つからない。

 ただ、瞳を細め、眉を寄せて、なにかに耐えている。

 リオネルの苦しみを救おうとしたのは、彼の忠実な家臣だった。


「ティエリー殿の妹君であっても、それ以上の暴言はお控え願いたい。言葉を続けるおつもりなら、貴女を別の部屋にお連れします」


 ベルトランはジャンヌの肩を掴み、リオネルから引きはがす。

 するとジャンヌは、噛みつくようにベルトランに向かって言葉をぶつけた。


「かまいません、いっそこのままわたくしを殺してください。どのみち、このことが知れれば、兄はわたしを赦さないでしょうから」

「これ以上、私たちがティエリー殿を哀しませることができるとお思いですか?」

「兄は哀しみません――リオネル様が助かったのですから、兄にとってその他のことは小さなことにすぎません。わたしはどのみち、リオネル様に続き、ジェルヴェーズ殿下に同じ方法で復讐を果たせば、死ぬつもりだったのです。それが叶わぬ今、いつ死のうが変わりありません」

「馬鹿なことを言うな」


 よく通る声が響き、ジャンヌは、はっとする。


 皆が視線を向けた先、扉口にはティエリーが立っていた。

 彼の傍らにはマチアスがいる。マチアスがティエリーに、事の次第を伝えたのだった。


 ティエリーは落ち着いた歩調で妹に歩み寄る。

 そして、ジャンヌの頬を両手で包みこむと、もう一度言い放った。


 しかし今度は、館中に響きわたるような大声で、叫んだのだ。

 馬鹿なことを言うな――と。


 呆然としたジャンヌが、大きく両目を見開き、ティエリーを見上げる。

 涙も乾くようなティエリーの声だった。


「おれはおまえを愛している。おまえは、ただひとりの家族だ」


 ジャンヌは口を開きかけたが、声は出ない。


「おまえがもしリオネル様を害するようなことがあれば、おれはおまえを赦しはしない。だが、おまえがその罪を死をもって償う運命にあったなら、そのあと迷いなくおれも死ぬだろう」


 見開いた瞳に、驚きの色をたたえて、ジャンヌは兄を見つめた。


「――どれかひとつではないんだ。なにもかもが繋がっている。リオネル様を殺せば、ジェルヴェーズ殿下を殺せば、おまえは幸せになれたか? おれは幸せか? 違うだろう、それはおまえが一番わかっているはずだ。父上が殺されたときの苦悩を知るおまえが一番わかっているはずだ。――どこかで止めなければ、憎しみは連鎖する。哀しみは、何倍にもなって広がり、また自分のもとへ戻ってくるだけだ。おれは、そのことをシュザン様から気づかされた」


 徐々にジャンヌの表情がゆるみ、そして少女のような泣き顔に変わっていく。


「それに、おまえは根本的に間違っているよ。真剣に質問をするから、よく考えて答えてくれ。……リオネル様の死を、おまえは真に願ったのか?」


 ジャンヌの喉から嗚咽が漏れた。


「リオネル様になんの咎がある? この方が、おまえになにをしたというのだ。リオネル様は、私たちの希望だ。――今夜の宴でも言ったはずだが、お血筋だけではない。父上やおれが敬愛してやまないのは、クレティアン様やリオネル様がそなえている、王としての気質。リオネル様がお亡くなりになれば、シャルムの希望は失われる。だからこそ、父上はリオネル様を守ろうとしたんだ。それは、リオネル様の罪か? そうではないことを、おまえは、本当はわかっているのだろう?」


 なにも答えることができない妹の瞳を、ティエリーは覗きこむように見つめ、優しく言う。


「ジャンヌ」


 はたはたと涙を流しながら、ジャンヌは兄の呼びかけに小さくうなずいた。


「おれは、ジャンヌという娘を赤ん坊のころから知っている。おれの知っているジャンヌは、優しい心根の女の子だ。故なく断罪され、生まれてきたことを謝罪せねばならない者の気持ちがわからないほど、おまえは父上の死で変わってしまったのか? 人の痛みさえわからなくなってしまったのか? もしそうなら、おれの愛する妹は、父上の死と共に天国に逝ってしまったのだと考えるとしよう」


 ジャンヌの瞳からは、止めどない涙が流れていたが、ティエリーの瞳もまた潤んでいた。

 もはや自分で身体を支えられなくなって、その場に崩れ落ちかけたジャンヌを、ティエリーは支え起こし、問いかける。


「私の愛する妹は、死んだのか?」


 救いを求めるように、ジャンヌは泣きながら首を横に振った。

 声は出ない。

 ただひたすら首を横に振り続ける。


「おまえはまだ私の知っているジャンヌなんだね」


 ティエリーが確認すると、さらにジャンヌは涙を流した。

 それが返事だった。


「ならば、リオネル様に謝罪しなさい。それから、深く反省するんだ。私の知っているジャンヌならば、自分の犯した罪の深さを、己の良心によって罰することができるはずだ」


 彼がそう言い終えたとき、ふとジャンヌはなにかが途切れたように目を細める。その表情は、深く安堵しているように見えた。気を失い、ジャンヌは兄の腕に倒れこむ。


 ティエリーは無言で妹の身体を受けとめ、それを抱いたまま、己の考えに沈みこむようにしばし項垂れた。

 しかしだれかが声をかけるより先に、彼は妹を抱いたままリオネルのまえにひざまずく。


「申しわけございませんでした……!」


 かすれた声を絞り出すように、彼は謝罪した。


「妹の罪は私の罪、どうぞ私を罰してください。そして、勝手な願いと知りつつ、後生でございます。どうか、妹をお赦しくださいませ」


 額が床につくのではないかというほどに頭を下げるティエリーの目前に、リオネルは片膝をつく。そして、ティエリーの肩に手を置き、顔を上げさせた。


 苦しげなティエリーの瞳と、たとえようのない色をたたえたリオネルの瞳がぶつかりあう。


「ティエリー殿、今夜はなにも起こっていません。楽しい宴を、皆で過ごしただけです。それではいけませんか?」

「そういうわけにはまいりません、リオネル様。貴方様のお命が奪われていたかもしれないのです。私の館で、取り返しのつかない事態を招くところでした。私を厳しくご処分ください」


 相手の頑なな態度に、リオネルの顔はわずかに困惑の色を浮かべたが、発せられた声は穏やかだった。


「ならば、今夜は私も罰せられなければなりません。私は貴方の許しを得ず、妹君の衣服を脱がしたのですから」

「そ、それは……」


 ティエリーは返答に窮して、束の間、言葉を切った。


「……それは、妹が仕組み、けしかけたこと。リオネル様は、それに従ったに過ぎません」

「けれど、脱がせた事実に変わりはありません」

「…………」


 ひどく困った顔で、ティエリーは黙り込む。

 そんなティエリーに、リオネルは整った眉を下げてほほえんで見せた。


「ティエリー殿、私には愛する人がいます。その人に今夜のことをけっして知られたくないのです。もし私の罪を赦してくださるのであれば、今夜はなにも起こらなかったことにしていただけませんか? ――他でもない、恋しい相手に嫌われることが怖くて仕方のない私のために」


 かすかに笑んでから、ティエリーはうつむき、そして涙を流した。


「ありがとうございます……」


 リオネルの言葉は、たしかにティエリーの心をほぐした。


 どうしても罰してほしいというティエリーに対し、ジャンヌのためではなく自らのために今夜はなにもなかったことにしてほしいと頼むリオネル。このように頼まれれば、ティエリーが断れるはずない。

 巧みな言葉づかいで、さりげなく相手を救わんとする彼の優しさが、ティエリーの胸を打つ。


「はい、今宵は、なにも起こっておりません……楽しい宴の夜でした」


 妹の髪に額を寄せ、ティエリーは震える声で言った。


「今夜のような三日月のせいで、迷子の妖精がひとり、月から落ちて彷徨っていたのかもしれないね」


 先程のリオネルの台詞をからかうように、明るい声音で言ったのはディルクである。

 けれどそんな親友に救われたように、リオネルはようやく素朴な笑顔を見せる。


 リオネルのそばで、ベルトランが小さく溜息をつき、


「妖精とやらが、帰る場所を見つけたのはよかったが、とにかくさっきは寿命が縮んだぞ」


 と、渋い声でぼやいた。


「まあまあ、もう終わったことだし」


 ディルクが、ベルトランをなだめる。


「本当に、申し訳ございませんでした」


 もう一度、ティエリーが一同に向けて深く頭を下げようとすると、マチアスが彼の腕を支えて、そっと立ち上がらせた。


「マチアス殿?」

「もう謝罪は必要ないのです、ティエリー様。今夜は、なにも起きなかったのですから」


 泣きそうな顔でティエリーは微笑し、


「ありがとうございます」


 と、だれにともなくつぶやいた。


 その様子にかすかに笑んでから、ふと、月はどこへ行っていしまったのだろうと、リオネルは窓を見やった。


 ――あなたが死ねばよかったのです。父ではなく、あなたが――。


 ジャンヌの声が、耳から離れない。

 すべてが円満に解決したはずなのに、その声だけが生々しく耳に残り、リオネルの魂を粉々に砕こうとする。


 月が、見えない。

 あの優しい光はどこへ行ってしまったのかと、リオネルはもう一度、夜空を探す。


 月光に焦がれた。

 あの人を、想った。

 まっすぐな眼差しを思い浮かべて、心のなかでつぶやく。

 自分は、生まれてきてよかったのだろうか、と。


 全幅の信頼を寄せるあの眼差しが、怖くもあり、けれど限りなく愛しくて。

 ……今すぐ会いたいと願った。











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