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記憶

 獣山三鷹と田中京子は対極のような生まれだった。


 __獣山三鷹は恵まれていた。財力も人脈も才能も生まれた時から決定されていた。


 __田中京子は恵まれていなかった。生まれてすぐ親に捨てられ孤児院でもいじめに遭い頭もいい方ではなった。


 __獣山三鷹は暗かった。誰よりも恵まれた人生に誰よりも退屈をしていた。


 __田中京子は明るかった。いじめに遭っても恨まずそれどころかいじめの主犯とも仲良くしようとした。


 __獣山三鷹は人を信じなかった。


 __田中京子は人を信じた。



 そんな正反対の生き方をしていた二人は大学で出会った。

 最初は同じ講義でたまたま隣になっただけだった。

 そして、たまたま田中京子が話しかけた。


 そんなありきたりな出会いだった。


 二人は何故だか惹かれあった。

 人は自分と反対の性格に引かれるという、ただそんな心理が作用しただけなのかもしれない。

 たまたま、互いが互いに足りない部分を補い合えた。


 そんな『たまたま』が重なった。

 それがきっと、彼と彼女にとっての『運命』だった。


 そんな二人が好き合い、結婚し、子を持つというのは自然の成り行きだったのかもしれない。


 実際、そこに行きつくまでにはそこには数々のドラマが合ったのだろうが、それは彼女と彼にしか分からない。


 そして、二人の間に生まれた子供には『田中(たなか)佐鳥(さとり)』と名付けられた。

 その名前にもきっと、二人の愛を込めた意味が込められているのだろうが、それも彼女と彼にしか分からない。


 田中佐鳥が生まれて5年が経った時、田中京子・三鷹は事故に遭った。

 その時、一緒に車に乗っていた田中佐鳥は三鷹に庇われ一命を取り留めた。

 その時、サトリは右目を失明し記憶障害になった。


 その後、病院から退院したサトリは田中京子の親友であった三河(みかわ)(みさき)に引き取られた。


 サトリにとっての記憶は病院からが始まりだった。





「__だから、獣山財閥はあなたの父親の三鷹君の実家よ……。いえ、三鷹君は破門されているから実家ではないわね」


 サトリは混乱していた。

 知らなかった。いや、知っていたはずだ。

 失った記憶のせいで実の父や母の事は朧げにしか覚えていない。



__『「でも、なぜか、あなたを疑えないんです」』


__『「私の家は特殊な力を持ってる人が多くて」』


__『「君があの『佐鳥君』だったなんてね」』


__『「うそ……。獣山家にあんな事をされて、それなのに恨んでないの? 憎くないの?」』


__『お前のような奴が__を名乗るな』



 バラバラになった記憶のピースが少しずつハマっていく感覚。

 訳が分からない。頭が痛い。涙が出る。何も考えたくないのにどんどん記憶が整理されていく。


 やめて、痛い。




__『お前のような者が――獣山――を名乗るな』







「___あああああああああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁっぁ!!!!!!!!!」





 頭を抱えて崩れる。意識も体も。

 咲とお母さんが駆け寄って何かを言っているけど、何も聞こえない。

 僕の意識はそこで切れた。

お久しぶりです。

この話を書くのに色々読み返したり、初期に書いていた適当な設定を探して今の設定と合わせたりしていました。

あと、入試とかもありました。合格しました。いえい

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