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お話

  __ジリリリリリ!!! ガチャ……

 朝六時、いつも通りに目覚ましの音が鳴る。

 僕は目覚ましを止めて、ベットから起き上がる。

 正直、昨日はあまり寝れなくて眠い。

 原因は……


『今日は月が綺麗だな……』


『死ぬのは少し待ってて欲しい……!』


 昨日のアレだ。

 あれって、やっぱり告白じゃなかったのかな……。

 ただ単に月が綺麗だっただけなのかな……。

 昔ラジオで『夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と略した逸話から、月が綺麗ですねとは意中の相手に気持ちを伝える告白の言葉として使われているそうです』と聞いたことがあったから告白だと思いこんじゃって……。

 だから、返事によく使われる「私、死んでもいい」を少し変えた言い回しをしたけど……。

 あの反応はやっぱり、告白のつもりが無かったんだろう。


 そうだよね。建斗が僕なんかを好きになる訳がないもんね。


 とりあえず、学校に行く準備しなきゃ。

 いつものように学校に行く準備を済ませた僕は、誰も居ない家に「行ってきます」と言って出る。

 今日は咲もお母さんも朝早くから用事があるみたいで先に出た。


「おはよう、サトリ君」


 玄関を出ると突然声を掛けられビックリした。


「い、犬子ちゃん?」

「うん」

「どうして犬子ちゃんが家の前に?」

「学校だと言いにくいから……学校の前に言っておこうと思って」


 あれ、話が通じてない?


「サトリ君、今日の放課後、うちに来て__」


 手を掴まれた。答えるまで逃さないという事だろう。

 いきなり家に呼ばれるって、前みたいに勉強手伝ってとかかな。

 それくらいなら別にいいけど、遅くなるならお母さんに連絡しないといけないとだし。


「大丈夫だけど……何時頃まで?」

「そこまで遅くならない」

「ん……じゃあ、いいよ」


 僕がそう言うと犬子ちゃんは僕の手を離す。


「ありがとう……」


 なんだか一瞬、犬子ちゃんの声が暗かった。

 気のせいかな。


「それじゃ、学校行こ」

「うん」


 そう言えば、誰かと一緒に登校するって咲以外とは初めてな気がする。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※



 放課後。

 そう言えば、犬子ちゃんが家に来てって言ってたっけ?

 遅くはならないって言ってたけど、早くいかないと遅くなっちゃうだろうな。

 僕は鞄を持って、いつでも出れるようにする。


「サトリ、今日一緒に帰らないか?」


 建斗が話し掛けてきた。


「ごめん。今日は用事がある」

「あ、そうなのか……。分かった! じゃ、また明日な!」


 建斗の足音が教室から聞こえなくなった瞬間、小さな足音が近づいてきた。


「建斗ちゃん帰ったね」


 足音の正体は犬子ちゃんだ。


「じゃ、行こ」

「うん」


 僕は机にかけてある杖を持って、犬子ちゃんについて行く。

 前に、目を開けていた時に犬子ちゃんのお家には一回行っているから大体の道は分かる。


 そう言えばこの前、犬子ちゃんの家に行った時、なぜか僕の能力が犬子ちゃんにバレていた。

 あれから会う機会が殆どなかったし、あっても他の誰かもいる状況だったからなんでバレてたのか聞けなかったけど……。


 今なら聞けるんじゃないか。


「ねぇ、犬子ちゃん」

「なに」

「犬子ちゃんはどうして……僕の心を読む力を知ってたの……?」


 僕が聞くと犬子ちゃんの足音がピタッと止まる。


「……それについても家で話す」


 犬子ちゃんが一瞬、少しだけ言い淀んだように感じた。


「分かった」


 僕は、そんな犬子ちゃんについて行く。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※



 犬子ちゃんのお家に着いた。それにしても23階建てマンションの最上階、それも一番奥の部屋って……前も思ったけど犬子ちゃんのお家って凄いお金持ちなんだな。


 それに……猫子ちゃんの力も関係してる気がする。

 あれも、一応超能力って事になるのかな。願っただけで大金が手に入る能力。


「__あれっ!? なんでサトリさんがうちに!?」

「あ、こんにちは猫子ちゃん」


 凄い驚かれた。犬子ちゃん、もしかして僕が来ること言ってなかったの。


「猫子、居間で話がある」

「えっ、お話、うん分かった。すぐにお茶とお菓子の用意する」

「サトリくん、居間はこっち」


 犬子ちゃんが声で先導してくれる。

 それにしても、この家、広いんだなぁ。

 前はリビングで勉強したけど、居間まであるんだ。

 それに犬子ちゃんと猫子ちゃんの部屋……家賃とか聞くのってマナー違反かな。


「どうかした? 座っていいよ」

「あ、うん。ありがとう」


 足元にふかふかした何かがある。座布団だよね。

 僕は座布団に座る。

 僕が座るとコンコンとノックの音が聞こえる。


「お茶とお菓子持ってきたよ」

「ありがとう猫子。猫子もそこに座って」

「う、うん」


 そろそろお話が始まるのかな。


「突然だけどサトリくん。お願い」


 お願い?


「お、お姉ちゃん!?」


 猫子ちゃんが何故か驚いた声を上げる。

 な、何かあったのかな。


「__私達と一緒に獣山家を潰して……!」


 ……え?

 僕は驚きで数秒動けなくなった。

 そもそも……獣山家って何?

この物語は次回から色々と終盤に向かって動き出します

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