建斗の告白作戦(前半戦)
朝、五時頃。俺は目を覚ます。いつも通りの時間、いつも通りの朝……だけど、今日は俺にとって特別な日だ。
サトリにこ、こ、告白する日……!! 今までの俺とは一味違う。
昨日、ラブレターを妹に手伝ってもらって書いた。今までの気持ちを言えなかった思いを書いた。
ね、寝起きなのにドキドキが止まらない。だ、駄目だ。このままじゃサトリに会う前にドキドキで倒れちまう。
台所で顔を洗い。朝飯と弁当の準備を始める。
「建斗姉上おはようございます」
「ん、あぁ、おはよう宗谷」
「うわっ!? 建斗姉上、なんですかその隈!? もしかして昨日寝ていないのですか!?」
え、隈? 確かに、昨日はドキドキして全然寝れなかったが……。
というか宗谷、引きすぎだ。お姉ちゃん少しショックだぞ。昨日はあんなに仲良くラブレターを書いたのに。
いや、無理矢理手伝わせたと言えばそれも間違ってないけど。
「ドキドキして寝れんかった」
「健児か!?」
※健児→この世界で言う乙女の男バージョン。
「おいおい、私は立派な女だぞ。健児とは失礼な」
「いやいや……片思いの相手のことを思ってラブレターを書いて、渡すことを考えて寝れなくなるって……今時少年漫画でもそんなベタベタな健児描きませんよ?」
失礼な……。確かにラブレターは書いたし、サトリに渡すことを考えてドキドキで寝れなくなったがそれはアレだ。
そう、アレだ。(言い訳が思いつかない)
「ほら、それより早く部活行かないといけないんだろ。弁当は用意したから早く行け」
「全く……建斗姉上、あまり焦りすぎなくてもいいんですからね?」
「……」
いってきます、と言って宗谷は出ていく。
分かってるよ。本当はこんなに焦らなくても良いんだってことは……。
実際、サトリに今一番近いのは俺だ。でも、それでも……
「このままじゃ前に進めねぇだろ……」
「このままじゃ前に進めねぇだろだって……カックイイ~」
「せやなぁ~」
海斗姉さんとおふくろがドアから顔をはみ出してニヤニヤした顔で俺を見ていた。
……き、聞かれた。
「よっ、青春娘!」
「そのまま止まらないで爆発しろ!」
「……コロス」
__この日、俺は初めておふくろと海斗姉さんに勝った。
おふくろにボディーブロー、海斗姉さんにデンプシーロールを決めてから家を出た。
今日はなんだか学校までの道のりが長く感じる。
それに一歩踏み出すたびにドキドキが増していく。俺の心臓破裂するんじゃないか?
「建斗ちゃんおはよ~」
「あっ、ぴゃい!?」
後ろから声をかけられ驚きのあまり回し蹴りをしてしまった。
だが、紙一重で避けられた。
「うわぁっ!? あっぶなぁ!?」
「な、なんだ……神ヶ埼か、脅かせんなよ」
「そのセリフ……そっくりそのまま返してげるよ~」
神ヶ埼はなぜか怒った顔をしている。
「それより建斗ちゃんはどうしたんだい~? いつもにもまして覇気があるように感じるけど~」
「……うっ」
俺の予想が正しければ神ヶ埼はサトリを狙っている。
俺が告白するつもりだと言えば、妨害をしてくるかもしれない。
だが、ここで話さなかったらこいつの性格的にしつこそうだ。
「だ……誰にも言うなよ……」
「ん?」
俺は、神ヶ埼に事情を話した__
「__なるほどねぇ。告白かぁ」
「だ、誰にも言うなよ……恥ずかしいから」
「(なんか可愛いな今日の建斗ちゃん)分かってるよ~プライバシープライバシー」
なんか、信用はできないが、約束したし守ってくれるだろう。
もし誰かに喋ったら……その時は容赦しないが……。
気がつけばこの作品、九十話を超えそう!?
ここまで続けられているのも皆様、読者様のおかげです!
ありがとうございます!!




