バレた
「んじゃ、次行くぞ」
「「「「女王様だ〜れだ」」」」
また一番だ。
そして、女王様は。
「シャァッ! 俺だぜ!」
「くっ、二回連続はなかった」
健斗が女王様か。
『ふっ、ついに俺が女王だ。棒の番号と形は暗記している』
健斗、それは少しズルじゃない?
でも、そうか。
確かに、棒は割り箸を使っているみたいだし、よく見たら違いもわかる。
「それじゃ、命令だ。1番は俺に壁ドンされてもらうぜ」
「壁ドン?」
壁ドン……言葉の響きから壁に何かをするのはわかる。
俺に壁ドンされる……ドン……叩く……もしかして、僕を壁に叩きつけるとか!?
そ、それは、少し嫌だな。
「迷いない選択……健斗ちゃん。もしかしてズルとかしてない?」
「なっ、し、してねぇよ」
ダウト。
僕は心の中で呟いて立ち上がる。
叩きつけられるとしても健斗なら優しくしてくれるだろう。
「それじゃあ、サトリ。壁に背中をつけてくれ」
「優しくしてね。健斗」
健斗の顔が赤くなる。
そして、顔には『初夜かッ!』と書いてある。
はつよる? しょや、かな?
「んじゃ、いくぜ」
「んっ」
健斗の右手が僕の右耳をかすめて壁を“ドンッ”とついた。
健斗の顔がいつもより近い。
これが壁ドン?
……
……
……
しばらくの沈黙。
どう反応していいかわからない僕は健斗の顔を見る。
『……なんか思ってたのと違うな』
健斗が何を思って壁ドンをしたのかわからないけど、失敗したみたいだ。
『それにしてもサトリ……。なんか違和感があるな』
え、も、もしかして、僕が女になっている事がバレた。
『んー、なんだろう』
健斗の顔が近づいてくる。
そうか、女性になってるってことは顔も変わってる可能性があるのか。
盲点だった。
「なぁ、サトリ」
「なに……?」
あぁ、これは気付かれた。
「__なんで、目が開いているんだ?」
健斗のセリフは僕の予想の斜め上のものだった。
そして、冷や汗の量が先ほどまで数倍になった。
スランプです。
本当に申し訳ありません。




