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王子様抱っこ

「私が女王様」

「なっ、お姉ちゃんが……!?」

「崇め奉れ。愚民ども」

「すげぇ、一気に調子乗りやがった」


 どうやら女王様は犬子ちゃんらしい。

 犬子ちゃんか、少し不安かも。

 いや、決して悪い人じゃないんだけど……考えが掴みにくいというか。

 いまいち何をしたいのかが分からないから。


「それじゃあ、1番の人が女王様に__」


 ぼ、僕だ。


「王子様抱っこされる」

「王子様抱っこ?」


 知らない言葉だ。

 王子様抱っこ、聞いたことあるようなないような。

 でも、前に聞いたのは少し違った気がする。

 具体的に言うと男か女かという違い。


「1番はサトリ君だよね?」

「う、うん。そうだけど。王子様抱っこって何?」


 犬子ちゃんが立ち上がり、僕に近づいてくる。

 僕もうつむいた状態から顔を上げて犬子ちゃんの顔を見る。


「サトリくん、立って」『座ってたら抱っこできない』

「う、うん」


 僕は立ち上がる。


「それじゃあ、行くよ」


 犬子ちゃんが僕の腰と太ももの辺りに手をまわす。

 腕には力が入っているが、見た目通りすごく弱い。

 例えるなら幼稚園児に押されてる感覚だ。幼稚園児に押されたことないけど。


「……サトリくん、重い」

「男にそんなことを言うなよ」

「お姉ちゃんが弱すぎるだけじゃないの?」


 あ、もしかして、僕を持ち上げたかったのかな。

 流石に二十センチ近くの身長差がある上に女の子の犬子ちゃんが僕を持ち上げるのは無理だと思う。

 あ、そうだ。


「よい、しょ」

「ふえっ」


 僕は犬子ちゃんがしたように腰と太ももの辺りに手をまわす。

 そして、一気に持ち上げた。

 犬子ちゃんは少し驚いた顔をしている。

 建斗と猫子ちゃんも驚いた顔をしている。


「あ、あわわわわ」『ステイ。落ち着け私。なぜサトリくんに王子様抱っこされているのか考えるの。いや、この場合はお姫様抱っこ? サトリくんの事だから、私が抱っこできないなら僕がすればいいんじゃ? とかの謎理論で抱っこしたんだろう。力持ちの男の子は素敵ハッキリわかった。私の性癖がまた増えた瞬間であった』


 犬子ちゃんが凄く錯乱している。

 顔に写る文字が一秒も立たずに変わっていく。

 よ、読むのが追いつかない。


『これは、あれか。今まで私が理解できなかった物の一つ【おにロリ】というやつか。あ、お兄ちゃん✕ロリっ子の略の事ね。いや、私とサトリくん同い年だけど』


『お、お姉ちゃんめ。羨ましい。おにロリは私の推しジャンルなのにぃ』


『羨ましくなんかない。羨ましくなんかない。羨ましくなんかない__』


 全員の考えてる事を見るが意味がわからなかった。

 でも、僕がやっちゃいけないことをしているんだろうな。ということだけは分かった。

 そう思った僕は犬子ちゃんをゆっくり戻した。

 その時、犬子ちゃんが一瞬、残念そうな顔。

 というか、『残念』と書いた顔をしていた。

 リアルが忙しすぎる。

 FGOの夏イベの周回が忙しすぎる。


 はい、後者は遊びです。本当にごめんなさい。

 しかし、夏イベガチャで限定キャラを三体出してしまった僕にはキャラを育てる義務が……義務が!!


 はい、これから執筆に勤しみます。

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