健斗の葛藤
お待たせして申し訳ありませんでいた。
リアルの都合で一週間ほどパソコンに触れず!
これからはまた投稿ペース戻します。
一方その頃。
サトリの部屋に一人残った健斗は、羞恥に悶えていた。
なぜ、あんなにベタでつまらないおばさんギャグを言ってしまったのか。
「あぁ、俺のバカ野郎!」
健斗は背もたれにしていたサトリのベットに顔を埋める。
(あ、いい匂い)
健斗の鼻に香ってくるサトリの匂い。
男特有のいい匂い、フェロモンに健斗は顔を赤らめる。
「じゃねえだろうが!! 変態か俺は!?」
状況だけ見られたら変態だろう。
そんな事を言いつつも健斗はサトリのベットから顔を離さない。
(このまま寝てしまいたい)
健斗の表情は幸せに満ちていた。
「じゃねぇだろうが!?」
健斗はバッと顔をベットから離した。
息遣いは荒く顔は真っ赤だ。
そんな、顔を上げた健斗の目に『とある物』が飛び込んできた。
(こ、これは……)
健斗はその『とある物』、『サトリの枕』を手に取った。
「な、俺は何を……!」
健斗はいつの間にか自分の顔に近づいてきているサトリの枕を見て驚いた顔をする。
しかし、健斗の欲望に支配された行動は止まらない。
健斗はそのまま、サトリの枕に顔を埋めた。
(さ、サトリの枕……)
自分のやっていることが変態的で、はたから見れば恥辱にまみれているのは理解している。
だが、顔を真っ赤にしながらもサトリの枕から顔を離せない。
「……健斗ちゃん。何しているの……?」
「ぎゃああああ!!!?」
健斗は枕から顔を離し、後ろを振り返る。
そこには首を傾げたサトリ、少々の軽蔑を帯びた目を向けてくる獣山姉妹。
健斗の顔は青ざめていく。
「ち、違うんだサトリ!」
「え……。違うって何が?」
「その、あれなんだ。寝不足なんだ!」
「健斗ちゃん。それは嘘が下手すぎ」
サトリは健斗に近づいていく。
健斗は涙目で、『終わった』と確信していた。
「それなら、枕だけじゃなくてベットで寝てもいいよ?」
「……え」
サトリは優しい顔でそう言った。
予想外の返しに健斗だけでなく、猫子も犬子も驚いた顔をする。
「い、いや、せっかく遊びに来たから寝ないぜ?」
「そう、ありがとう健斗」
「お、おう」
健斗の心は罪悪感で一杯だ。
先ほどまでの下心全開の自分をぶん殴りたいと思っていた。
※ ※ サトリ視点 ※ ※
「ところで、なんで獣山姉妹が来てるんだ?」
「それはこっちのセリフ」
僕たちは円を作るように座っている。
僕の正面には健斗、右には犬子ちゃん、左には猫子ちゃんだ。
そして、なぜか犬子ちゃんと健斗は一触即発な雰囲気になっている。
二人ってもしかして仲悪いのかな。
でも、前学校で普通に話してたし。
「お、俺は遊びに来たんだよ」
「本当に?」
疑り深い目で健斗の事を見る犬子ちゃん。
健斗は冷や汗を流している。
そして、なぜか猫子ちゃんは僕の顔を凝視している。
猫子ちゃんの顔には『いい』と書かれてる。
何が『いい』の?
「ほ、本当だよ! な、サトリ?」
「うん。そうだね」
何して遊ぶかは決めてなかったけど。
「で、何して遊んでたの?」
『私も気になる』
猫子ちゃんは相変わらず、他人とは喋れないみたいだ。
顔に気になるとは書いてるけど声には出さない。
「な、それは今から決めるところだ」
「ふーん。あ、じゃあ」
犬子ちゃんが背負っているカバンを下ろし、ガサゴソと漁り始める。
そして、犬子ちゃんはカバンの中から4本の棒を取り出した。
その棒には、それぞれ先端に文字が書かれていて『王女』『1』『2』『3』のと書かれている。
「おい、犬子。それってもしかして」
「そう、女王様ゲームだよ__」
女王様ゲーム?
「あれ、サトリ君知らない?」
「うん」
「女王様ゲームっていうのはね。まず、クジで女王様を決めて、番号に命令する」
「命令?」
「うん、命令は何でもいい。番号は引いた人しかわからないから誰がどんな命令をされるかはわからない」
け、結構怖そうな遊びだ。
なぜか一瞬、玲さんの顔が脳裏をよぎった。
「習うより、慣れろ。やってみる?」
正直、少し怖そうだから遠慮したいけど。
他に遊べるものとかもないし。
それに
『お、女王様の命令は絶対……』
『だめ猫子。そういうのは付き合ってからじゃないと……でも……』
他の二人は結構乗り気だ。
ここで、僕が断るわけにはいかない。
僕は少し躊躇しながら頷いた。
「じゃあ、女王様を決めよう」
女王様って、僕男だから女王様にはなれ……いや、今は女の子だった。
女王様になれるんだった。
「引く時は、『女王様はだ〜れ?』って言いながら引くのがルール」
「わかった」
「じゃあ、みんなやろう」
全員が配置に着く。
犬子ちゃんは手に持った棒をジャラジャラと混ぜる。
「じゃあ、せーの」
「「「「女王様はだ〜れ?」」」」
僕は恐る恐る引いた棒を見る。
<2>
僕は女王様じゃなかった。
僕は周りを見る。
瞬間、僕はやってしまったと自己嫌悪に陥る。
『わ、私が女王だ……!』
『く、3番か』
『1番……誰が女王?』
僕の心を読める力を使えば、全員の引いたものがわかってしまう。
しまった。これじゃあ、ずるじゃないか。
遊びはルールを守って遊ぶから遊び。
でも、今回は僕が女王じゃないし、次から気をつければ許されるはず。
僕はこれから顔を見ないようにしようと、俯いた。
「私が、女王」
「なっ、獣山妹か」
「猫子、運のいい子」
僕は先に知ってしまっていたが、知らなかった顔をする。
罪悪感がすごい。
「じゃあ、早速行きます。『1番の人は私と手を繋ぐ!』」
「1番は私」
そういうと、犬子ちゃんは立ち上がり猫子ちゃんの方に行く。
なるほど、そういう平和的なお願いもあるのか。
僕は横目でチラッと犬子ちゃんと猫子ちゃんを見た。
二人は手を握っている。
猫子ちゃんの顔には『ハズれた』って書いてあったけど王女様だし、当たりじゃないの?
「そんじゃ次だな。犬子は手が塞がってるから俺が混ぜるぞ」
健斗は全員から棒を回収して混ぜる。
「それじゃあ」
「「「「女王様はだ〜れ?」」」」
健斗の手に握られている棒を一つ取った。
棒には『1』と書かれている。
僕は俯きながら、ドキドキする。
仲悪そうに見えて、夏休みの間ちょくちょく遊んでた犬子と健斗であった。(主にサトリのことで話していた)
後編でも終わらなかったのでサブタイを変えます。
PS.FGO楽しすぎる。




