性別逆転能力
超能力の解明。
玲さん曰く、それはロマンであり危険でもある。
世界には沢山の超能力者がおり、自分の能力に気づいてないだけで超能力を持つものもいる。
僕みたいに見ただけで発動する能力もあれば、道具を用意して始めて発動できる能力もある。
それを調べるのが僕と天美さんの仕事だ。
「おはよう。サトリ君」
「おはよう」
お昼前、丁度お母さんと咲が居ない時に天美さんが訪ねてきた。
夏だからか薄手の服を着ている。
肩のあたりまで肌が見え、日焼け跡なんかはない。
こう見ると、本当に健斗の日焼けと違って色素が黒いんだという事が分かる。
「早速、解明を始めようと思ってきたよ」
「分かった。入って」
僕は天美さんを部屋に入れる。
天美さんは部屋に入ると一枚の札を取り出した。
「解明って具体的に何するの?」
「あぁ、説明は少し難しいかもね。僕の能力の事を一から話さないといけないし、見てもらった方が早いね」
天美さんは読めない文字の書いてある札を千切った。
「__発動」
「……」
何も起こらない。
「__発動!」
「……」
またしても何も起こらない
「__発動!!」
「……」
またまたしても何も起こらない。
床には千切った紙が散らばっている。
片付けはしてくれるのかな?
「何も、起こらないねッ……!?」
体に電流が走るかのような痛みが。
痛い、主に胸と股間の辺りが痛い。
僕は耐えられないほどの痛みにうずくまり、両肩を押さえる。
「さっ、サトリ君! どうしたの!?」
「胸と、股間が痛い……」
「む、胸!? 股間!!?」
天美さんは何もできずに心配している。
痛みは数分続き、やっと収まった。
「……サトリ、君?」
「収まった……」
あれ、何か違和感がある。
いつもより僕の声が高い?
僕は自分の体を見る。
僕の体はいつもよりも細く、くびれている。
そして、胸にほのかな膨らみを感じる。
そして、逆に股間に膨らみを感じない。
「……ねぇ、天美さん」
「何、サトリ君」
僕はTシャツの襟を軽く広げで体を見る。
「サトリ君!? は、鼻血が出てるよ!?」
僕は自分の体を見て確信する。
__僕、女の子になってる。
何を言ってるのか分からないかもしれないけど、それは僕も思ってる。
多分、きっと、先程の超能力の影響だろう。
「僕、女の子になってる」
「え。えぇ!?」
僕は鼻にティッシュを詰める。
「もしかして、超能力の影響なのかな?」
「そうだね。まさか性別を変えるとは、予想外だったよ」
天美さんは僕に近づいて、じっくりと観察する。
「少し、触ってもいいかい?」
「うん」
天美さんは僕のくびれている腰を優しく撫でるように触る。
少しこそばゆいが我慢だ。
「__あんっ!」
天美さんが胸に触れた瞬間、変な声を出してしまう。
僕は咄嗟に口を押える。
な、なんだろう。
一瞬、全身に電気が走ったような。
「あっ、んっ、天美さっん! ストッブ……ッ!」
「あ、ごめん。つい夢中になって」『なんで女の子になってもこんなに可愛いんだ』
天美さんはモミモミと僕の胸を揉みまくった。
僕は両手を床に付けて、息を切らした。
「さて、取りあえずこれからどうしようか……」
「どうしようかって、戻せないの?」
「いや、戻せるけどね。そのためには一回、この能力を持ってる人に合わないといけないんだ」
あ、そうか。
戻すにはもう一回この能力を持ってる人に能力を借りなきゃいけないのか。
じゃあ、それまで僕はこのまま。
「僕は急いで取りに行ってくるよ。それでも一日はかかるから、その間なんとか隠し通してくれないかい?」
「一日……それくらいなら」
大丈夫かな……。
大丈夫だと思う。
大丈夫だったらいいな。
「それじゃあ、待っててね。__瞬間移動能力符」
天美さんが目の前から消える。
「どうしよう……」
書いてて楽しい。
楽しすぎて、映画見に行きます。




