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温泉編『二日目(前半)』

偽名【神ヶ埼天美】本名【神ヶ埼アミ】

 ホテルのレストラン。

 朝はバイキングをしているみたいで、目の見えない僕でも店員さんに言えば取ってきてくれる。

 少し、申し訳ない気もするけどこれがあの人達の仕事だしね。


「それにしても、本当に私達以外にお客さんいないのね」

「うん。不思議」


 ここはホテルに初めて泊まる僕でも分かるくらい良いホテルだ。

 サービスは行き届いてるし、従業員さんの声はいつでも明るいし、ご飯はとてもおいしいし、非の打ち所がない。

 それなのに昨日から今日まで僕たち以外の声は聞いてない。


「おう、サトリ~」

「お、これは三河さん。おはようございます」


 健斗と、健斗のお母さんの声が聞こえてくる。

 二人の足音しか聞こえないけど、他の二人はどうしたんだろう。


「あ、佐藤さん。おはようございます」

「ははは、俺の事は謙介でいいですよ」

「じゃあ、私の事も岬と呼んでください」

「はい。では、岬さん。良ければ朝食ご一緒しても?」

「……どうぞ」


 少しの間が合ったけど許可した。

 良かった。お母さんもそんなに嫌ってるわけじゃないんだ。


「他の人はどうしたの?」

「あぁ、寝坊だよ。昨日、結構夜更かししてたしな」

「健斗は、早起きなんだね」

「俺は、朝のトレーニングもあるしな。夜更かしくらいで俺の習慣は崩れないって事だ」


 偉いな健斗。

 僕は目覚ましがないと寝坊しちゃう。

 携帯の目覚まし機能のおかげで起きれたけど、目覚ましないと僕って起きられないんじゃないな?


「あ、そう言えばサトリ。今日はどうするんだ?」

「今日は、ぶらぶらする」

「ぶらぶら? 行く場所は特に決まってないのか?」

「うん」


 決まっていない訳ではないが、どうしても行くとかじゃなく行けたら行くとか行ってみたいくらいの感覚だ。

 お母さんは「旅行なんて大体の予定を立てて自由にする方が楽しいのよ」と言ってたし、今回の旅行はなんとなくの予定しか立ててない。


「それなら俺達と同じですね」

「そちらも予定を決めてないんですか?」

「旅行なんて大体の予定を立てて自由にする方が楽しいんですよ。まぁ、健斗以外の二人はしっかり予定を立てて別行動するみたいですが」


 あれ、お母さんと健斗のお母さんって気が合うんじゃないかな。

 言ってる事がほとんど一緒だ。


「あ、そうだ。一緒に行動しますか?」


 健斗のお母さんの提案。

 僕は良いと思う。


「う……。そうですね。私はサトリに任せます」


 え、僕が決めていいの?

 じゃあ__

 すみません。

 最近、体調が悪いので短いです。

 すみません。

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