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猫子の秘密

書き直しました

 お洋服屋さんで服を買っているうちに、午後三時を越えていた。

 通りでお腹が空いたわけだ。

 お洋服には興味がなかった僕があのお店にならまた行きたい。


 まぁ、そんなわけでお昼を三時間も越えてお腹の空いた僕と猫子ちゃんは、お昼を食べようとイタリアンのお店に入った。


「お腹空きましたね」

「うん」


 このお店のメニューは親切にも点字が打ってある。

 そして僕は指でなぞり、メニューを確認する。


「ジューシーハンバーグのハンバーガー」

「あ、サトリさんもそれにしますか?」

「うん」


 ハンバーガーってことは手で持ってたべれるし、この点字だけ他のより大きく打ってある。

 多分、このお店の押しメニューなんだろう。


 食べる物が決まると猫子ちゃんが店員さんを呼んで注文してくれた。


「猫子ちゃん、大丈夫……?」

「注文くらい、大丈夫、です……」


 猫子ちゃんの息が少し荒い。

 猫子ちゃん、頑張ってるなぁ。


「……」

「……」


 沈黙の時間。

 話す話題が無い。

 というか、僕のトーク力がないだけかもしれない。


「あの」

「ん?」


 猫子ちゃんが沈黙を破ってくれた。


「サトリさんは、私の事、どう思います?」

「どうって?」

「その、言動とか……気持ち悪かったりしませんか?」


 気持ち悪いなんて思ったことないけど。

 むしろ、頑張り屋さんな可愛い子だと思う。


「猫子ちゃんは気持ち悪くないよ。頑張り屋さんで素敵な子だよ」

「素敵……っ!?」

「猫子ちゃんは僕の事、どう思う?」


 猫子ちゃんに聞かれ、僕も少しだけ自分がどう思われてるのか気になってしまった。


「えっと、その、おかしいと思うかもですけど。私、サトリさんの事お兄ちゃんが居たらこんなだったのかなって、思いました……」

「お兄ちゃん?」

「なんか、最初からあまんまり他人っぽくなくて」

「僕、妹いるからかも」


 お兄ちゃんっぽい事あんまりした事ないけど。

 やっぱり、お兄ちゃん特有のオーラというのがあるのかもしれない。


「妹さんいるんですね」

「うん、義理だけど……最近は仲良いよ」


 そう、最近は咲と仲がいい。すごく嬉しい。


「そうなんですか……」


 猫子ちゃんの声が少しだけ暗くなる。

 どうしたんだろう?


「どうかしたの?」

「あの、サトリさん……超能力って信じますか?」

「えっ?」


 いきなりどうしたんだろう。

 超能力を信じるかって言われても、僕自身が超能力者みたいなものだし。

 信じるかどうかと聞かれれば。


「信じるよ」

「そうですか……。じゃあ、これからする話バカにしないで聞いてください」

「ん?」


 僕は首を傾げる。

 先ほどより、猫子ちゃんの声が真剣になったからだ。


「私、『超能力者』なんです」

「……そうなんだ……」


 ……って、えぇぇ!!?

 え、もしかして、猫子ちゃんも心読めるの!?

 僕は内心驚き、心拍数が上がる。


「私の家は特殊な力を持ってる人が多くて、特に私は人間離れした力を持ってるんです」

「人間離れした能力……」


 僕はゴクリと生唾を飲む。


「私は、『お金を引き寄せる体質』なんです。それも数千万から数億円単位で」

「えっ……」


 僕は猫子ちゃんの能力に腰拍子抜けにも似た感情を覚える。

 超能力って言うからもっと物理的なものを想像してた。

 物を浮かせるとか、僕みたいに心が読めるとか。


「すごい……」

「あれ、なんか反応薄くないですか!?」

「なんというか、能力というより、運って感じだね」

「え、もっとなんかないんですか!?」


 何かないんですかと聞かれても何にもない。

 あ、だから、さっき『私、お金持ってますよ』って言ってたのか。

 確かに、そんな単位でお金を稼げるならお金には困らないね。


「む、もしかして信じてないんですか?」

「え」

「じゃあ、直接見せますよ! はっ!!」


 別に信じてるんだけど。

 僕、あまりお金には興味ないから薄い反応かもだけど。


「__そこの女の子!!」

「来たっ!」


 女の人の声が聞こえた瞬間、猫子ちゃんがまってまっしたと声を出した。


「すまないが、事情を聞かずに二千万入ったこのアタッシュケースを貰ってくれ!」

「はい、いいですよ」


 女の人はそう言ってどこかに行ってしまう。

 すると、女の人を追うように足音が聞こえて、僕たちには見向きもせずにどこかに行ってしまう。

 僕はいきなりの事で何も言えずに驚いている。


「どうですか?」

「……なんか、すごい」


 驚きすぎて僕はそれしか言えない。


「本当に、二千万貰ったの?」

「はい。あ、要りますか?」

「いや、いらない」


 そんな、怖いお金もらえないよ。

 それに、そんな大金持っても使い道ないし。


「そうですか……。まぁ、これは慈善団体にで寄付しておきます」


 二千万をそんな軽い気持ちで寄付する人初めて見たよ。


「それで、なんで猫子ちゃんは、そんなこと話したの?」

「その、お友達は隠し事をしてはいけないって雑誌で書いてて……サトリさん」

「何?」


 猫子ちゃんが深呼吸をする。


「私とお友達になってください!!」


 そうか、だから猫子ちゃんは僕に秘密を打ち明けてくれたのか。

 なんか、僕が目のことを隠している事に罪悪感が出てくる。

 でも、猫子ちゃんが秘密を打ち明けてまで言ってくれたんだ。

 断れない。


「僕なんかでよければ……」


 友達ができるのって健斗以来な気がする。

 男子演劇部の人たちは同じ部活の仲間って感じだし。

 そう思うと、少し嬉しくなってくる。


「やった! これからよろしくおね__」


 グーっとお腹の虫が鳴く音が猫子ちゃんの方から聞こえてくる。


「あ、あわわ……」


 猫子ちゃんの顔が真っ赤になってるのが見なくてもわかる。


「ふふっ、猫子ちゃん可愛い」


 僕は自然とそう言ってしまった。


「あ、あぁぁ……!」


 その後、猫子ちゃんは恥ずかしのか喋らなくなってしまった。

 喋らなくなって数分ほどしてジューシーハンバーグのハンバーガーが来た。

 僕と猫子ちゃんはお腹が空いていたからペロリと食べ終わった。


 余談ではあるがハンバーガーはとても美味しかった。


 そして、僕と猫子ちゃんはショッピングモールの中を色々歩いて回った。

 帰ったのは五時頃だったが、とても楽しかった。

 今度、また遊ぼうと猫子ちゃんと約束して僕と猫子ちゃんは別れた。

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