転校生
途中、変な女の子に会った以外は特に何事もなく学校に着いた。
「今日は、このクラスに転校生が来るヨ。みんな仲良くしてあげるヨ」
朝のホームルームで先生がそう言うとクラス中がざわめき出す。
「転校生だって、男子かな?」
「美少年だったらどうしよ」
「もし美少年でも、あんたじゃ声すら掛けれない」
ざわつく声の中には獣山さん達、新聞部も当然のように入ってた。
「静かにするヨ。それじゃ、入ってくるヨ」
ドアが開く音がするとざわついていたクラスは静かになる。
「自己紹介するヨ」
「はい」
転校生がそう言うと違和感のようなものを感じる。
今の声、どこかで聞いた事があるような。
「__神ヶ崎天美です! 気軽にアマちゃんって呼んでね!」
そうだ。この声、朝の変な子だ。
転校生だったんだ。
「おいサトリ、あれって朝に会った奴だよな?」
「うん、声は一緒だね」
健斗も結構驚いているみたいだ。
「海外からの転校生で日本にまだ慣れてないから仲良くしてあげるヨ」
「せんせーい、質問とかいいですか?」
「いいヨー」
「じゃあ、天美さんはどこの国から来たんですか?」
「私はエジプトからだよ〜。ピラミッドに落書きしたアマちゃんとは私の事だよ〜」
それは、普通に犯罪なのでは?
それにしてもエジプトから来たのに日本語は流暢だし、名前も思いっきり日本人だよなぁ。
「日本語はどこかで習ったの?」
「私の父親が日本人なんだよ〜。ま、もう死んじゃったけどね」
明るい感じで言う神ヶ崎さんだけど、クラスの空気は凍ってしまった。
「さて、次はどんな質問が来るの〜?」
「他に質問ある子はいるヨ?」
誰も質問をしない。
そりゃそうだ。あんな重たい話をされた後に質問のできる人なんていないだろう。
「じゃあ、私から質問してもいい?」
「んー、時間もまだあるしいいヨ」
「よし、じゃあ、そこの黒髪クール系男子君の事、質問していい?」
黒髪クール系男子?
誰の事だろう。
「あぁ、彼は三河だヨ」
僕かぁ……。
「じゃあ、三河君に質問〜」
「……はい」
なんだか、凄く嫌だけど仕方ない。
僕は神ヶ崎さんの声のする方に顔を向ける。
「三河君は彼女、いますかー?」
『『ガタッ』』
クラスのあちこちから椅子の動く音が聞こえた。
彼女、そんなの考えた事もなかった。
「それはクラスのみんなが気になってる事ヨ」
「私〜、彼に一目惚れしちゃったんですよねぇ」
言い方から嘘だという事は分かる。
この人、僕の事をからかってるだけだ。
「それで、三河君に彼女はいるの〜?」
「……いません」
『『ガタッ』』
また、椅子の動く音が聞こえた。
「じゃあ、好きな人は〜?」
「……いません」
『『ガタッ』』
みんな、落ち着いて座ろうよ。
なんでそんなに椅子が動くのさ。
「それは良かった〜」
神ヶ崎さんがそう言うとチャイムが鳴る。
「あ、もう、質問タイムは終了ヨ。何か質問がある子は休み時間にでもするヨ。じゃあ、神ヶ崎の席は窓側の一番後ろヨ」
「は〜い」
「それじゃあ、朝のホームルーム終わるヨ」
「起立」
今日の日直がそう言うと全員が立ち上がる。
「姿勢、礼」
「はい、じゃあ、また後でヨ〜」
先生はそう言って教室を出る。
この作品にヒロインはいません。
強いて言うなら主人公がヒロインです。
皆さんはどのキャラが好みですか?(ちなみに私は獣山です。ロリコンじゃないです)




