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10才 (ケイトス)




 穏やかな春の日差しが、春爛漫の庭に降り注いでいた。

 僕は一枚の風景画のような景色をガーデンテラスで眺めながら、あくびを噛み殺した。朝もだけれど、昼食後の午後も眠くなる時候だ。


 紅茶を一口飲んで、息を吐く。

 両親が出掛けているから、非常時に備えてサンルテアの屋敷にいるけど、今日は久々に何の予定もなく、のんびりできる日だ。


 アッシュは春になった各土地に異常がないか様子を見て回っていて、側にいない。けれど、後から従兄弟が来る予定だった。

 午前中はマニエ婦人の店で新調させられた春の新作ドレスの手直しがあり、母に絶対に行くよう念押しされていた。リフィの萎れた様子を思い出して、僕の口元に笑みが浮かぶ。


 彼女の気分が上がるように、苺タルトでも用意しとこうかと思案したら、門の結界を馬車が潜った気配がした。

 両親でも従兄弟でもない。来客の予定もなかった。クーガに任せておけば大丈夫と、僕は読みかけの本に視線を戻した。


 その思惑が崩れたのは、数分後。

 俄に屋敷が騒然とし、流石に無視できなくて僕は本を閉ざした。騒がしさがこちらに移動していると感じ、テラスを下りて庭に出る。離れた玄関から敷地内を回って向かってくる気配に、僕は眉を顰めた。


「ケイトス様~!」


 現れたのは、薄紅のドレスを着た幼い女の子。ふわりと裾を揺らしながら一直線に駆けてくる。

 兄王子たちに比べると普通の顔立ちだが、母親そっくりの明るい茶髪に紅茶色の目の、歴としたシルヴィア国の王女だった。


 僕は顔が歪みそうになるのを堪えて、微笑を作った。王女の後ろから慌てて駆けてくる護衛や侍女たち、クーガたちを見ながら、内心で盛大に嘆息する。


 ようやく気候が暖かくなりだした約一ヶ月半前、王妃主催のお茶会で初めて、御年六歳になる小さな王女と出会った。

 今年からお茶会に出る王女の為の社交場で、招待されたのも王子たちの側近と友人ばかり。


 そこで何故か、挨拶しただけで妙に懐かれて気に入られてしまった。目立ちたくないのに席を隣にされ、庭へと手を引かれてお供し、喋り続ける王女に付き合わされた。


 スピネルたちには苦笑され、ブレイブ王子からは「さすが俺の妹。見る目はあるが、ケイトスは俺のだぞ」と偉そうに言われ、周囲からは微笑ましい目で見られた。


 それからお茶会の度に招待され、城に行けば何かと呼び出されて顔を会わせ、時にスピネルの執務室にまで押しかけてきた。それが毎日続けば、困惑を通り越して辟易する。


 勝手に何でも喋るので、王妃がお忍び参加するお茶会情報などは助かったが、スピネルには辞めさせるよう進言しておいた。


 抱きついてきた王女━━リル・ライト・シルヴィアは、満面の笑顔で僕を見上げてきた。僕は体を離して挨拶をしながら、追いついた王女の護衛と侍女、クーガたちから事情を聞く。


 今日は僕が登城しないと知った王女が酷く落ち込み、ブレイブが「押し掛ければいいだろ」とけしかけ、先触れなく家にまでやって来たそうだ。━━あの王子バカ、覚えてろよ。


「ケイトス様、わたくし町に行ってみたいんですの。案内してくださいませ!」


 振り回されて、休日が潰れる予感しかしない。無邪気にねだるのは、当事者でなければ笑顔で済ませられても、王女としては軽卒な行動だ。兄たちそっくりの行動に、僕は目眩を感じた。


「……殿下、迎えを呼びますから城に戻りましょう」

「どうして? ブレイブお兄様は、気にせず遊んできて構わないと言いましたわ」

「それは正式な許可ではございません。陛下、或いは王太子殿下の許可でなくては。殿下がここにいることも、お二人はご存知ありませんよね?」


 僕は、王女の守りとしては少ない近衛騎士三名と侍女二名を見て、吐息した。兄に唆されてそのまま城を出てきたようだ。ここまで何事もなく無事に辿り着けてよかったと思う。……騎士も侍女も頷いて、僕に説得を任せるのはどうかと思うけど。


「それに本日のご予定は何もなかったのですか?」

「……でも」


 俯く王女に酷でも、何かあったら男爵子息の僕では責任がとれない。ここで勝手をして、父の咎として領地の税を上げられるのも、無茶な要求をされるのも避けたい。王様たちはそんな事しなくても、周りがつついてくる。


 城も大騒ぎだろう。この護衛と侍女たちは確実に注意され、町に出て何かあれば首が飛ぶ。

 目に涙を溜めて見上げられても、毎日見ていれば慣れてしまった。


 どう説得したものか。

 簡単なのは、僕がこのまま城で王女の相手をするか、許可を得て次回の約束をするかして、妥協案を出せば丸く収まるけれど、もう振り回されたくない。


 僕に王女の専属護衛をする予定はなく、呼び出されて仕事を邪魔されるのも困る。

 王やスピネルにも、この状態が続くなら、登城も王家との付き合いも控えると告げてあった。━━何より、ある一件から、王たちが甘やかして許した王女の命令わがままに付き合うつもりは、一切なかった。


 再度抱きついてきた王女に困惑していると、移動魔法の気配を感じた。僕たちから少し離れて佇立していたクーガだけが察知する。

 彼の後方に一人の少女が現れる。……微妙なタイミングでの登場だね、リフィ…。どうしよう、巻き込まない方がいいのかな…。


 僕は頭を働かせながら、黒レースを上品にあしらった深緑の新作ドレス姿の従兄弟を見つめた。

 突然現れた可憐な美少女は、僕を見て開きかけた口を閉ざす。


 知らない大人たちに囲まれ、僕に抱きつく幼女を見て、はっと何かに気づいた反応をし、無言でにこっと微笑んで手をひらひらと振った。━━絶対に妙な勘違いをしてそう!


 気配を消したまま踵を返し、この面倒な場面から自分だけ逃げようとしたリフィに少し苛立つ。だから、巻き込むことにした。


「━━遅かったね、リフィーユ。待っていたよ」


 その一言で、クーガ以外が一斉に反応した。

 立ち止まったリフィがギョッとした顔で振り向いて固まり、親しみを込めた僕の笑顔の先を辿った全員が、離れた百花繚乱の庭にいる妖精のような少女に目を奪われる。


 何テコトヲ!? と、言わんばかりに咎める視線を向けられたのは一瞬。優秀な従兄弟は、息も忘れて魅入る一同の視線に戸惑う困り顔を作り、愛らしく小首を傾げて微苦笑した。


 僕は、お見事と笑みを深めた。

 謝罪して出直す、と離脱を諦めないリフィに、「構わないよ」と王女から離れ、僕は足早に近づいて手を取った。逃がさないからね。


 王族が居るにも関わらず、許可なく強引に見知らぬ少女を引き留めた僕に、王女とそのお付きたちが驚愕した。

 僕は甘く微笑んでリフィを見つめ、取った手の甲に口づけた。その場の全員が息を飲む。


 赤くなったリフィはすぐ蒼白になり、遠くを見る目をして『厄介事に巻き込まれた…』と微かに唇を動かした。正解だと僕は微笑む。恨めしげに見上げてくるリフィの手を引くと、あっさり腕の中に囲いこまれた。


 驚くリフィの耳元に顔を寄せた僕は、王女たちから死角なのをいいことに、魔法の呪文を唱えた。━━リフィ、困っているからちょっと協力して助けて、と。


 抱き締められて息を詰めていたリフィがそっと息を吐き出し、僕の背中に手を回して、とんとんと叩いた。それを了承の合図と受け取る。僕は自然と笑っていた。


 驚く王女たちのもとに、僕は重ねられたリフィの手を引いて戻る。リフィは仄かに頬を染めて微笑しながら、優雅に滑るように歩いた。見事な挙措。誰もが深窓の令嬢だと思ったに違いない。


「ご紹介します、王女殿下。僕が個人的に特別親しくさせて頂いているリフィーユ嬢です。今日は久しぶりに彼女と会う予定だったんですよ」


 その場の全員、クーガでさえも唖然として、僕の笑顔を見つめてきた。




 ・・・ *** ・・・ (リフィ)




 お母様に笑顔で強要され、渋々向かったマニエ婦人の店。

 そこで手直しされた新作ドレスを着せられて、疲れたから甘い物を食べてストレス解消しようと、わたしはサンルテアの屋敷に魔法で移動した。


 着いた庭で咲き誇る見事な花々に和んで、気分が少し向上。鼻唄を歌い、テラス近くに従兄弟を見つけて声をかけようとして、見慣れない人たちに気づいた。慌てて口を閉ざして状況を確認する。


 今日も美人な従兄弟に抱きつく、服からして身分の高そうな見たことのない幼女。うるうると見上げて、ケイを放すまいとしている。そして高貴な彼女の侍女と護衛っぽい人たち。導き出せる答え━━ケイ、頑張れ。


 さっすが超絶美麗な従兄弟どの。年下の子も落としたかー。春だねぇ~。きっと貴公子なケイに憧れて恋しちゃって、婚約候補というか、もう決まってたりするのかなっ?


 身内とはいえ、令息であるケイの邪魔をしちゃいけない。ていうか、困惑したケイとクーガたちから面倒そうな気配がする。よし、ここは退散しよう。

 ワタシ何モ見ナカッタ。

 笑顔で手を振って応援し、そっと庭を離れようとしたら━━。


「━━遅かったね、リフィーユ。待っていたよ」


 えっ!?

 思わず足止めて振り返っちゃったよ固まったよ! 皆が一斉に反応して、突然いるわたしを驚いて見てるし!


 そんな中でケイだけが楽しげに笑っていた。

 ちょっとケイィィッ!? 何テコトヲ!?

 人目がなかったら間違いなく、胸倉を掴んで問い詰めていた。かわりに、一瞬睨んでおく。


 何この状況、意味がワカラナイ。

 間抜け面を晒しとくわけにもいかず、戸惑う淑女の微笑み発動。実際によくわかってないんだけどね! って、何で嬉しそうなの、ケイさん! わたし全然楽しくな━━落ち着け。まだ逃げ出せるはず。


「お邪魔してしまい、申し訳ございません。お取り込み中のようですので、また日を改めて伺わせていただきますわ」


 グッジョブ、わたし! ここで退場…


「構わないよ」と幼女から離れ、足早に近づいてきたケイが、わたしの手を取った。……逃げられない。

 ……あのですね、ケイさん。何であなたが逃げ道を潰すの、わたしを追い込むの…。


 冷静に周りを見てクダサイ。突然現れた不審者に皆さん驚愕してるから、速やかにわたしの身柄を解放して。

 困った笑顔を張り付け、わたしの目から光が失われていくと━━甘く微笑まれて、手の甲に口づけられた。


「っ!?」


 い、今、何か柔らかいものが…っ!?

 ナッ、ナニするの、ナニ企んでるのっ、何でそんなに甘く微笑むのっ! 何か勝手にぶわって赤くなるし、心臓うるさいし、猛烈に恥ずかしいし、目の毒…じゃなくて眼福でじっくり堪能したいけど、混乱していてよくわからないっ!


 周囲を見る勇気はなく、居たたまれないけど、ふと冷静になれば確実に。━━厄介事に巻き込まれた…。

 青ざめて従兄弟を見たら、正解というように微笑まれた。わぁ、素敵笑顔だ~……じゃねーわ。ナニに巻き込んでくれたんじゃい!


 恨めしげに見上げれば、腕の中に囲いこまれた。━━うぇっ、ナニコレ?? さっきから一体何がどうなってんの!?

 もがこうとしたら、更に深く抱き込まれ、耳元に唇を寄せられた。━━息がっ、止まりそう! てか、皆がガン見して…っ!


「リフィ、困っているからちょっと協力して助けて」


 その言葉に、ふっと力が抜けた。焦りが嘘のように凪いでいく。固まる先客たちを一瞥し、珍しく弱り困っている従兄弟を見た。……さっきも、笑顔で何かを堪える苦い顔をしていたね。


 ━━仕方ない。いつも助けられているし、滅多にない頼み事。何をすればいいのかわからないけど、ここは巻き込まれとくよ。

 わたしは回した手でケイの背中を軽く叩き、了承を伝えた。


 驚愕する令嬢たちのもとに、重ねた手をケイに引かれて戻った。とりあえず、淑女モードで対応しとけば問題ないよね。━━ええ、お任せください。見事に騙しきってみせましょう!


 わたしは恥ずかしさを抑え込んで微笑しながら、優雅に滑るように歩いた。さぁ、次は何がくる?

 呆けて見上げてくるお嬢様に微笑んだ。


「ご紹介します、王女殿下。僕が個人的に特別親しくさせて頂いているリフィーユ嬢です。今日は久しぶりに彼女と会う予定だったんですよ」


 ━━……は…? 今、何て…?

 ぽけっとしかけてケイと目が合い、我に返る。誤魔化すように少し俯き、恥じらうように目を伏せつつ、脳内フル回転。


 え、待って……王女…ってナニ!? 何この構図?

 てか、何でっ、ここに王族がいるのっ? ナニに巻き込んでくれたのかな、ケイっ!?


 今わかるのは、ケイがわたしを内々の婚約者候補として紹介したこと。でも本決まりじゃないから、大々的に触れ回らないよう告げたこと。それと王女が先触れもなく、ケイの都合を無視して押し掛けてきたこと。


 王族にあるまじきマナー違反をしたことを相手に思い出させ、本当ならわたしとの先約があったのだから、ここにいても問題ないでしょうと、ついでに恋心を抱く王女を牽制したってとこかな。━━家に帰りてぇ…。


「王女殿下とは知らずに御前失礼いたしました。ケイトス様よりご紹介に預かりましたリフィーユ・ムーンローザと申します。殿下にお目にかかれる栄誉に浴しましたこと、我が身の誉れと存じます」


 鍛えられた通りに淑女の礼をすると、周囲からほうっと息があがった。

 ケイに「いつも通り愛称で構わないよ」と微笑まれ、「はい、ケイ」と親しげに微笑み返す。普段より近い距離で寄り添われても、対外的に通常通りだというように振る舞った。


「す、素敵ですわっ! マナーも完璧で…なんて理想的な画でしょう! 並んだ姿がお似合いで……お姉様とお呼びしたいですわっ!」


 ……何故か興奮した王女に、キラキラした目で詰め寄られた。

「恐悦至極に存じます」と、微笑んでおく。


 ……え、それでいいの? もっとこう、あなたなんて認めませんわ的な反応があるものでは……いや、修羅場を演じたくないからいいけど。


 わたしは華美な服が目立つ少女を見た。

 王女かー。記憶にないな~。てか、お姫様を落とすとか、さっすがケイ! 後でニヤニヤしながら話を聞こう。


 それから、王女の好奇心の勢いに押されて、この場だけお姉様呼びを許し、お茶会に突入し、あれやこれやと聞かれて、ちょいちょい甘いケイに死んだ目になりかけながら、鍛えられた演技で特別な友人を演じきった。演技中は、ドウシテコウナッタ!? が合言葉でした…。


 城から迎えが来て、ケイが近衛隊や侍従たちと話している間、離れて玄関ホールに佇むわたしの側に王女が来た。

 お茶会中、ケイがわたしに微笑む度に、羨望と恨めしさが混じった目で見られたけど、平民と知っても嫌みを言われなかった。ただ傷ついた表情で俯いてしまった。


 それでも、ケイと出会ってから城で毎日顔を会わせて話をし、王女と二人で庭を散策、お茶したこと等を自慢されて━━城でケイの仕事の邪魔をしていたと知って、少しモヤッとしつつも、対抗してくる姿に、恋する乙女は可愛いわ~と笑顔で見守った。

 

 張り合いつつも、わたしを見ると顔を赤らめて見惚れる王女。何度も「お似合いですわ」と憧憬しては、少し悔しそうに表情を曇らせていた。

 その時と同じ顔で、「結局、ケイトス様も見目麗しい方が好みですのね」と呟く。


 お茶をしながら、熱烈な王女と一歩引いた従兄弟の様子を見ていて、わたしはケイが王女たちに苦い顔をした理由に思い当たった。少し前に落ち込んでいたケイを思い出したから。


 だからわたしは、不敬でも「そんなことありません」と告げた。実際に、ケイはきちんと対応していた。恨み言を言うでもなく、王女として丁寧に扱っていた。


「ケイは己の立場とすべきことを理解しております。時折、無理しているのではと痛々しく見えるほどに」


 わたしの言葉に俯いていた王女は「だって…」と羨むように見上げてきた。苦笑する。


「殿下にはケイがどう見えていましたか? 見た目で差別する人でしたか?」

「…………いいえ。他の方は王女として紹介されたわたくしを見て、ぎこちなく笑われたりがっかりされたりしましたが、ケイトス様は他の令嬢と同じように、淑女として接してくれましたわ」


 ですよね。うちの天使はそりゃいい子ですから。こんな厄介な従兄弟も見捨てずに、助けてくれるので。

 他の人が残念とか盛大に嘆息して呆れる中で、ケイは似た反応をしても、どんなわたしも笑って受け入れてくれる。最後まで付き合ってくれる。


「前に、城で知らない人に遭遇したときも、守ってくださいました。そのせいで怪我をされても平気だと微笑んでくれて」

「……そうでしたか」


 わたしはにっこり微笑んだ。内心は穏やかとは言い難い。━━怪我したなんて、初耳なんですけど…? ウフフ、これは後で真剣にじっくり話を聞かなくちゃ。

 当時を思い出したのか、うっとりするリル王女。


「失礼なことを言ってごめんなさい、お姉様。羨ましかったんですの」


 わたしは笑顔で、気にしてませんと流した。ええ、決してお姉様呼びに萌えたからではありません。

 高飛車王女じゃなくてよかったと思ったよ、今後どう成長するかはわからんけど。


「ケイトス様に選ばれたお姉様を見て……わたくしでは敵わないと思い知らされましたわ。あんな風に笑って接するケイトス様を見たのは初めてですもの。その服もケイトス様の瞳の色…ケイトス様もお姉様の瞳の色のタイをして…」


 全くの偶然だけど、そうか。確かにケイのアスコットタイは薄い金に似た柔らかな色だった。相思相愛に見えるねー。無意識にバカップル演じてたのか……ここでダメージを与えてくるとか、やるな、この王女。


「……一つ、きいてもよろしいですか、お姉様」

「何でしょう?」

「お姉様は、どうしてケイトス様をお選びになりましたの? どこを好きになったんですの?」


 紅茶色のお目々で期待するように見られるのがツライ。……コレ何て返すのが正解?

 どうにか上手く誤魔化そうとして、じっと真っ直ぐ見てくる目に観念した。

 毒を食らわば皿まで。羞恥にも耐えて演じきってみせましょう!


「…ケイは━━」


 わたしは淑女の笑みを張りつけて、王女の質問にどうにか返答した━━死に体で。こんなに精神をガリッゴリッ削られたのは久し振りでした。




 ・・・ *** ・・・ (ケイ)




 王女付きの近衛隊代表者と話をし、王様の侍従にも事情を説明して、僕は王様からの謝罪手紙を受け取った。それを読んで、「明日、詳しい説明に上がります」とだけ伝言を頼む。言外に次はないと伝わるはず。ついでにブレイブにも灸を据えてもらおう。


 王の側付で色々知っている侍従が、深く頭を下げ「この度はご迷惑をお掛けしまして、誠に申し訳ございません」と謝った。玄関ホールから見えない位置にいるリフィを見ると、王女を促してくれる。


 侍女と護衛に囲まれながら、歩いてくる王女を全員が注目していた。侍従は侍女二人を厳しく見やり、近衛隊代表者は護衛三名に「戻ったら沙汰があるまで謹慎だ」と冷たく告げた。

 王女は何か考え事をしていて、やりとりに気付いていなかった。


 玄関の時計を見れば、午後四時になる。明日は城に行って、王への説明から始まって、スピネルにも話をしてから、情報局の仕事の手伝い…。今から予定を思い浮かべて、内心で吐息した。


 侍従と近衛隊が玄関扉を開けて王女を馬車に促すと、「ケイトス様」と呼ばれて、手を引っ張られた。明日の予定を思案していた僕は、前につんのめり、引かれるがままに近くの応接室に入り、ドアを閉められた。

 廊下から慌てた侍従たちの声がかかるが、王女は鍵をかけて無視した。


「ケイトス様、最後に一つ教えてくださいませ」

「…何ですか?」

「ケイトス様にとってお姉様はどのようなお方ですか?」

「え?」


 答えてくださいと真剣に見つめられて、僕は少し息を飲んだ。婚約者に仕立てあげた従兄弟を思い浮かべる。


「━━大事な人ですよ。僕が僕でいるのに欠かせない人で、きっと僕が完璧でなくてもゆるしてくれる人です」


 他にも、見ていて面白いとか、僕でさえ驚かされるとか、色々と迷惑をかけられるけど笑って付き合えるとか、一緒にいて楽しいとか、ビックリ箱みたいでワクワクはらはらするとか、気に入っているところが多い。


 サンルテアとして人を傷つけても、抗争や裏工作や間者などの数多の闇を抱えていても、否定しないで受け入れてくれた。今日みたいに困っていれば、必ず助けてくれた。


「飾らなくても、僕が汚くても、弱音を吐いても、リフィは側で笑ってくれますから」


 リフィは自分だけが甘やかされていると思っているけど、安心して側にいられるのは僕も同じだった。

 すんなり口をついて出た言葉に、王女が目を丸くした。それから寂しそうに笑う。


「ケイトス様もお姉様と同じようなことを仰るのですね」

「え?」

「お姉様も、ケイトス様はどんな時もどんな自分も見捨てずに付き合って受け入れてくれる、とてもありがたい存在だと教えてくださいました」


 僕がちょっと驚いていると、気づかずに王女は話し始めた。直接リフィから聞いたという本当を。


「わたくし、意外でしたわ。あんなに美人なお姉様なら好きになる人はたくさんいると思っていましたのに、残念だとため息を吐かれて『容姿が宝の持ち腐れ』とよく言われて、変な誘拐ばかりが起きると聞いて……びっくりして戸惑ってしまいましたの」

「……殿下に話す内容でははありませんね。リフィが失礼をしました」


 僕は頭を下げた。真実だけど、王女にナニを話してるのかな、あの従兄弟は。


「いえ、聞けてよかったですわ。たぶん、わたくしが気にして落ち込んでいたから、話してくれたんだと思います。だってお姉様は、理想と違う自分で幻滅しましたかと言ったので」

「殿下は何と返されたのですか?」

「わたくしは……少し安心しました。みんな違っていて、人それぞれなのだと。もっとお話をして、お姉様と城で過ごしてみたいと思いました」


 ……ん? 何か今、不思議な言葉が聞こえたような…。

 うっとりと頬を染めて「連れ帰って一緒に…お母様も気に入る…」と不穏な我が儘を言いそうな王女に、僕は頭が痛くなった。……リフィ、何で王女をタラシこんでいるの…。


「…わたくしもお姉様を見習って、素敵な淑女になりますわ」


 切実にやめてほしい。あの淑女は期間限定だから。普段もだいぶ特殊だから! 


「清く正しく美しくてお優しいお姉様のようになれば、わたくしを見てくれる方が現れるかもしれませんもの」


 ……誰のことを言ってるんだろう? 清くタダシイ? 誰が? 一応、過去に君のお父さんは脅されているよ?

 僕はコメントを控えた。どう感じるかは人それぞれだよね…。釘はさしておくけども。


「……見習うのは程々にしてください。それと彼女のことはスピネル殿下たちには…」

「わかっておりますわ。まだ秘密なんですよね? ブレイブお兄様に知られたら、欲しがりそうですもの。お母様や侍従たちがブレイブお兄様は、気に入った子を婚約者がいても取り巻きにして困っていましたから」

「……」


 あの第二王子は相変わらずなのか。

 疲れた僕は王女を促して、玄関ホールに戻った。侍従たちがホッとした。目で問われたので、何も(迷惑は)なかったと軽く頭を振る。

 そうしてお騒がせな王女は、無事に城へと帰っていった。


「ケイ、お疲れ様」


 リビングのソファーに体を沈めた僕に、隣に座ったリフィが気遣うようにお茶を淹れてくれた。甘いイチゴの香りがする紅茶を一口飲む。巻き込んで怒っていると思った従兄弟は、しんみりとしていて、気づいたのだと思った。


「……大丈夫?」

「大丈夫だよ。王女に悪気がないのはわかっているし、陛下たちにはきちんと言っておいたから」


 僕が苦笑を返すと、リフィが眉間に皺を寄せて口を噤む。相変わらず任務以外で、貴族の僕の領域には深く足を踏み込んでこない。だから、僕からぽつりぽつりと話した。任務に失敗した件を。


 一週間前、僕は王と王太子が甘やかした王女の命令ワガママに付き合って二人だけのお茶会に出ていた。本来なら任務があったが、それまでのように王様やスピネルが「付き合ってやれ、命令だ」とニヤニヤ笑って王女の行為を許したから。


 お茶会から解放されて知らされたのは、参加できなかった地方の人身売買組織の捕縛で、部下として加わった騎士二名が負傷し、主犯を取り逃がしたという事実。


 僕が参加していたからといって、必ず成功していたとは思わない。でも少なくとも、負傷者を治せたし、簡単に逃走を許さなかったと思う。

 王とスピネルは青ざめて私的に謝罪してきたけど、する相手を間違えている。


 謝罪すべきは、命懸けの調査の無駄足を踏ませた内偵たちと負傷して責められた騎士たち、それから被害に遭い、今後も恐怖に晒される国民だ。


 父も宰相も騎士団長も、「大丈夫」と僕にお茶会の出席を軽く命じた王と王太子に怒りを感じていたけど、公の場で王を責めることはなかった。


 代わりに責められたのは、何の立場もなく公式に参加していない男爵子息ぼくではなく、捕縛に向かった役職のある騎士たち。


 王とスピネルを始め、王女に悪気がないのはわかっている。普段なら上手くいっていたはずだった。主犯が護衛として『白い悪魔』と呼ばれる凄腕の暗殺者を雇っていなければ。


 幸いにして死者は出ず、『白い悪魔』とは契約が終わったのか、普通の護衛と逃げていた主犯の商人を捕らえたのが三日前。『影』に混ざって協力してくれたリフィが捕まえてくれた。


 可愛いと周りから甘やかされて色々許されていたリル王女は、これから厳しい講義やマナーで自由な時間が減る予定だ。恐らく公式の場以外で、僕に会うことはなくなる。


「任務の件を王女には」

「……話してない。陛下たちに任せたよ。王女がもう少し成長したら話すかもしれないし、話さないかもしれない。王女には酷かもしれないけど、同じ事を後悔するのはもう嫌だから」


 鈍い痛みと苦い思いをぐっと飲み下す。深く息を吐いてソファーに寄りかかると、頭を撫でられた。


「……巻き込んでごめん」

「いいよ。わたしばかり巻き込むのはフェアじゃないし。ケイと違って、わたしこそ王女と会う機会はもうないから」


 ……それはどうだろう。

 僕は「本当は馴れ初めとか、王女を庇って怪我したことを問い詰めようと思ったけど、できない」と呟いて嘆息した従兄弟を見た。……そこは僕を慰めるところじゃ…?


 僕は頭を撫でられながら、小さく笑った。

『影』がいたら、そういうところが残念だと肩を落とし、サリーにはダメ出しされそうだ。


 時折、サリーから乙女講座なるものを無理やり受けさせられているリフィ。偶然見たときは、もし異性が弱っていたらどうするかというお題に対して、「励ます」と答えていた。


 サリーには「何でリフィが言うと、わいわい騒ぐ男同士のノリに聞こえるのかしら」と首を捻られ、「差別だ!」とリフィは反論した。


 回答と言動が違うことは、キースの件でも明らかだ。

 何しろ弱いと悩むキースを投げ飛ばして、助言して逃げた。言外に今のキースは弱いと認めて。


 普通の令嬢なら優しく「キース様はお強いですわ」とか「あまり気にしないで」とキースや僕を慰めるだろうけど、リフィは自分の本能と欲望に忠実だった。


 相変わらず自由だなと、僕はふっと笑ってしまった。

 サリーが言うところの物語の主人公のような、健気で優しく貞淑な女性なら貴族にたくさんいる。


 物静かだったり、穏やかだったり、自分に厳しかったりと色々あるだろうし、例外もいそうだけど。総じて淑女が多いと言える。


 サリーによる物語のような理想の淑女になるにはという講義を聞きながら、リフィは攻略対象者が惹かれるのは、健気で優しくて可愛い他に、生粋の貴族とは違うところも要因かもしれないなんて分析していた。

 それで物語の主人公と逆になればいいと考え、話に詳しいサリーに助言を求めたときもあった。


「成り上がりの物語は」

「リフィ。せめてシンデレラストーリーと言って」

「その物語の、優しく健気でいじらしい主人公たちは純粋な貴族と毛色が違ったから、成功したとも言えるよね」

「大丈夫よ、リフィ。あなたの場合は毛色が違うんじゃなくて、ただの無神経。猪突猛進なだけだから。そもそも健気でいじらしいとかないから」

「よっし! あざーっす!」

「どうしてそこで嬉しそうにするのっ、お礼を言うの! 誉めてないわよ!?」

「わたしにとっては誉め言葉だから問題なし」

「どこでそんな変換をしたのっ?」


 サリーには嘆かれていたけど、本人は貴族から好ましくないと知って喜んでいた。

 本当に変なところを全力で頑張る従兄弟だ。


 サリーからの報告を思い出していたら、視界が揺れて体が傾いた。濃い緑が眼前に迫り、左頬に柔らかな生地の感触。

 驚いて息を飲むと、膝枕されていた。


「疲れているようだから、甘やかします」

「何それ」

「いいから、少し休んで。前より酷い顔色だよ」


 僕は笑って目を瞑る。

 三日前、自分が赦せなくて、一人で逃がした商人を追いかけようとした時も、気づいたのはリフィだった。

 両親もクーガも気づかずに、「気分転換に少し出掛けてくる」という僕の言葉を信じたのに、「そんな怖い顔でどこに行くの」と止めてきて、自分も行くと言われた。


「断るなら暑苦しい火の精霊王を護衛につけるよ。ムキムキの筋肉でケイを守るよう、常に抱き抱えながら移動と護衛をするように言うから」

「ナニその護衛!? 常に筋肉に囲まれながら移動と護衛とか怖いから辞めて!? 明らかな嫌がらせだっ」


 挙げ句、火の精霊王の扱い方が雑すぎる。僕の気分転換にならないし、今より疲れる未来しか思い浮かばない。それなのにリフィは妙にやる気になりだした。


「豪快な火の精霊王に、マスコットのように腕に抱えられる美少年……ちょっと見てみたいかも…。写真にも残して」


 間違いなく死んだ目をした僕が写るね。

 僕はすっかり毒気を抜かれて、強張っていた体から余分な力が抜けた。追い詰められていた焦燥が軽くなる。

 僕は説得を諦めて、リフィを連れて行った。


 外出先や理由は詳しく聞かれなかったけど、任務の失敗を知っていたリフィは、僕ではなく自分のお願いとして『影』の幹部数人にも声をかけて、捜索と捕縛に手を貸してくれた。

 そのお蔭で、僕の中で任務失敗の決着を着けることができた。


 僕は大人しくされるがままに、髪を撫でられておく。

 膝枕されたのは初めてだった。詰めていた息を吐き出すと、労るように腕を叩かれた。


 聞いたことのない旋律を耳にしながら、微睡む。寝るつもりはなかったのに、気がついたら熟睡していた。

 目が覚めると午後五時過ぎで、日が傾いていた。体を起こせば、ソファーに寄りかかりながら、リフィも寝入っていた。


 穏やかで静かな夕暮れ時。

 僕はすっきりした頭で眠る従兄弟から外に目を向けた。

 もし王女から、リフィの存在が周囲に漏れるようなら、どうするか、考える。


 リフィが理想とするように、今後誰にも会わないのなら問題はないと思う。けれど、既に会ってしまった。

 イナル、キース、ハイド。そして、王子二人にも。


 リフィは王子二人には会ってないと安心しているけど、彼女が六歳になる前に、一方的であっても王子たちはリフィを見知っていた。


 後ろ姿しか見てないと思っていたスピネルも、実はしっかり覚えていて、「一人で道もわからずに迷子になった所に、同年代の可愛い子を見かけて、地元の子なら道に詳しいから案内してもらおうと思って追いかけていた」と聞いた時は、憂鬱で苦い気分になった。


「すぐにケイに会えて、弟も無事に保護したと聞いて幸運続きだったから、幸運の天使か精霊かと思ったよ」と笑うのを見て、頭が痛くなったのを覚えている。リフィには教えてないが。


 他に、去年キースに会った後、リフィが旅に出ると領地に行こうとした時、サンルテアにはハイドたちがいた。

 交流を持つようになってから、秋になる度にサンルテア領の邸に寄るハイドたち。


 その度に僕が領地に呼ばれて相手をする。毎回少し滞在しては、姉弟で「リフィーユは?」と聞いて、不在なのをがっかりして去っていく。


 秋にリフィに会ったから、毎年秋に来ると勝手に勘違いしている姉と弟。僕も敢えて誤解は解かないでおいた。

 その事もリフィには、教えていない。そんなに知りたくないだろうから。何より、怖がりそうだから。


 僕でさえ、ゾッとした。何度もヒヤリとして、リフィがあるかもしれないと言っていた強制力という言葉が、頭にちらついた。教えておいた方がいいとも思うけど、必要以上に怯えさせるのが最善とも思わない。


 ギリギリとはいえ、どうにか鉢合わせしなかったり、相手も名前を知らなかったり、きちんと正面から会った訳じゃなかったり、リフィの努力の甲斐あってか正確に面識を持ったのはハイドくらいだったから。


 そのハイドもあれから一度も会えていない。僕が会わせないようにしているが、リフィに会ってみたいか聞いたら顔だけで物凄く嫌だと訴えられた。僕が聞くまで存在すら忘れていたようだった。


 僕は安心しきって気持ち良さそうに寝る従兄弟を見た。

 会わせないようにするのは大変だけど、仕方ない。それこそ国外に逃亡されたり、精霊界に行かれて、リフィが騒ぎを起こしたら大変なことになる。


 最近、ようやく少しずつラカン長老やソール先生と接することができて、リフィはまた楽しそうにしていた。

 笑って過ごせているならよかった。できれば、このまま問題を起こしませんように。


 約二ヶ月後には十歳になるリフィ。益々お茶会への誘いが増えて、母もリフィを出席させようと意気込んでいた。

 のんびりしているこの国でも、貴族は十歳頃から本格的な勉強やそろそろ婚約者を探し始めて学園に通う前か、通っている間に婚約というパターンが多い。


 母がリフィをどうしたいのかわからないが、商人たちのお茶会を避けたり、王妃に会わせようとしたり、大勢の貴族がいるお茶会に出席させようとしては、リフィに逃げられていた。━━僕が逃がしたのもあるけど。


 考えたくはないけど、もし母がリフィの嫌がる事をするなら、僕は共犯者として守るつもりだ。

 そうならないようにしたいから、母とリフィが話をする場を設けよう。前みたいにギクシャクする前に。


 隣で動く気配がすると、リフィが目を覚ました。

 寝惚け眼で僕を見ると「ケイを嫁にするなら、わたしを認めさせ……」カクっと頭を下げて、寝息をたてるリフィ。……今、物凄く妙な言葉を聞いたような…。


「え、僕がヨメ?」


 一体どんな夢を見ているのかな、この従兄弟は!

 いや、やっぱり知りたくないから、このまま忘れてほしい。僕も聞かなかったことにした。


 すやすや眠るリフィに、僕は吐息した。

 共犯者やめようかな…。

 リフィがへらっと微かに笑う。楽しそうな夢を見ているようだ。


 僕はリフィの頭を撫でた。

 まだ暫くは、リフィがもう大丈夫と安心するまでは、アッシュと共に、この面倒な従兄弟の味方でいよう。

 僕はクーガに声をかけて、リフィを背負うとムーンローザの館に移動魔法を発動させた。




甘くて苦い話になりましたかね?

今回はなかなか話が進まなかったです。

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