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9, 6才 ④

ブックマークありがとうございます!

お待たせしました。本編です。

一万字越えたので長いです。


ちなみに少し前に、五歳リフィと会ったケイトス視点の話を割り込み投稿しています。

彼視点なので長くて暗……テンション低めです。

本当はさくっと一話でまとめるはずたったのに、無駄に長くなって三話構成になりそうです。


よろしければ暇なときにでも、生暖かい目で読んでみてください。


気づいた誤字脱字修正しました。内容に変更はありません。


空はまだ青く、白い雲が風に吹かれて流れていく。

昼間に比べたら日差しは和らぎ、吹き抜ける風もさらりとしていた。

芝生の緑が綺麗な庭には、既に近所の人や見知った顔が集まり、使用人たちが忙しそうに招待客に飲み物を配っている。客人たちはそれぞれ知り合いを見つけては、話し込んでいた。

去年と同じマナーのゆるい誕生日会だから、多少めかし込んでも皆が寛いでいるならよかったと思う。


わたしは会場の様子を伺い、そっと館内から玄関ホールに向かった。直接庭へ案内されるお客様は必ず一度、玄関でジャックと会っていて、そこから会場の庭へ館内を通らず案内されていた。お客様の出迎えと挨拶もわたしの仕事!


……本当は面倒なんだけどね。祝ってくれるのは嬉しいけど、こじんまりとした家族や友達だけの誕生日会で充分なんだよ~。

愛想よくするの疲れるし、表向きわたしの誕生日会をだしにした大人の情報交換と牽制と駆け引きの場だから。

誕生日を利用されるって何だか虚しい…。商人でまだ気心が知れた人たちだから、貴族の社交よりはマシだと思うけどね。


玄関ホールに向かっていると、その後を何故か客人の従兄弟がついて来た。何でも、父と母が戻るまでは一緒にいてくれるらしい。………いや、嬉しいよ? 嬉しいけど、確かに会場にはケイの知り合いはいなかったね。男爵位とはいえ、貴族を招待するのはやっぱり失礼だったかな…。


玄関扉を少しだけ開けて様子を伺うと、客人たちを出迎えているジャックを見つけた。さすがベテラン執事。落ち着いていて渋くてかっこいい。丁度、人がいなかったのでケイとさっと館の外へ出た。

ジャックが一瞥して目を僅かに瞠り、破顔した。


「お嬢様、ケイトス様。本日のお召し物もとてもよくお似合いでございます」

「ありがとう、ジャック。お客様はもう揃った?」

「いえ、あと数名まだお見えになってません。お嬢様、旦那様とはお会いになられましたか?」

「うん、会ったよ。今は衣装替え中。だからわたしがお出迎えしようかなって」

「ご立派です。お嬢様、恐らく大丈夫かとは思われますが、万が一、変なことを言う輩がおりましたらすぐに教えてくださいませ」

「うん?」


思わず首を傾げた。

きちんと身元のしっかりした人たちで顔見知りだから、不審人物がいたらわかると思う。心配しなくても大丈夫、そう言おうとしたら、横からケイが「大丈夫」と請け合った。


「僕がしっかり目を光らせておくよ」

「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」

「二人とも、そんなに気を張らなくてもいいのに。不審者がいたとしても、わたし結構強くなったから負けないよ」


安心して欲しいと訴えたら、何故か生温い眼差しを注がれました。ケイが髪が乱れない程度にぽんぽんと頭を撫でてくれる。……何だろう。最近、従兄弟が過保護すぎる気がする。子供に子供扱いされるわたしって……。いや、子供だけど。


「リフィ、お誕生日おめでとう!」


自分の幼さについて考えていたら、声をかけられた。顔を上げると、ピンクのリボンで黒髪をまとめて結い上げた濃いピンクのドレスを着た少女が立っていた。胸元の大きなリボンが特徴的で可愛らしい。


「サリー! 来てくれてありがとう」


わたしは、茶褐色の目を細めて駆け寄ってきた友達を、笑顔で迎えた。二人で手を合わせて笑い合う。

美意識の高いサリー・リヴェールはわたしのドレスをチェックして、そばかすが浮かぶ顔を満足そうにした。


「そのドレスよく似合っているわ! でも予想した通りあまり装飾品を身に着けていないわね。そう思って、はい。これプレゼントよ。開けてみて」


おぉう! 出会って早速プレゼント攻撃。そして相変わらずズバズバと言ってくれる。押し付けられた手元の白い小箱を見て、わたしはピンクのリボンをほどいた。ジャックが差し出した手にリボンを渡し、蓋を開ける。


箱の中には光沢のある白い生地が張られてあり、その上に金色に輝く小さな三日月のブローチ。その三日月から金の細いチェーンが三本下がり、ドロップ型の翡翠が付いていた。━━とても高価そう…てか、絶対高いよね!?

ちょっと待って、わたし六歳児。幼女に何て物をポンとプレゼントしているのかな、この友達は!! それともわたしの金銭感覚がおかしいの? コレ普通!?


「わかるわ。言葉もないくらいに感動しているのね! 私が付けてあげるから、そのまま動いちゃダメよ」


いやいやいや、違うから。むしろ驚き過ぎてどこかに魂飛ばすとこだったよ! 高価な物を失くしたり、傷つけて価値を下げたらと思うと……わたしの心臓強度でも試したいの、サリー?


そんなわたしの心境を知るはずもないサリーがブローチを手に取ると、ぶら下がっている翡翠の玉が揺れて当たり、澄んだ音を立てた。サリーが箱をジャックに預け、ブローチをわたしの胸元に付けて満足げに頷く。


「よく似合っているわ」

「…ありがとう、サリー。でもこんなに高価な物はまだわたしには早いと思うんだ。だからね」

「甘いわ、リフィ! いいこと、それなりの物を身に付けて主役が目立たなくてどうするのよ。お金のない貴族だって見栄を張って精一杯着飾っているのよ、たとえ似合ってなくても自慢してくるのだから! ━━本当にあの女ども、後で覚えてなさいよ。私がリヴェールの女商会長になったら絶対にギャフンと言わせてやるんだから! その時はリフィにモデルを頼んで完璧に着飾って鼻を明かしてみせるわ!!」


わたしの手を握って、鼻息荒く決意するサリー。わたしは付き合わされる今後のお茶会を思って、嘆息した。

サリーも平民だけど、彼女の祖父母は新興貴族、いわゆる成金で母親が子爵令嬢。それなりに貴族と関わりがある。

サリーの魔力は殆どないけど、少しだけ立場がわたしと似ているんだよね。


「サリーがその子たちに嫌な思いをさせられたから、仕返ししたいと思っているのはわかったよ。その時、協力するための賄賂がコレってわけね」

「理解が早くて助かるわ。因みにお父様とお母様は後で来るから。遅れてごめんなさいねって言っていたわ」

「それはいいの。忙しい中、来てくださって逆に申し訳ないくらいだったから。それより…」

「━━あらケイ、来ていたのね! 三日ぶりだわ。今日も相変わらず綺麗ね」


ようやく周りを見る余裕ができたのか、サリーがわたしの後ろにいたケイにやっと気づいた模様。取り繕ったように可愛らしい笑顔を浮かべているけど、今までの会話はバッチリ聞かれていたよ。でもそこはさすがわたしの天使! 麗しい笑顔で華麗にスルーして何も聞かなかったことにしてくれた。


「ありがとう、サリー。君も今日の格好はいつも以上に気合いが入っていて可愛いよ」

「さっすがケイね! よくわかっているわ。どこかのバカルドとは大違い」

「聞こえてるからな、ド派手ピンク女! 騒がしいと思ったら、やっぱりお前かよ」


不機嫌な声で会話に参加したのは、毛先が跳ねた橙の髪に 赤い目をしたカルド・サージェス。わたしとサリーと同い年でケイが来るまではよく遊んでいた幼馴染みの一人だ。優秀なアラン兄さんの残念な弟というのが、わたしとサリーの共通の認識だった。なんて思っていたら、噂をすれば影。


カルドの後ろには、いつも穏やかに微笑んでいるアランさんがいた。襟足の長い橙の髪を項で一つに括り、赤い目を細めてわたしたちを見守っている。五歳年上の優秀な酒屋の跡取りだ。

二人とも礼服を着こなしていて、いつものやんちゃな姿とはかけ離れていた。━━あれ、二人の顔色がどんどん悪く…って! ……ジャック、お願いだから威嚇するのはやめてくれないかな。敵じゃなくて、わたしの幼馴染みだよ?


見かねたケイがサージェス兄弟に声をかけると、二人がほっとしたように肩から力を抜いた。


「久しぶり、カルド。アラン。いつもサリーと仲がいいね」

「誤解だわ、ケイ!!」

「そうだぞ、ケイ!! こいつはなぁ、さっき会ったおれの足を踏んでくるような暴力女なんだぜ? 人が折角褒めたのに」

「あんたがデリカシーないのがいけないのよ! 相変わらずピンクだなって、褒め言葉じゃないわよ!!」

「はいはい、お祝いの場で喧嘩しない」


アランさんが二人の間に入ると、二人は納得いかない顔をしていたけど黙った。うん、いつも通りだね。

アランさんが微笑んで、わたしの左手をとった。


「お誕生日おめでとう。リフィ、今日も一段と素敵だね。女神かと思うくらいにとても可愛いよ。きみが生まれてきてくれて本当に神に感謝するよ。そんなきみの特別な日を一緒に祝えてぼくはとても幸運な男」

「………あ、りがとうゴザイマス」


顔が引き吊る前に、何とか笑顔を保った。放っておくと、いつまでも賛美してくるから、お礼を言って早めに止めるに限る。

カルドが横から兄の手を剥がしてくれたので、ほっとした。


「誕生日おめでとう。まぁまぁ似合ってんじゃん」

「カルドもね。ところでおじさまたちは」

「まだ隣町から戻ってきてねぇみたいだ。そのうち来るだろ」

「お仕事大変ね。とりあえず、先に会場に行こうか」


馬車が何台か続いてきたのが見えて、わたしたちは会場の庭へと向かった。大勢の前に姿を出すのは緊張するけど、お父様やお母様のためだからと言い聞かせた。



・*・*・*



風が涼を含んで、吹き抜けた。

誕生日会が始まった頃は、両親と共に挨拶を受けてお礼を返していたけど、それもすぐに終わって後は各自が楽しく飲食していた。因みに頂いたプレゼントはジャックたちがまとめて管理している。


開始からもう一時間半が過ぎている今は音楽が流れ、気ままに街の人たちが踊っていた。

午後六時を過ぎていても空はまだ青く、遠くに見える山の端が赤く色づき始めたくらいだ。

この頃には既にサリーやカルドたちのご両親が来ていて、子供を連れてあちこち知り合いに挨拶していた。


一時間半も騒げば、用があって帰る人たちもいて、その人たちにはジャックが指示を出して、お土産を持たせていた。大体半数が帰ったかな。それなのにまだ三十人くらいいるのは、友達や親戚や家族を連れてきている人が多いから。始まったときはこんなに呼んだ? と、首を傾げたよ。

閉会予定が一応、あと二十分……少し休んでも大丈夫かな。

使用人たちは料理の皿やグラスを下げたり、追加したりと忙しそうに動いている。その慌ただしさにそっと紛れた。


知り合いの大人たちに囲まれた両親の元を離れて、温室のある会場の反対側へと歩き、周囲に人の姿が見えなくなって、わたしは深く息を吐いた。━━つ、疲れた…。本当にしんどい。


ふらふらになりながらも温室そばのベンチにたどり着き、そのまま少し横になる。

風が気持ちいい。だらけていたい。もう戻りたくない…。


そうして目を閉じて思い出すのは、元気のない父の笑顔だった。久しぶりに再会してからもどこか影のある笑顔。疲れているのだと思ったけれど……何かあったのかな…?


暫く目を閉じて休んでいると、人の気配を感じて目蓋を開けた。誰かにこんなところを見られる訳にはいかない。母にばれたら、明日から淑女教育の時間が増やされる!


慌てて体を起こしたわたしの前に姿を現したのは、従兄弟だった。

本当なら気配を絶つことが出来るのに、隠すことなく現れたケイにわたしはほっとした。


「リフィ、疲れた?」

「うん」


気遣う従兄弟に、わたしは素直に頷いた。

差し出されたドリンクをお礼を言って受け取り、火照った体に流し込む。少しすっきりした。

ケイがわたしの隣に腰かける。


「ジル叔父様と連絡はとれた?」

「一応は。でもまだ仕事があって、遅くなるって言ってたよ」


ケイが「ごめんね」と申し訳なさそうに言ってきた。そんなの気にしなくていいのに。お仕事優先なのは当然でしょ。

そう返せば、ケイが微苦笑して頭を撫でてくれた。━━ほわぁ、癒される~!!


ケイこそたくさん大人に囲まれて、大変だったよね。

「わたしの従兄弟です」と紹介したけど、知っている人は次のサンルテア男爵だってわかっていたみたいだから。

もうわんさか大人たちが群がった。それを完璧な笑顔で相手をして捌いたのは、さすがとしか言えない。━━本当に凄いなー、この従兄弟!


目を閉じて大人しく撫でられていたら、玄関の方が騒がしくなった。思わずケイと目を合わせて、二人で首を傾げた。

ちらりと玄関を見て、お互いに頷き合う。意志疎通バッチリ。━━それじゃ、ちょっと覗きに行ってみよう~!


野次馬根性で玄関に赴くと、誰もいなかった。それどころか会場の方が少しざわついている。騒ぎの元がが移動しているのかな? トラブルだったら嫌だな…。


不安に思いながらも足を踏み出すと、ケイが安心させるように手を繋いで引いてくれた。ちょっと元気でた。

何かあったら、どうにかしなくちゃだよね。わたしの誕生日会で、揉め事なんてお断り!


会場に戻ると、ヒソヒソと話をするグループが数組。その視線の先には、父と母。━━そして胸元が大きく開き、スリットのある膝上のタイトスカートという扇情的な赤いワンピースを身にまとったアイリーン。


招待客たちの男性の目が、色香漂う招かれていない彼女に釘付けになり、デレッと鼻の下を伸ばしている。

それを奥さんや女性たちが冷ややかに一別して、闖入者を下品とでも言いたそうに眉を顰めていた。━━えーと。ナニこの状況?


覚悟を決めてわたしはケイの手を離し、両親とアイリーンの元へ歩み寄る。巻き込むわけにはいかないからね。

近づくにつれて、母の顔色は青白く、メイリンが冷気を発するように怒っているのがわかった。━━うう、コワイ。

父は困った様子で、そこに呼ばれてきたらしいジャックが、館内から現れた。


「お父様、お母様。どうかされましたか?」


柔らかな声を意識して、微笑んで問いかけた。全員の視線がわたしに向いた。お腹に力を込めて耐える。アイリーンが振り返って赤い唇で笑みを作った。


「お嬢様。本日はお誕生日おめでとうございます。心よりお祝い申し上げますわ」

「ありがとう、アイリーン。それでどうしてここにいるの?」


彼女の出現した結果が、今の会場の微妙な空気だ。招待してないのに会場に来るとか、この人ナニがしたいの? わたし? わたしの誕生日会をぶち壊したいとか?

父と母を見るものの、二人は何も答えない。とりあえずこの場をどうにかしなくちゃ。


「旦那様にご用があって急ぎ参りましたのよ」


意地悪そうに目を細めたアイリーン。━━あはは、ムカつく。その喧嘩買った! 大好きなお父様とお母様にこんな顔をさせておいて、すんなり帰れると思わないように!!

わたしはにっこり笑って、無邪気な子供を装った。周りが聞いて不快にならないように、それでもよく聞こえるように声を出す。


「あら、そうだったの。ご苦労様。でもアイリーン、問題が発生して慌てていたのはわかるけれど、急いでいたからといって確認もせずにすぐ近くにあったドレスを選んで来る必要はなかったのよ。いくらわたしの誕生日会だからといって、いつも通りの格好でよかったのに、本当にあわてんぼさんね」


うふふ、と口元に手を当てて微笑んだ。アイリーンたちが目を丸くしたのがわかったけれど、気にしない。


「急いでお父様たちにお知らせしようとしてくれたのはありがたいし、気が動転していたのもわかるけれど、直接会場に来るなんて相変わらずおっちょこちょいね。ここが知り合いだけのパーティーでよかったわ。皆さん、寛大な心でお許しくださる優しい方々ですもの」


わたしは柔らかく微笑んで周囲に笑顔の大盤振る舞い。表情筋が痛い。誕生日なのに、何の試練だろう。

呆けるアイリーンに両親。メイリンがくすりと微笑し、ジャックも胸を撫で下ろしていた。


「普段は冷静で落ち着いているのに、何かあるとパニックになって周りが見えなくなる癖はまだ直っていないのね。そんなあなたも可愛いけど、とりあえずまずは落ち着いて? ━━ジャック、彼女を家の中に。お母様、申し訳ありませんが、アイリーンに服を貸してあげて下さい。メイリン、一緒についていって服を選んで」


目が合うと、優秀なジャックが強引にアイリーンを促して館へ退場させる。メイリンもわたしに小さく微笑んで、母を連れていった。唖然とする父にわたしは腰に両手を当てて、少し怒ってみせる。


「お父様、忙しい中来てくださったのは嬉しいですが、急ぎの案件が発生したときはどのようにするか、きちんと決めてからにして下さい」

「あ、ああ、すまなかったね、リフィ。どうか機嫌を直して欲しい」

「あら、謝罪はわたしにだけですか?」


和やかな口調で片目を瞑って、おどけてみせた。父が苦笑した。


「参ったね。ご来場の皆様もお騒がせして申し訳ありませんでした」

「お詫びといってはなんですが、わたしのお気に入りのデザートをすぐに運びますので、お召し上がりになってからお帰りくださいませ。それまで暫しご歓談を」


ちらりと音楽隊に視線を送れば、気づいたリーダーが指揮をとった。華やかな曲が会場を包む。

招待客たちも苦笑して、各々ダンスや話の続きに興じた。会場がさんざめく。


わたしは父を館に促して、近くにいた使用人にデザートを運ぶように頼む。

ほっと一息吐くと、「リフィ」と声がかかった。

会場がざわざわしてまたナニか問題!? と焦ると、振り返った先には美青年貴族。女性方がうっとりと彼に注目していた。


「…叔父様」

「遅れてしまってすまない」


呆然と秀麗な叔父の顔を見上げて、その側にいる困ったように微笑む従兄弟を見た。どうやらケイが急ぎ風魔法を使って、呼んでくれたらしい。


会場の空気は既にアイリーンを忘れて叔父に視線が集中し、老若男女そわそわと落ち着かないものに変化している。━━さすが叔父様。そして従兄弟。空気読めてインパクトあるわー…。

コレを利用しない手はない。

ジルベルト男爵を見上げると、わかっているというように小さく首肯された。


「一部始終を見ていたから、事情は何となく把握しているよ」

「……すみません」

「構わない。遅れたお詫びとでも思って、ここはわたしに任せてくれるかい?」


近づいて小声で会話をする。もちろん、お互いににこやかな笑顔で。━━叔父様、素敵にかっこよすぎです。さすがは天使の父君!


「皆様、ご紹介いたします。叔父のジルベルト・サンルテアです。忙しい中、駆けつけてくださってありがとうございます、ジルベルト叔父様」

「こちらこそ遅れてしまって悪かった。プレゼントにドレスを持ってきたから、是非着替えてわたしが帰る前に見せてくれると嬉しいな。隣国から取り寄せた珍しい生地なんだ。息子のケイトスが贈ったこの髪飾りと合うように作られているから」


会場の人々がお金と商売の話に反応している。

━━どうしよう。叔父がマジかっこよすぎてヤバイ…!! ケイもだけどお芝居がうま過ぎるよ! どの場面で使って、どこでその技術を鍛えたのかはあえて聞かないけど。


「その髪飾りを見たときから思っておりましたが、もしやお嬢様に贈られたのは、最近話題の魔物から採取ドロップされた稀少な琥珀核では? 姿を見せるのも稀な防御に長けた魔物は、騎士団全員でも倒すのがやっとだとか。確か持ち主を命の危険から守護するという大変高価な物で、加工するのも難しいと伺ったことがございます」


現れたジャックがすかさず、話を繋げた。

ジャックの登場と気軽に貰った物の稀少さに驚いたわたしと目が合うと、ジャックは涼しい顔で片目をパチリと閉じてみせた。

ジャックの話に招待客が興味津々で、いつの間にか叔父を囲むように人垣が出来ていた。


「お嬢様、男爵様から頂いたプレゼントの着替えの用意が出来ておりますので、どうぞこちらへ」

「ええ。ジャック、叔父様に飲み物を。それでは少し失礼いたしますね」


スカートをつまんで一礼。心配するケイと視線が一瞬、合った。わたしは安心させるようににっこり笑って、館内に引っ込む。誰もいない薄暗いリビングに入るなり、震えていた膝が限界で思わずその場に座り込んだ。━━緊張したぁ……っ!! うまく誤魔化せた!? きちんとやれた!?


何度か深呼吸してバクバク鳴っていた心音を落ち着かせる。緊張から解放されて安堵したからか、目尻に涙が浮かんだ。それを急いで拭って、立ち上がる。ふらりとしたけど、手をついて転倒を免れた。震える手を握って、もう一度つま先に力を入れて立ち上がる。ジャックがわたしを呼びに来たんだから、急がなくちゃ。

わたしは玄関ホールに向かおうと、部屋を後にした。


廊下に出て駆け出すと、すぐにガチャリとドアの開閉音がした。不思議に思って振り返ると、リビングから出た来たのはジャックだった。後ろに付き従って、案内してくれる。

たどり着いた玄関ホールには、玄関扉を背に父とアイリーンが、階段を背に母とメイリンが向かい合って立っていた。


両親は困ったように互いを見つめ、メイリンは冷ややかにアイリーンを。アイリーンは冷めた顔で佇立していた。

四人の視線が現れたわたしとジャックに注がれる。アイリーンが険のある目付きになった。

わたしだって、あんな風にぶち壊されて怒ってるよ。

普通は玄関から入って、使用人に取り次いでもらうとかするのに会場に乗り込んできて。 常識はずれにも程がある! わたしへの嫌がらせとお母様への当て付けだよね!


「すまない、リフィ。急用が出来てこれからすぐに出掛けなければいけなくなった」


予想していた父の言葉に、それでもわたしは落胆を隠せなかった。……折角、一ヶ月振りに会えたのに。

しょんぼりしたわたしを見て、母が食い下がる。


「エアルド、どうしても駄目なの?」

「すまない、シェルシー。きみにもいつも任せきりで苦労をかけてるね」

「それはいいのよ。わたくしは大丈夫だから」


両親の目がわたしに向いた。

わかってるよ。大丈夫、ちゃんと何が大事で優先するべきかわかってる。だから、きちんと笑えるよ。


「わたしのことは気にしないでいいよ。行って、お父様」


父の苦悩が滲む顔に、大事にされてるなぁと実感して、わたしは苦笑した。

その父の腕を横からアイリーンが掴んで、軽く引いた。


「行きましょう、旦那様」

「ああ、わかってるよ」


お父様がアイリーンの腕をそっと外すと、アイリーンは悲しげな顔になった。それから母とわたしを睨み付けてくる。


「大丈夫ですわ、旦那様。奥様とお嬢様も理解してくださいます。奥様が手伝っていた頃と比べて、商会が今どんなに厳しい経営状態なのか。そんな中、お二人に不自由させないため、いかに旦那様が身を粉にして働いているか、当然、わかっていらっしゃいますわ。ねぇ、奥様?」


初耳の母とわたしは息を飲んだ。

その様子を見てアイリーンは満足げに口角を上げた。知らなかったことを非難するような、自分が知っていることを特別と思っているような優越感のある表情で。そんなことも相談されなかったのかと、目が言っていた。

それから己が知る情報を得意げに語る。


「輸入業を専門にやっていましたが、徐々に他でも輸入雑貨を扱う店が増え、取引先が他店に鞍替えしたり、うちよりもいい商品を扱ったりして、今は厳しいんですのよ。新しい商品を売り出しても全く手応えはございませんし、別の市場に乗り出しても結果は芳しくありませんの。他所に取引先を奪われたり、店員の粗相で取引を打ち切られたり……そんな中、旦那様の苦労も知らずにこのような盛大なパーティーをよく開けましたわね」

「アイリーン、いい加減に黙りなさい。これは元々ぼくが計画していたんだ。リフィは昼間に親しい人だけでと言ったのに、ぼくが招待状を送って手配しておいたんだ」


父の言葉にアイリーンが傷ついた表情から一転、冷めたものへと変えて横を向いた。


「黙っていてすまない、シェルシー。でも今、海を隔てた隣国の大きな商会と大口の取引を進めているから、大丈夫。それが落ち着いたら、また前みたいに一緒にいられるようになるから」

「……ええ。信じて待っているわ」

「ありがとう」


ほっとしたように笑うお父様。お母様も微笑むけれど、顔色が悪い。お父様も気にかけていた。


「シェルシー、顔色が悪い。今日はもう休んだ方がいい。メイリン、彼女を寝室に」

「いいえ、大丈夫よ。今日は最低限、わたくしがホストとしてお客様を見送らないと」

「そうか…。でも大丈夫、リフィがいるから」

「…え?」


わたしは呆然と父を見上げた。父は眩しいものを見るように、痛みを堪えるように笑っている。


「……聞いたよ。シェルシーより魔力を多く持って魔法を使いこなせていると、マナーも完璧だと。さすがはサンルテアの姫だ」

「………」

「さっきの姿を見て、リフィなら大丈夫だと思ったけど、どうだい?」

「……。お父様とお母様の娘だもの、大丈夫だよ。任せて!」


ジャックとメイリンが口を開こうとするのを、わたしは目線で制した。綺麗に完璧な淑女の笑みを浮かべる。

父が辛そうに眉根を寄せて、疲れたような諦めて吹っ切ったような透明な笑みを見せた。


「サンルテア男爵もいらしたらしいね。きっと彼がしっかりまとめてくれるよ。だから大丈夫」


言い聞かせるように発された父の言葉に、わたしは少し悲しくなった。この家のことなのに、叔父様に任せるの? お父様が家長で挨拶もしてないのに簡単に頼めるの…? わたしは、サンルテアの姫じゃなくて、お父様の娘だよ?

何だか少し残念というか、結構がっかりした。くゆうわたしも叔父様にあの場を押し付けてきたんだけどね。━━ごめんね、叔父様。後でお礼とお詫びしなくちゃ。


父が母を見やり、休むように念を押す。躊躇う母を促し、メイリンを付き添わせて寝室に向かわせた。メイリンに支えられながら階段を昇るその背中を、父が切なそうに見送った。

アイリーンがイライラした様子で、口を開く。


「旦那様、急ぎませんと」

「わかった。先に行って馬車の手配を」

「……奥様はいつもそうやって逃げるのですね」


アイリーンの棘のある言葉に、母の背が震えた。メイリンが睨むと、アイリーンが青ざめて顔を逸らした。……うん、確かにコワイ。だったら喧嘩売るなよって思うけど。


「アイリーン、馬車の手配を」


泣きそうな顔になったアイリーン。踵を返すと、ヒールの音を高く鳴らして玄関ホールを出ていった。


母の姿も見えなくなり、父がわたしに視線を向けた。悲しげな目をしていた。すぐに、困ったようないつもの笑顔に変わったけど。


「リフィはしっかりしているね。きみがいてくれて本当によかった…。シェルシーのことを頼んだよ。この埋め合わせは必ずするから。それじゃ、行ってくるね」


頭を撫でられた。

離れる父の手をわたしは咄嗟に掴んだ。不思議そうな父にわたしは我に返って、言葉を探す。……どうしよう。何だかついやっちゃったんだよ~。


「リフィ? どうかした?」

「……待っていてね。わたしが必ず売れる商品を作るから! だからもう少しだけ待ってて」

「……ああ、楽しみにしてるよ」


お父様が両手で頬を包んでくれた。くすぐったくて温かい。

そっと頬に口付けられる。

三日後に戻って来ると約束した父に、わたしが無属性魔法で作っている商品を紹介する時間を取って貰った。……うん、これは頑張らないとね。


申し訳なさそうに去っていく父を見送り、わたしは小さく息を吐いた。着替えて、会場に戻らなくちゃ。

ジャックに着替えが置かれた部屋を確認して、忙しいのでメイドの手伝いを断り、一人で着替えようと部屋に向かった。




・・・ *** ・・・




リフィが館内に去っていくのを見送ると、父が苦笑した。


「ケイ、行ってきていいよ。但し、こっそりとね。この家の問題に口を出せる立場じゃないから」

「……はい」


僕は徐々に気配を消して、人垣を抜けた。

笑顔でそつなく囲む商人たちを相手にする父に、ジャックがグラスを差し出すのを見て、音無く薄暗い館内に入って固まった。

横でリフィが膝をついていた。


入ってすぐにいるとは予想していなかったから、思わずぎょっとした。

どこか怪我したのか、具合が悪いのか心配になって声をかけようとしたら、目尻に浮かんだ涙を拭って顔を上げた。そのまま立ち上がろうとして、よろけて転んで。震える手を握り締めて、しっかり立ち上がって駆け出す従兄弟。


追いかけようとしたら、ジャックに肩を掴んで止められた。静かにと、ジェスチャーで指示されて頷く。


「気づかないふりをしてください。お嬢様は一人で立ち上がれます」


そう言われたけど、僕は納得できなかった。確かに一人で今は立てた。でもその次は? 使用人だから手を差し出せない? 両親も娘に助けられているのに、それならリフィは誰に助けを求められる?

そう思うと、大人の身勝手さに何だか少しムカッとした。


ジャックがリフィと廊下で合流して去ってから、その後を追った。やり取りを見聞きして、失礼な部下に気分が悪くなる。━━何なんだろう、リフィが頑張っているのに。……甘えたいはずなのに…。だから咄嗟に伯父様の手を掴んだのに…。


何でリフィが気遣って無理して笑って。━━大人が気づかず、ジャックもメイリンも沈黙してるんだ。

この子なら大丈夫と決めつけられて、状況をわかっているから頷くしかなくて、何も言えくなる。まるで以前の僕を見ているみたいだ。そんなことを思いながら、着替えるために、とぼとぼと歩き去るリフィを見送った。


リビングで従兄弟を待っていると、光沢のある檸檬色の半袖ドレスに銀のショールを纏って現れた。ショールにはサリーから贈られたブローチを飾っている。さっきの装いより少し大人びて見えて綺麗だった。

リフィは僕を見て目を丸くすると、柔らかく微笑んだ。


「ケイ、どうしたの?」

「迎えに来た。そのドレスもよく似合っているよ」

「ありがとう」


リフィが時計を見たので釣られて僕も目を向けると、置き時計は七時を過ぎていた。空の色も変わり、今は夕日が赤く世界を染めていた。


その後は、皆がリフィを褒めそやした。中には息子の嫁にならないかと冗談めかして言ってくる人もいたけど、リフィは笑顔でスルーしていた。

しつこい場合はこっそりジャックに教えて、老執事曰く、だいぶ酔っていたのでお帰りいただいた━━強制送還したそうだ。さすがベテラン執事。いい判断だと思う。


父がフォローしながらも、リフィが招待客全員に挨拶をして見送った。その頃には八時近くなり、リフィは疲れているようだった。辺りはすっかり宵闇だ。


料理や飲み物、テーブル、人も楽団も去った庭はガランとしていて、物寂しい。

父は伯母様の見舞い、僕は従兄弟を探して出会った初日にたくさん話した丘の上を目指した。


会が終わるなり、着替えたリフィは少し前から姿が見えない。アッシュは食堂でたくさんご飯を食べて、寝ていたから一緒ということはない。

緩やかな傾斜を上りきると、リフィが木陰に背を預けて座り込んでいた。




・・・ *** ・・・




「リフィ」


声をかけられて、ぼんやりしていたわたしは顔を上げた。

目の前に立っていたケイが、じっとわたしを見てきた。心配してくれている。わたしは「大丈夫」と伝える代わりに笑った。

木に背を持たれかけたまま、目を閉じた。吹き抜ける風が心地いい。ようやく息を自然に深く吸えた。


「ケイ、疲れた」


呟くと、ケイが「うん」と相づちを打って、隣に座った。


「わたし、うまく出来てた?」

「もちろん」

「叔父様に謝らなくちゃ」

「気にしなくていいよ。お父様も頼って貰えて喜んでいたから」

「そうなの?」


小さく笑うと、ケイが「うん」と少し笑って返された。


「リフィ」

「なに?」

「ここで言った言葉に嘘はないよ。だから、手伝えることがあったら言ってね」


そう言えばそんなこともあったなぁと、わたしは一週間前を思い出して、まだそんなに時間は経ってないのに、あれからケイとは毎日一緒にいて、練習や訓練をしていると苦笑した。ここ二ヶ月の父よりも一緒にいる。


「ありがとう、ケイ」


本当にいい子だ~、癒される! 天使だ!!天使すぎて誰かに狙われた大変だよ!? と心の中で大絶賛した。

従兄弟は本気で聞いてないと思ったのか、吐息した気配が伝わってきた。


「とりあえず、何かあったら頼るように。それだけは覚えておいて」

「うん、わかった。それじゃ早速お願いしてもいい?」

「いいよ。どうしたの?」

「━━強くなりたいんだ。今よりももっと」


父とアイリーンの話を聞いていて、思った。もうすぐ例の事件の日がやってくる。

強くなって、不安を少しでも減らしたい。助けたい。

商会の状況がそんなに悪いなんて知らなかったけど、今ならまだ巻き返せる可能性もある。わたしはまた家族三人でのんびりピクニックしたり、お茶したり、たまに出掛けたり、一緒にいたかった。


少しずつ魔力の扱いにも慣れてきて、以前よりも強くなったけど、不安は消えなくて、まだまだ足りないと感じてしまう。

黙ったケイに不安になって目を開けて、隣を見た。

闇に似た、けれどそれとは違う落ち着いた濃い深緑の双眸。まるで深淵を覗きこんでいるような錯覚に陥る。


「リフィが強くなりたいのなら、僕の家の訓練に参加する? 今のリフィの実力なら、ギリギリついてこられると思う。どうする?」


静かに覚悟を問われて、わたしは一つ頷いた。


「よろしくお願いします」

「…………ん、わかった」


ケイが苦笑して、頭を撫でてくれた。


「クーガも会いたいってうるさかったから、ちょうどよかった。リフィはとりあえず魔法を重点的に鍛えるメニューにしようか」

「う、うん。お願いします?」


早まったか、わたし!?

一瞬、そんなことを思ったけど、強くなるためと気合いを入れた。


「……あの、クーガさんて?」

「メイリンのお父さん。サンルテアの執事でジャックの後輩だよ」

「ぅえ? そうなのっ!?」


ケイが涼しい顔で頷いた。

ナニソレ!? 見てみたい、会ってみたい!!

興奮して目が輝いたのか、鼻息荒く身を乗り出したわたしにケイが小さく吹き出した。


「訓練は早朝からだけど、リフィも毎朝してたよね?」

「うん。大丈夫」

「馬車だと時間かかるから、ここの場所にも慣れたし、このくらいの距離だと僕でも転移できるから迎えに来るよ。動きやすい格好で待ってて」

「わかった! よろしくね、ケイ」

「うん、よろしく。言っておくけど、伯母様とメイリンの訓練より厳しいからね?」

「わかった。頑張る!」


厳しいのは覚悟の上だよ。特訓どんとこい!


「頑張るぞー!」


拳を突き上げたら、立ち上がったケイが笑ってそれを掴んだ。そのまま手を引かれて、わたしも立ち上がる。勢い余ってケイに抱きつく格好になった。


「それなら早速、伯母様たちに話にいこう。明日の授業の調整もあるから早めに言っておかないと」

「そうだね。ね、ケイ」

「なに?」


手を引かれて館に戻りながら、わたしは前を歩く頼もしい従兄弟の背を見つめた。


「ケイがいてくれて、よかった。ありがとう」


だから、待っててね。絶対にケイも両親も助けてみせるから!


月明かりと星の瞬きの中、振り返った従兄弟は年相応に笑った。


「大袈裟すぎ」


━━……。ヤバい! わたしの従兄弟が可愛すぎる!! 落ち着け、わたし。お触り厳禁。触るならアッシュのもふもふを撫でて落ち着こう。迷惑そうな顔されても、アッシュなら大丈夫!!


深呼吸して落ち着いたわたしに、またもやケイが反則の麗しい癒しの笑顔を向けた!


「リフィ、今日はよく頑張ったね」


ケイはポンポンと頭を撫でると、前を向いて歩き出す。

………ごちそうさまです!! 明日からまた頑張れそう!

心配なのは、うちの従兄弟が無自覚天然タラシになるかどうかだけど、それはそれ。そのときになったら、然り気無く注意してあげよう。

わたしは口許を緩ませて、館に戻った。







長い駄文にお付き合い下さり、ありがとうございました。


次はケイトス視点②の割り込み投稿予定です。彼視点を終わらせてから、本編に戻ります。

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