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氷柱は桎梏を許さない  作者: 阿万音 周
始まりの章
2/3

ヘルとの会話

かなり、かなり短いです

「…誰?誰かいるの?」


 私の視線を釘付けにしていた彼女が私の存在に気がついたとき、私はとっさに隠れてしまった。

 光を反射している透明な氷は私をすっかり隠してくれた。

 私は静かに彼女の反応を待った。


 「……だ、誰も居ないよ。私ったら駄目、いるわけ無いのに」


 寂しげにそういう彼女も、また綺麗だった。

 私は女だけれど、彼女に恋をしてしまったのかもしれない。

 またすぐにでも泣き出しそうな姿を見て、リスクも省みず、つい飛び出してしまった私は悪くないと思う。


 氷のかけらを踏んだようで、小さな音が響いた。その場が静かだったこともあり、とてもよく響いた。

 彼女は私の姿を見て気のせいではないと言うことに気がついたようだ。

 

 「…あなた、は……?誰?」


 私はこみ上げてくる何かを必死に抑えながら精一杯感情を殺して静かに言った。


 「私は氷柱つらら。貴方を助けに来た」


 何故こんな言葉が口から出たのか、私にはわからない。

 ただ、最近ずっと失っていた感情を、喜びを感じることが出来てただただ嬉しかった。

 頭の中は真っ白なのに、口からは私の言いたかったことがどんどん出てきた。

 それはもう、機械のように。

 

 「寂しかったよね、悲しかったよね。わかるよ、私にはその気持ちが痛いほどわかるよ。だけれどもう大丈夫」


 「貴方はもう、一人じゃない。私がいる。だから安心して、泣かないで」


 「私は、…一人じゃ、…ない…」


 どうして私はこんなに簡単に知らない人と話しているんだろう。

 それも、自分の勝手な考えを押し付けて、訳わからない戯言を次々に並べて。


 「これは…私の夢じゃないよね…?起きたらまた、一人で、なんてないよね……?」


 「貴方がそう思いたいならそうだろうけど、残念ながらこれは本当のことだよ。わかったら、…落ち着いたら、貴方の名前を教えて」


 わかってないのは私だったけど、落ち着いていないのは私だったけど、それでも止まれなかった。

 喋りざるを得なかった。

 まるで神様に与えられた仕事みたいに私にぴったりで、この為だけに生まれてきたような気がする。

 今までの、私に降りかかった不幸は今日のためにあったのであろう。

 お父さんが死んだことも、お母さんが死んだことも、事故が起こったことも手を失ったことも走れなくなったことも叔母さんの家に住むことになったことも孤独を虚無感を感じたことも。

 

 「私の名前は、…ヘル。ここの国の王で、ただ一人だけの住民。今日も孤独を満喫中で、…あな、たみたいな…人を…ずっと……」


 私は、彼女(次からヘルと呼ぶことにする)が望んでいるであろう救世主でも良い人でもないけど、ヘルは私の望んでいる救世主に見えた。

 ごめんなさい、ヘル。

 貴方の期待には添えないだろうけど。


 「私は、貴方に会うためにここまで来たんだと思う。これは全くの偶然かもしれないけれど、私にとっては全て運命」


 


 

 


 

 


 

 

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