ポットを探して
「ポット?・・・それどこにあるの?」
エルシーはなんだかドキドキしてきました。
『妖精』なんて、生まれて初めてであったのですから。
「あそこにあるよ」
ポットの精ルウが指さしたのは、屋根裏部屋に上ってくる階段の方でした。
そこには大きな古いトランクや、何が入ってるか解らない箱、古い本がたくさん積み上げてありました。
「・・・いいわ。探してみる」
しばらく考えてから、エルシーは答えました。
ほんの少しだけ、ほこりにひるんでしまったのです。
そうして、いくつ箱の蓋をあけたでしょうか。
ほこりまみれになったのも、数えていた箱の数も忘れたころ、エルシーは小さな古い箱の中からティーポットを見つけ出しました。
「あったわ!」
でも、なんだか薄汚れて模様もはっきりしません。
エルシーはなんだかかわいそうになって、ハンカチでポットを磨いてみました。
すると、白地に淡いピンクの花模様が浮かんできました。
さらに磨いていくと、たくさんのピンクの花模様が浮かんできました。
嬉しくなったエルシーが夢中になって磨いているうちに、ティーポットはすっかり綺麗になっていました。
そうしたら・・・。
「エルシィ」と、大きなルウの声がしました。
エルシーがルウの方を振り向いて見ると、どうしたことでしょうか。
ルウは見違えるほど綺麗になって、エルシーと同じ大きさになっていました。
「ルウ・・・ルウなの?」
「そうだよ、エルシィ」
びっくりして動けなくなったエルシーの両手から、ティーポットを受け取ってルウは片手を差しだしてにっこりしました。。
「君のおかげで、もとの姿にもどれたんだ。ありがとう、エルシィ」
「私はエルシーよ」
ルウの手をつかんで立ち上がって、エルシーは自分の名前をいいました。
だって、エルシィは自分の名前ではありませんからね。
「ううん、僕たちの呼び名では君はエルシィなんだ。秘密の名前なんだよ」
秘密の名前!なんて素敵な響きなんでしょう。
ルウはさらに嬉しくなる事をいいました。
「だから、エルシィ、お礼にお茶会に招待するよ」
「お茶会!ほんとうに?」
「ほんとうだよ」
「すてき!」
お茶会に招待だなんて、生まれて始めての経験です。
エルシーはすっかり嬉しくなりました。




