出会い
屋根裏部屋って、魔法の香りがしませんか?
エルシーは、古いものがいっぱいの屋根裏部屋がお気に入りです。
ここには亡くなったお祖母さまが大切にしていた、古い鏡台が置いてあります。
家中の鏡の中で、エルシーが特にお気に入りなのがこの古い鏡台でした。
銀を磨き上げた鏡は、エルシーに親切です。
鼻の上のそばかすも、赤みの強い髪の毛もはっきり写さずに、淡い銀の光で包んでくれますから。
エルシーはいつものように鏡台の前に座って、古いレースのケープを肩に羽織りました。
少し瞳を閉じるだけで、メッキのはげた金のブラシも、空っぽで中が琥珀色になった香水吹きも、新しくなってきらきら輝いています。
さっそく綺麗になった金のブラシで髪の毛を梳こうとしたら、何かが髪の毛に引っ掛かりました。
そっと後ろを振り向いて自分の髪の毛を持ち上げたら、小さな小さな男の子が髪に絡み付いていました。
随分と汚れてはいますが、着ている洋服は素敵でした。
「お人形?」
すると、男の子はピクリと動きました。
『古いものには、魔法があるのさ』
お祖母さまがそうお話してくれたのを、エルシーは思い出しました。
ですから、髪に絡まった男の子を助けてあげました。
「ありがとう・・・」
男の子は弱々しい声でいいました。
「僕、お腹が空いたよ・・・」
エルシーが持っている食べ物といえば、エプロンのポケットに入れてあるクッキーだけです。
「クッキー食べる?」
男の子はこくりとうなづいて、エルシーの手からクッキーを受け取りました。
ほんの少しだけ、男の子は元気になりました。
「私はエルシー、あなたは誰?」
「僕はルウ」
ルウはエルシーを見上げて言いました。
「エルシー、お願いがあるんだ。僕をみつけて磨いて。僕ね、ポットの精なんだ」




