表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデンの園  作者: 北東
3/20

第三話【子供】

すみません、携帯を無くしてしまい投稿が遅れてしまいました。


少し急いだので、誤字脱字があるかも知れません。もし見付けたら指摘して下さい。

さて、無事に森から出た俺はとある町に来ている。名前はしらないからとある町。


転移でリアンデル王国の王都に飛んだので、ここは王都リアンダルの筈なのだが、何故か町並みが違う。まず町の中心地にある城が違う。


リアンダルに建っていた王城は、見た目が要塞かと見間違えるくらいごつく荒々しい造りだったのだが、ここから見える城は白を基調とした優雅な造りだ。例えるとしたらシンデ〇ラ城と言ったところだろうか?


それに俺が今居る場所もおかしい。本来リアンダルに転移した際には町の入口―――つまり正門に出る筈なのだが、俺が居るのは正門からかなり離れた位置にあるスラム街だ。


リアンダルに転移しようとしたら、今迄見た事がない町に―――しかもスラム街に転移してしまったのだ。


まぁ一応町に転移出来ただけ良しとしよう。お陰で飯にありつけそうだ。早速飯屋を探すか。


―――と思って歩き出そうとしたら、何やら身なりのよろしくないDQN達が現れた。


「へへへっ、兄ちゃん悪い事は言わねぇ、有り金全部置いていきな。」


何やらDQN達のリーダーっぽい奴が話し掛けて来たのだが、ちょっと気になる一言があった。


「俺は兄ちゃんって言われる様な歳じゃねぇんだが………。」


“兄ちゃん”って言われるのはまぁ仕方ない、俺の見た目が若いからな。しかし、現実(リアル)の俺はもう68歳だ。明らかに兄ちゃんと呼ばれる様な歳じゃない。


因みに言ってなかったが俺は今年で68歳です。爺さんです。言動はキャピキャピと若々しいですが、もうすぐ70になる爺さんです。


何時までも純粋(ピュア)な爺なんです。多少ハイテンションですが足腰が弱くなってきた爺なんです。労って下さい。


そんな訳で、俺は兄ちゃんと呼ばれるのが非常に不快だ。だって自分より明らかに年下の小僧から、おい兄ちゃん!なんて言われたらむかつくだろ?


「ブツブツ言ってねぇで、さっさと金目の物出せや!!」


「………調子に乗んなよ小童(こわっぱ)が!」


いきなりキレたりするのは大人げないと思って我慢していたが、流石にぶちギレてしまい叫ぶと同時に武術スキル《アースシェイク》を使用する。


どうやらスキルはわざわざ声に出さなくても使用可能ならしく、スキルを使おうと思い浮かべたと同時に《アースシェイク》の予備動作に入った。


《アースシェイク》の予備動作は、まるで力士がしこを踏む様な動作で片足を上げて、地面に降り下ろすという物なのだ。因みに効果は名前の通り、地震を起こすという物だ。


ダンッ!と足を地面に降り下ろした数秒後、俺の足下を震源地に半径5kmにわたる大地震を起こす。

勿論揺れその物でダメージは無い、このスキルは大地震を起こし二次災害でダメージを与えるスキルなのだ。


例えば海辺で使えば津波を、山で使えば土砂崩れを、草原で使えば地割れを、街中で使えば家屋の倒壊を惹き起こす。《アースシェイク》はある意味、最も周りの環境で効果が変わるスキルだ。


―――ってそんな事より、あのDQN共はどうなった?


「うわぁ!脚が、脚がぁ〜!」


「助けてくれぇ!体が、体が挟まって動けねぇ…。」


「た、助けてくれぇ……。」








………阿鼻叫喚の地獄絵図とはこの事だろう。


町中で《アースシェイク》を使うのは不味かったらしく、目に見える範囲にある建物が全て倒壊してしまった。DQN共は倒壊した家屋に下敷きにされて、酷い事になっている。それだけならスッキリしたで済むのだが、DQN共以外にも被害が出ているのは困ったな………。


周辺がスラム街だった為、古い家屋の再利用や廃材を集めて作った家が多く、ほとんどの家屋が地震に耐えられず、被害が非常に広範囲に出ている。流石に町中で超広範囲型スキルを使うのは非常識だったか………、と反省しながらもさっさとこの場からとんずらする事にする。


幸いスラム街の外―――普通の町にはあまり被害が出ていない(それでも何件かの建物は倒壊している)らしく、そこへ向かう。


今は懺悔よりも飯だ。腹が減ってはなんとやら………ってやつだ。べっ、別に壊れた家屋の修理が面倒くさい訳じゃないんだからね!………今のはキモいな、忘れてくれ。


そんな事よりも飯だ。都合がいい事に、目の前に大通りに面したオシャレなカフェがある。どうやら今はランチタイムならしく、ランチセットなる物があるらしい。


「ここが一番無難だな。」


周りを見渡して他に店が無いか見てみるが、あるのは夕方から開く居酒屋と敷居が高そうなレストランくらいだ。


今の格好でレストランには入れないだろう。何せ常闇シリーズは非常に不気味な雰囲気を醸し出しているからな。常闇シリーズは頭、胴、腕、手、腰、脚、足の7つで構成されている。


頭は常闇フード、真っ黒なフードとネックウォーマーが一体化した様な物で、ネックウォーマーを鼻筋まで上げてフードを被ると、どの角度から覗かれても中が見えなくなると言う、謎の機能が付いている。


胴は常闇シャツとコート、真っ黒なYシャツとロングコートのセットで、ロングコートには羽織った際にずり落ちない様にボタンが付いており、Yシャツの肩に止められる。


腕は常闇腕甲、真っ黒な腕全体を覆う鋼鉄製の腕甲で、動きを阻害しない様に徹底的に無駄を減らしてあり、普段はシャツとコートの袖に隠れる様になっている。


手は常闇グローブ、真っ黒な皮製のグローブで、伸縮性が高く手にピッタリと密着するが、蒸れない様に作られている。


腰は常闇腰布、真っ黒な布地に白で闇と書かれている腰に巻く布、用途は不明だが巻いていると御利益があるらしい。


脚は常闇ズボン、真っ黒な絹で作られたズボン、キッチリとした折り目が付いており、履いているだけで気持ちが引き締まる………様な気がする。


足は常闇ブーツ、真っ黒な皮製のコンバットブーツで、中に鉄板が入っている為攻撃力が少し上がる、履いていても足が臭くならない消臭効果があるらしい。


以上が常闇シリーズの全装備だ。今は足に天上人の靴を履いているが、常闇シリーズで固めれば全身真っ黒になる。それは見た目が非常に怪しく見えるらしい(仲の良かったプレイヤー談)。


まぁこの装備は、暗殺者(アサシン)や忍者等の職業に付いているプレイヤーに人気があったので、どうもそう言う類いの怪しさが滲み出るらしい。


別にそんな怪しい物ではないのだ、確かにフードを被れば顔が見えなくなるし全身真っ黒で統一されるし、いまいち必要なのか分からない様な謎の機能が付いているが、そんなに悪い装備ではない。まぁ、ああ言う敷居の高そうな高級店に入る格好としては、完璧アウトだが………。


まぁ話を戻そう(最近よく話が横道に反れてしまうな………)、早速昼食を摂る為にカフェに入る。カランカランッ!と扉に付けられたベルが鳴り、数秒後に若い店員がやって来た。


「いらっしゃいませ!本日は何名様でお越しでしょうか?」


「1人だ。」


「かしこまりました、お席へご案内します。」


ふむ、ちゃんと教育が行き届いてるな。こういう店はわりかし好きだ、ちゃんと目上の人への対応が出来ている。現実(リアル)で何度かカフェやファミレスに行ったのだが、たまに態度の悪い店員が居るのだ。


そういうのが居ない店は大好きだ。こんな老いぼれ爺相手にちゃんと対応してくれる、それだけでも涙が出そうなくらいだ。最近は老人を労ってくれる若者が減っているからな。


そんな事を考えている内に席に着いたらしい。大通りに面した、大きな窓ガラスの近くにある席だ。なかなかどうしていい席じゃないか。


「此方のお席にお掛け下さい、こちらはメニューです。ご注文がお決まりでしたら、そちらのベルを鳴らして下さい。」


「あぁ、ありがとう。」


「いえ、それでは失礼します。」


やっぱり対応が確りしてるなぁ〜、と思いながらメニューを見ていく。どうやら外の看板に書いてあったランチセット以外にも、色々とあるらしい。


例えばクッカークックのチキンカツサンドやミノタウロスのフィレステーキ、果てはピクシー小妖精の南蛮漬けなる物まである。明らかに最後の妖精のやつはグロいと予想出来るので、候補から外しておく。


今回はイノブタイノシシのカツサンドを頼む事にする。イノブタイノシシとは、突進力が強くスピードが早いので要注意なイノシシだ。肉質はまさに豚だが少々筋がある、【エデン】でも食材としてポピュラーな物だ。【エデン】では“舞さんのカツサンド”と言う名称で親しまれていた。


ベルを鳴らして店員を呼び、イノブタイノシシのカツサンドと珈琲を注文する。するとものの数分で注文したカツサンドと珈琲が来た。


どうやら保存魔法とやらを作り置きの料理に掛けており、すぐに出せる様に準備してあるらしい。保存魔法と言うのは初耳なので興味があったが、企業秘密ならしく教えて貰えなかった。


因みにカツサンドはなかなか美味かった。え?「食べる描写が無いじゃないか」って?………野郎が飯を食う描写を見たいのか。


俺は見たくないからカット、だから今は食後の一服中だ。珈琲を飲みながら窓ガラスの外に目を向けると、先程の《アースシェイク》で壊れた家屋の撤去を手伝うべく、兵士らしき者達が大通りを行き交っている。


「―――まったく、何だってこんな時期に地震なんて起きるんだ。」


「―――お、俺の店がぁ〜!」


窓ガラスを挟んでいても、大通りからの声は聞こえてくるのでなにやら罪悪感が………。すみません兵士さん地震起こしたのは俺です、後店が壊れてしまったおっさん、壊れた原因は俺です。


罪悪感がミジンコ1匹分程出てきたので、心の中で謝っとく。まぁ謝りはしても修理なんかは手伝わないけど………。


そんな大して心の篭っていない謝罪を心の中でしながら珈琲を飲んでいると、なにやら大通りから歓声が上がった。


「うぉおお!!レフィ様だ!どうしてこんな場所に来てるんだ!?」


「レ、レフィ様がわざわざこんな所に!?」


歓声の一部を聞く限り、レフィ様とやらが来ているらしい。様付けされているし、きっと有名人なのだろう。


レフィと言う名前のNPCは知っているが、アイツは様付けされる様な奴じゃない。アイツを言葉で表すならば“お転婆娘”が一番しっくりくる様な奴だ。


「そう言えばアイツは元気にしてるのかねぇ?」


懐かしい思い出を思い出したので、無償に会いたくなってきた。大通りに居るレフィ様とやらに、思い出させてくれた感謝の気持ちを送る為(勿論心の中で)に歓声が上がっている方を、珈琲を飲みながら見た。


「ブッ!!?―――ゲッホ!ゴホッ!………何故あの“お転婆娘”がここに居るんだ!?」


思わず吹き出してしまった珈琲をおしぼりで拭き取りながら、今見た光景を思い出す。


先程言っていた“お転婆娘”が、爽やかな笑顔を振り撒きながら倒壊した建物を修復していた。


「………あり得ねぇ、あの“お転婆娘”が物質を修復するなんて。」


【エデン】のプレイヤーの大半が知っている“お転婆娘のレフィ嬢”。料理をすれば暗黒物質を作り出し、回復魔法を使えば傷口を広げ、アイテムを修理すれば消し炭に変える。言わずと知れたNPC、そして………俺の娘でもある。


一時期【エデン】で流行ったNPCの育成クエスト、孤児を育てろ!で育てたゲーム内での長女だ。因みに育成クエストの流れは、孤児院で子供を引き取る→育てる→自立させる、といった感じだ。


引き取る際に性格や才能がランダムで決まり、育てる際には一緒にクエストを行いレベリング、自立させると他のNPC達の様に街中で暮らしだす。


因みに【エデン】はNPCに非常に凝っており、まるで本物の人間の様な仕草や行動をするので、NPCによってはある程度自由に会話が可能だ。話を戻そう。


問題は全プレイヤー(俺以外)を恐怖のどん底へと叩き落とした“お転婆娘のレフィ嬢”が街中で、家屋の修理を手伝っていると言う事だ。奴はヤバいのだ、何がヤバいってその恐ろしい“失敗”がだ。


過去に一度だけ、レフィを大規模な戦争イベントに参加させた事があるのだが、その際にアイツは敵に魔法スキルを使おうとした、しかし石に躓き転けてしまいその魔法をあろう事か味方に放ったのだ。


戦争イベントに誤射(フレンドリーファイア)は付き物だ。その為その際も謝れば済む筈だった―――それが広範囲魔法スキルでなければ………。


その一撃で俺達が参戦していた側のプレイヤーの4割を消したのだ、それが原因で“お転婆娘のレフィ嬢”と呼ばれる様になったのだ。それが街を修復するなんて………下手すれば街ごと消し飛ばされかねない。


「………街から脱出するべきか?」


思わず呟いてしまったが冗談ではない、アイツは超難関クエストに連れ回したのでレベルが2万を越えているのだ。流石に俺はレフィの一撃で死ぬ様な柔な体ではないが、それなりにダメージを食らう事になる。ならば急いで逃げるべきだろうか?


しかし、一概にアイツがヤバい奴だとは思えないと言う考えもある。何故なら“あの”レフィが様付けで呼ばれているのだ。


アイツが【エデン】の時の様な失敗をする様な奴ならば、様付けされる程慕われるだろうか?【エデン】の時のアイツは危険人物として隔離される事はあれど、様付けされる程慕われる事は絶対にない。


ならば彼女は“お転婆娘”で有名なレフィではないのかもしれない。レフィにそっくりな同姓同名なだけの人かもしれない。


「乗り気にはならないが、確かめてみるか……。」


珈琲の残りを一息に飲み、レジへ向かう。


「ありがとうございます、合計で1100K(キルト)になります。」


レジで店員が会計をして代金を言ってきたのだが、予想通り知らない単位だ。【エデン】では金の単位はG(ゴルド)だ、まぁゲーム世界への転生物の小説にはよくあるものだ。


こう言う事態を予想して、予め大通りで財布を盗んでおいた(スキル《盗人》を使用して)。中身は銀と銅色の硬貨が何枚か入っており、銀には1000銅には100と書かれている。


ならばこの場合は、銀貨1枚と銅貨1枚を渡せばいいのだろう。財布から銀貨と銅貨を1枚づつ取り出し、店員に渡す。


「確かにお預かりしました、またのお越しをお待ちしております。」


どうやら当たっていたらしい。これで大体の物価が分かる。


―――っとそんな事より今は、レフィ様があの“お転婆娘のレフィ嬢”なのかどうかを確かめないと。


先程歓声が上がっていた場所を見るとまだレフィが魔法を使って家を直していた。今なら行けそうだな、と思った俺は《隠蔽》を使い隠れてから近付いていく。


ある程度近付いたら、スキル《検索(サーチ)》を使用してレフィのステータスを見る。まぁステータスとは言っても、見れるのは名前と性別と種族とレベルだけだがな。


   ★   ★   ★   


名前:レフィ=L=スルト

性別:女

種族:エルフ


level:20,257


   ★   ★   ★   


………うむ、これは間違いなく“お転婆娘のレフィ嬢”だな。


どうしようか?レフィはなぜか、街の人達に歓声を浴びせられる程の人気者になっている。一応娘だから挨拶くらいしといた方がいいんだろうが、あんな歓声が上がる中で声を掛けたら注目されるよな?


俺は意外と根暗なんだ、つまり大衆の面前で喋ったりするのが得意ではない。


だから挨拶は後にしようかと思っていたら、レフィが突然俺が居る方を向いて険しい顔をしだした。


おかしいな、俺は今《隠蔽》を使ってるから姿が見えない筈なんだが………。


「………隙あり!!」


何やら一瞬思案した後、物凄いスピードで俺の目の前に現れたと思うと、顔面に衝撃が走り気付いたら吹っ飛ばされていた。


何事だ?と思いながらも吹き飛ばされ続けていたら、大通りにあった一軒の店に激突してしまった。普通なら激突した俺が潰れるのだが、生憎俺はそんなに柔じゃない。


激突した店の壁をぶち壊し、さらに吹き飛ばされて何軒かの店や家の壁をぶち壊し、数百m飛んだ所で止まった。


突然吹き飛ばされて驚いたが、今は冷静になって考えられる。恐らく俺はレフィに蹴り飛ばされた、それも全力で。


恐らくレフィが取得していた武術スキルの1つ《気配探知》の効果で、俺の《隠蔽》を無効化したのだろう。それでわざわざ《隠蔽》まで使って隠れている“不審者”を蹴り飛ばした、と言った所だろう。


「………あの小娘がっ!!何百回と口酸っぱく言ってきたのを忘れたのか!」


俺はレフィを育成していた時によく言っていた、「レフィ、お前はバカでドジでマヌケでおまけにアホだから、怪しい人物を見付けてもちゃんとそいつが敵かどうかを確かめてから攻撃しろ。」と。


レフィはよく一般のプレイヤーを勘違いや失敗(ミス)でPKする事が多く、よく俺にPKされたプレイヤーから苦情がきていた。


俺はその度に何かしらのアイテムや、金を渡して事態を穏便に済ませてきた。だからいい加減にPKを止めろと言う意味を込めて、上記の台詞を何百回と言ってきたのだ。


「アイツは一回痛い目に会わなきゃ変わらねぇだろ?」


いくら娘(養子だしゲーム内での話だが……)でも流石に許せない。レベル1,000程度の雑魚だったなら確実に死ぬ様な一撃を、こちらが敵対しているのか分からないのに放ってきたのだ。


流石にキレる。それにあの小娘(レフィ)には、もう1つ口酸っぱく言っていた台詞がある。


「殺られたら殺り返せ、千倍にしてな!」


叫ぶと同時に走りだし、一瞬でぶち壊して来た家や店の残骸を抜けてレフィの元へ近付き、軽くハイキックを食らわせる。


スキルもなにも使っていない“只の”蹴り、しかしそれは【エデン】のプレイヤーなら誰もが知っている程の、ある意味チート級の武具よりも危険なものだ。


レベル1万以上のプレイヤーは武具やスキルに頼るよりも、純粋な格闘技を使う方が強い。


そんな触れ込みがある程レベル1万越えの体術は凄まじい。それは食らった方からすればひとたまりもない。


パンッ!!と破裂音が響いた時にはレフィの姿はとうに消えており、消えたレフィの代わりに俺が立っている。


破裂音は空気の壁を壊す―――音速を越えた音だ。つまり音よりも早い蹴りをレフィは食らい、先程の俺の様に建物の壁をぶち壊しながら吹っ飛んで行ったのだ。


速度は重さ―――音よりも早い蹴りの重さは、いくらレベル2万越えでも瀕死は免れない一撃だ。


「ちょびっとだけやり過ぎたか………?」


いくらキレていたとは言え、娘に対して蹴りを放つのはやり過ぎだろうか?昨今では子供の頭を軽く叩いただけで、虐待だとか言われる様な世の中なのだ。


教育委員会に訴えられないだろうか?―――ってかいこの世界に教育委員会とかあるのか?


「一応後で調べておこう。………ん?やけに静かだな?」


今俺が立っているのは大通りのど真ん中だ、人の往来が激しいので静かな訳がない。なのに今は耳鳴りがする程静まりかえっている。


まぁ理由は分からんでもない。目の前で突然、視認不可能な速度人が蹴り飛ばされたのだ。ポカンとアホ面さらすのも致し方ない。


っと、それよりレフィだ。アイツは多分あの程度の軽い蹴りで死にはしないだろうけど、一応重傷だろう。


そう思ってレフィが吹っ飛んで行った方へ向かおうとした瞬間、殺気を感じて瞬時にその場から離れる。


するとさっき迄俺が立っていた場所に炎の矢が幾つも刺さる。あれは《ファイアアロー》、大した威力が無い代わりに連射性とスピードに優れている。


当たっても死にはしないが、熱いのが苦手な俺はアレに触れたくない。


「しかし、誰が撃ってきたんだ?……飛んできた方向から察するに、レフィか?」


どうやら瀕死だと思っていたレフィは、《バックステップ》で後ろに飛びながら《受け身》を使ってダメージを軽減したのだろう。


意外な所で娘の成長を実感出来る………何とも言えない気分になってしまう今日この頃だった。



少し長くなるので、一旦ここで切ってみました(ちょっと強引な切り方だったかな?)。


前のあとがきで、文字数を減らして投稿頻度を上げるとかなんとか言っていましたが、どうにも書きたい内容を書いていると文字数が増えてしまいます。

これからも亀並の投稿でがんばります!ですのでエデンの園をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ