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第一章 三話

★ミヅキ

Lv.1

装備.天空の剣 ボロの布切れ

スキル.☆ゲイズ☆ブックマーク☆SP召喚☆異空間BOX☆素早さUP


がチャリ


鍵を開ける音がした。狙い通り、アッシュという兵士が鉄格子と扉を開く。ギギギという鈍い音をたてながら扉を開く。


「なぁ、アッシュ。」


ミヅキは兵士に向かって話しかける。もちろん、兵士は驚きを隠せない。


どうして、これから奴隷になるものに名前を知られているのか。もしかして、自分が知っている誰かなのか?いや、こんな知り合いはいない。なぜなんだ。


そんなことを考えながらも、自らの仕事を全うしようとした。


「早く出ろ。」


そう言った瞬間、後ろから殴られた。アッシュは意識をうしない、鍵を落とした。


「さすがに殺しは出来ないよな。」


ミヅキは鍵を拾い、他の兵士も同様に後ろから気絶させ、次々と鉄格子を開けていった。


天空の剣のスキルすごっ!!はやっ!!


捉えられていたナツメ村の人々を鉄格子から出した。入ってきた方へ向かい、出ようとしたところで、気付く。


あれ?ハーミットがいない。


村長ハーミットの姿がなかった。まさか、別のところにつれていかれたのか。ちょうどいい。ブックマークに記憶できるチャンスかもしれんな。


ミヅキは十数人の村人を建物の外まで連れていくと、再び建物の中へ入っていった。最初来たときは分からなかったが、鉄格子のある部屋は地下にあって、どうやらそこは、お城の地下であるようだ。


まさか、国が奴隷を公認しているのか。


世界が変われば、常識も変わる。奴隷制度はミヅキに嫌でもその事を考えさせた。


ゲイズで自分のステータスを確認したが、Lvに変化はない。気絶させるだけではダメなのか。


鉄格子の並ぶ部屋。奥に小さなドアがあった。ノブを回し、扉を開くと上り階段がある。ドアを潜り、裏から鍵をかけ、階段を登った。


話し声が聞こえる。


「ははは。奴隷が18人も増えて、仕事が楽になるのぉ。」


「まさか、村ごとつぶすとは恐ろしいお方ですねぇ。」


「もとはといえば、お主の提案ではないか。」


「その分、しっかりと身分を保証してくださるんでしょ?大臣様。」


「任せておけよ。わしの力で身分などどうにでもなるわ。言うなれば、最高権力よな、わはははは。」


「ありがとうございます。」


「して、ハーミットよ。どの地位につきたいのだ?」


ハーミット……?

村長が、村を売ったのか?家族を殺された話は?嘘だったのか?ミリアは助言をくれない。助言にも限界があるのか、効果の範囲外なのか。それはともかく、何も考えぬまま、大臣と村長の話している部屋の扉を蹴破った。


「なんだ!お前は!!」


大臣が叫ぶ。


「確か、ミヅキ。」


ハーミットが言う。


ミヅキは高速で移動し、まずは大臣の背後に回り込み首もとを一撃。気絶させた。そして、ハーミットに剣先を向ける。


「騙したな。ハーミット!」


ハーミットの表情は最初にあった時のような陽気な顔をしている。


「あと少しだったんですが、まさか、あなたがそんなに強い旅人なんて思いませんでした。そんな汚い身なりで、武器も持っていなかったのに。」


表情は変えない。しかし、声色は変わってきた。陽気な顔で声色が変化するとなんだか恐ろしいものを見ているような気分になる。


「仕方がない。こうでもしなきゃ、あの村潰せないじゃないですか!」


その瞬間、ハーミットの体が黒いもやに包まれた。もやが晴れると同時に、中からこれまで見たこともないような生き物が出てきた。


『ゲイズ』


すかさず使う。


★ハーミット

Lv.5

種族.悪魔族ミニデーモン

装備.悪魔のナイフ 悪魔の服 悪魔の靴

スキル.☆ナイフ投げ☆変幻自在☆小悪魔召喚《悪魔装備スキル》


ハーミットはナイフを構える。明らかにこっちの方がリーチは長い。しかし、今日はじめて剣を握ったミヅキと、気になるスキル☆ナイフ投げ。


色々と試したかった、けれども、命は大切だ。ミヅキは天空の剣を構え、左足に力をいれる。


ハーミットからナイフが放たれる。☆ナイフ投げだ。瞬間、左足爪先で床を弾く。一気にハーミットの後ろに回り込み、一撃を当てる。


手応えあり。


ハーミットは倒れる。あっけなかった。ハーミットからナイフを奪う。全部で50ものナイフを服のしたに隠していた。それらのナイフを異空間BOXに収納する。50本のナイフをいれても、まだキャパシティは大丈夫らしい。


がさごそとハーミットの衣服を探り、立ち上がるといつの間にか、周りを囲まれていた。人間の顔ではない。


☆小悪魔召喚:小悪魔を数体召喚する。ただし、使用者より能力が高いものは召喚できない。


「油断したな、ミヅキ。」


そういうと、ハーミットは目を開き、左手にもつナイフを一閃。飛び退くが、ボロの布切れの胸元に一文字の切れ込みが入った。周りは小悪魔。


この展開、絶体絶命?まさか。


『ブックマーク』


ミヅキは、光る本を手のひらに浮かせる。☆ナイフ投げと念じると、そのページが開かれる。


「☆ナイフ投げ」


唱えると、天空の剣はいつの間にかナイフと入れ代わり、ナイフの軌道がイメージ出来るようになっていた。軌道をイメージして、そのまま投げる。


ブスリっ


と音をたてて、ナイフが小悪魔の胸に突き刺さる。本体あわせて八体の小悪魔の胸に次々と刺していく。刺された小悪魔はその場に崩れ落ち、砂となって消えた。


ブックマークを閉じると、ナイフも消えた。


このままお城に乗り込もうと少し思ったが、もとはといえば、このハーミットと大臣の企みなのだろうし、国は関係ないだろうという判断のもとだった。


というのは、建前で、兵士の中に明らかに勝てなさそうなのがいたので、諦めて帰ることにしたのだ。


これから、村人のところへ行き、ハーミットのことを話さなければならないと思うと胸が苦しかった。





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