0.00 Prologue
まだ、小学1年生だった俺――吉野守入学当時、誰にも話しかけられず気づけばクラスから孤立した――一人になっていた。一人が一番落ち着くんだ。
――だが、この時は。
ある女の子が声を掛けてきた。少女の名は桐ケ谷里香と言った。少女はとても可愛く優しかった。とても気軽に声を掛けてくれた。これをきっかけに俺はクラスと打ち解けていったのであった。
出会いは突然だった。そして、
――別れも突然だった。
2032年8月3日『東京湾シージャック事件』。
行方不明者1名、負傷者33名。犯人6名全員逮捕。
行方不明、桐ケ谷里香7歳。
新聞にはそう出ていた。
これは、TVでも新聞でも大きく報道されていた。
これを聞いたとき、俺は泣き崩れた。好きだった。大好きだった。心の支えになっていた。だが今はもういないのだ。死にたかった。彼女がいない世界など、生きている価値などない。もう嫌だった。消え去りたい。そう、思っていた。
そして、俺は一度死んだ。
ビルから飛び降り自殺をしたのだ。ちゃんとした痛みを感じ一度死んでいた。だが、
――今生きている。
病院に運ばれたときには息をしておらず周りにいた全員が死んだと思った。
だが、生き返った。
生き返らなくてはいけなかった。
俺の頭の中に声が響き渡っていた。
「あなたは死んではいけない。あなたしか彼女を助けられない。さぁ生き返るがいい」
俺は生き返った。その時俺は誓ったのだ。
――彼女を助ける!
俺はその事を今――高校1年生になってからある出来事が起こるまで思い出さなかった。