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元素な彼女と記号な俺  作者: 五円玉
化学部日常篇
9/45

元素8 田沼意次と野口英世は賄賂に使える

「Oよ、何故今日の朝練来なかった!?」


「先輩……顔、超近いです」


俺の鼻と先輩の鼻がくっつきそう。




現在、あの酔っぱらいパニックがあった日の放課後。


結局、あの後学校行ったんだよ?


後から来た警察に事情徴収され。


アキコは何やら警察から賞を貰うらしい。


(コンビニで暴れた酔っぱらいを、女子高生が捕まえた!!)


って記事が明日の朝刊に乗りそう。


で、今、放課後の部活中。


コンビニパニックのせいで、結局朝の部活には間に合わず、仕方なく朝練はサボったのだ。


「Oよ、何故来なかった!!」


杵島先輩はご立腹。


「だから、今朝はコンビニの事件に巻き込まれて……」


「O、まさかお前、幽霊部員に……」


さっきからずーっとこう。

何回言っても、このクルクルパー、略してクルパは信じない。


「だからコンビニの事件に……」


「Cよ、今すぐに徐霊をしてくれる陰陽師を呼んでくれ!!」


「だから違うっつってんの!!」


クルパいい加減にしろ。


それから琴浦さん、携帯取り出すな。

陰陽師に連絡いれるな。






















「はぁ〜……疲れた」


結局、あのクルパに全てを理解させるのに小一時間。


何だ、あの読解力のなさはッ!!


「ソノママ、ヨッパライニナグラレレバヨカッタノニ……」


「……お前後で体育館裏にこい」


軽くジョンソンをあしらい、俺は机に突っ伏す。


いやー、マジで疲れた。


一方の杵島先輩はガラスを熱しています。

ガスバーナーで。


で、琴浦さんは化学の教科書を眺め中。

明日、小テストがあるんだってさ。




特にやる事もなく、皆がそれぞれぼーっとしている化学部。


皆さんは、当初の目的を覚えていますか?


……あ、皆さん忘れてますね?


完璧忘れてんね?




―――この化学部を、学校1の有名な部活にしてみせる。




はい、これが当初の目的です。


……何?

まだ思い出せない?


じゃあプロローグから読み直せ。


「ダレトハナシテンダ? モシカシテゲンカクミテル? セイシンダイジョウブ?」


「とりあえずお前よりかは大丈夫、主に頭が」


しかし……


本当に自由な部活だな……


廃部の危機に面してるとは思えないほど。




あと、1人なんだよな……


「……おし」


あと1人。

それでこの自由は守られる。

なら……


「アキコん所にでも、行ってくんかな」


一年生は4月中に何等かの部活に入部しなくてはならない。


アキコは、一年生ながらまだ部活に入部していない。


4月は、もう終わる。


なら……




「アキコッテダレダ? オマエノコレカ?」


「よし、後でお前のその小指をへし折ってやる」


















で、翌日。


「そこのお菓子を頬張っている明子さん!」


「はふっ!?」


朝、1年4組の教室。


窓際の一番前の席に、リスみたいに頬を膨らませた明子の姿があった。


「また朝からお菓子……今日はチーズせんべいか……」


超チーズの匂い。


「いいじゃん! チーせん美味しいし!」


頬っぺたに黄色いチーズの粉が。

子供かよ。


「テツも食べる?」


はいって、一枚のせんべいを差し出す明子。


「まぁ……頂いておきます」


俺はせんべいを受け取り、一口。

うーん、チーズ味。


「で、何か用?」


バリバリとせんべいを食べながら喋る明子。

行儀悪い。


「ん? ああ、まぁちょっとな」


とか言いつつ、俺もせんべいを食べながら喋る。


「確かこの前話しただろ? 部活の事」


あのコンビニパニックの時。


「ああ……化学部がどうこうってヤツ?」


何故かミニツインテールにもチーズの粉が。

ネズミか。


「そう。今部員が1人足りなくてさ、まだお前部活入ってないんだろ?」


チーせん美味い。


「まぁ、そうだけど……」


「そうだけど?」


すると明子、何故か目をそらす。


「アタシ……バカだよ?」


「うん知ってる」


中学の時、理科の定期テストで173人中163位。


学年で下から10番目。


「知ってるって……何かヒドイ」


「自分でバカって言ったんじゃんか」


ジト目でこっちを見んな。


「大丈夫だ明子、例え理科が苦手でもナアナアで何とかなる部活だから」


「ナアナアって……」




「そう、ナアナア」


……俺は今、自分の所属している部活を貶している気がする。


「うーん……でも、やっぱり理科は苦手だし……」


チッ、意外としぶといな。


「大丈夫大丈夫、ウチの部活の半分は化学成分0の人間で成り立っていますから」


主に酸素と炭素が0。


「でも……」


しぶといぞコイツ。


「……分かった」


俺はある策を思いついた。

これは、ぶっちゃけ危ない取り引き。


しかし、コイツにはこれしかない。


「もしお前が入部してくれんのなら……」


「ん?」


食いつけお菓子女!


「入部してくれんのなら、お菓子1000円分おごってやる!」


そう、まさに賄賂作戦。




こらそこ、主人公のくせにキタナいとか言わない!


かの有名な田沼意次だって、賄賂で江戸の世を支配していたんだから。




「え!? お菓子!?」


そしてアキコが食いついた!!


突然目が輝きを増し、言葉に勢いがッ!!


「そ、そうお菓子。今なら入部してくれるだけで野口英世が付いてきます」


……この無垢な少女に賄賂を使う主人公。

しかも英世さん使って。


もう化学部ヤバい。


「本当に? それ本当に?」


「あ、ああ……」


すげぇ食い付きがいい。


いや、よすぎる。


コイツ、誘拐犯とかが

「お菓子あげるから、おじさん所おいで」

とか言ったら、間違いなく付いて行っちゃうんじゃね?


危ないなぁ。


「じゃあ入部してもいいよ!!」


「そ、そうか……」


くそッ……何だか……悪い気分。


この少女の笑みを見ていると……くはっ


「じゃあヨロシクね!!」


「おう……」


いいのかこれで!?

キャラクタープロフィール紹介!




No.4

中臣ジョンソン


私立石鉄高等学校1年3組在籍。

男性・15歳・AB型

誕生日:6月23日

身長:170㎝

体重:62㎏

好きな物:頂点、名誉、紙幣、金平糖

嫌いな物:地位の低い人、小銭、紅茶


日本人とアメリカ人のハーフ

性格はS

勉強運動共に平均

基本上を目指したがる

実家は結構な金持ちだったりする

黒鉄君に対してはかなり強気な態度

将来は一流の理科大学へ進学したいらしい

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