元素31 血戦、来たる
「・・・今、今の音・・・!?」
彼女は、ホテルの一室の中から外部の異様な騒音を聞き、ベッドから飛び起きた。
「今の音・・・あれは・・・」
今の騒音。
それは、素人でも分かる、
爆発音・・・
「・・・何が・・・起きて」
杵島家、先々代当主
杵島宝
彼はその一代で、杵島の家を裏社会のトップにまで成長させたという実績を持つ。
そしてその強さ、まるで鬼神の如し。
「・・・宝総裁、先ほど黒磨と蛍、結晶、ギンがそれぞれ侵入者と対峙し、敗北したとの情報が」
「・・・そうか」
宝は従者からの情報を聞き、その瞼を閉じる。
「・・・そうか、負けたか」
「・・・はい。そして侵入者共は今、皆・・・」
そして。
「皆、杵島はがね奪還のため、このロビーに・・・」
「いやぁ、参った参った!!」
その直後。
ホテルのロビーに現れたのは、
「・・・来たか」
「おまたせしました」
返り血を全身に浴びた、杵島ギンだった。
「すいません、あとちょっとの所でやられましたよ!」
ギンのその顔は、血に染まった深い笑みを浮かべ・・・
「・・・他は?」
宝のその問いに、ギンは笑みを浮かべたまま答える。
「結晶も蛍も黒磨も生きてます。全員戦闘は可能です、けがも深くはないし」
「・・・・・・・」
「むしろ、深手なのは相手の方です。一応俺らは表面上は負けましたが、実質相手の方が消耗は激しい」
「・・・うむ」
そして、宝の足元に転がるあるモノを見たギンは・・・
「・・・あら、もう殺しちゃったんですか」
「・・・・・・」
「はは、可哀想に。何も理解せぬまま、突然死んで」
「・・・・・・」
「はは、ははは、はははははははああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっッwwwwwwwwwwwww!!!!」
「・・・・・・」
無残なインテリアの残骸が無数に転がるホテルのロビー。
そこに響く、絶叫と歓喜、そして・・・
「準備は整った。ギンよ・・・」
「・・・ああ」
「はがねを・・・殺すぞ」