元素30 閃光が輝いた時
あの爆発の後、俺は・・・
「・・・どうすっかな?」
むやみやたらに出歩くと、危ない人(物理的に)出くわす可能性が高いと判断し・・・
「・・・うーん」
ただ一人、ロビーの端っこでテーブルの陰に隠れ、うずくまっていた。
・・・これは、無駄な戦いを避けるという作戦だ。
決してチキンとかそんなのではない。
これはホントに作戦なのだ。
信じて。
「・・・・・・・」
そして、無音。
あの爆発の後、しばらく騒音とも呼べる音がホテル中に響いていたのだが、あれから10分、今は・・・
「・・・すごい静か」
不気味なくらいの無音、静寂。
なんか怖い・・・
「・・・みんな、無事かな?」
ちょっと不安になるよね、こうも静かだt・・・
「黒鉄徹哉、さらば!!」
「えっ!?」
次の瞬間・・・
ドオオオオオォォォォォォンンンンンンン!!!!
「うわっ!!?」
何が起きたのか、分からなかった。
突然だったから。
いきなりの轟音、そして・・・
「・・・・・・・っ!!」
目を焼くんじゃないかってほどの閃光。
そして、気持ちの悪い浮遊感。
そう、俺はまばゆい光の中、吹っ飛んでいた。
「うぐっ・・・」
体全体を包むかのような、ヒリヒリとした痛み。
鈍い感覚の頭。
体が・・・動かない。
のどが痛い、呼吸が苦しい。
前が・・・視界に黒いモヤみたいな・・・
「・・・死に損なったか。幸運な事よ黒鉄」
意識の朦朧とする中、かすかに聞こえた声は、渋みのきいた男性の声・・・
「・・・だが、ここで死すことには変わりない。さらば・・・」