元素29 まさかの主人公置いてけぼりパターン突入
一斉にホテルへと突撃してきた人々。
全員が全員、何らかの武器を持っていて、しかも見た目ヤンキーで、さらに殺気がハンパなくて。
俺、見事にフリーズ。
「皆、ここは一旦奥へ行け。爆弾仕掛けて一気に殲滅する」
敵の出現に怯えていた俺。
そんな俺の耳に、不吉めいた言葉が聞こえてきた。
「……は?」
俺はまたまたフリーズ。
そして辺りをキョロキョロ。
そしたら……
「……ふっ」
吉崎さんが笑っていた。
手には何やら物騒な機械みたいな……
で……
ポイッ!
ドカァァァアアアッ!
「マジで爆発したっ!?」
爆発投擲。
爆風がホテル内を一気に駆け巡る。
辺りに舞う砂埃。
ま、前が見えない……
「げほっげほっ!」
あーむせた。
そしてしばらくして。
爆風が収まり、砂埃が晴れたホテル内。
そこには、俺と爆弾により倒れた数十人の人間。
みんながみんな白目剥いてるし。
ある意味ホラー。
で……
「……あれ?」
俺は頭をポリポリ。
「……みんなは?」
……気づいたら、何かみんないなくなっていた。
村實ホテル1階奥、食堂。
「……爆風に煽られ、奥に来てみたら」
2丁の拳銃を携えた政長実時はため息をついた。
「……政長実時か。さては杵島はがねに用事か何かかい?」
薄ら笑いの表情を浮かべ、食堂の一席に着き、食事をしていた男。
「……こんな時間に食事とか、太るだけだぞ杵島結晶」
政長は銃口を杵島結晶に向ける。
「お、ちょっと待ってよ、まだ僕薙刀準備してな……」
焦る結晶。
しかし……
「……あぁダルい」
パァンっ!
乾いた破裂男が食堂に響いた。
村實ホテル2階、廊下。
「ウワッ、テキトーニバクフーヨケヨウトイドウシタライツノマニカニカイニッ!」
ロビー近くの階段で爆風を逃れようとしていたジョンソンは、爆風の勢いあまって2階にまでふっ飛ばされていた。
「イテテ……シカモコシウッタシ……」
そう言いながら腰を擦り、立ち上がるジョンソン。
その時……
「はあああぁぁぁあああっ!!」
「……ッ!」
背後から迫る拳。
ジョンソンは咄嗟に体をよじり、拳を回避。
「……かわされたか」
一方の拳を放った少女は、残念そうな表情。
「……マタオマエカ」
ジョンソンは相手の顔を確認すると、すぐに戦闘体勢へ。
そして相手―――杵島蛍も再び拳を構える。
「またお前で悪かったわね! ふん、またさっきみたいにけちょんけちょんにしてやるわ!」
「……そうかよ」
ジョンソンの瞳は鋭く輝いていた。
村實ホテル地下、備品倉庫。
「うっ……爆発で床に穴空くってどうなのよ」
爆発により床に穴が空き、そこから地下の備品倉庫に落ちた明子。
幸いにも布団の上に落ち、ケガは防いだ。
辺りには毛布や衣類、テレビやちゃぶ台、沢山の金具等様々なものがある。
そして……
「……何だ、お前も落ちたのか」
「……えっ」
明子の目の前。
そこには、尻もちを着く杵島黒磨の姿があった。
「……外出て、外の空気吸おうと思ったら、突然爆発音がして、しかも穴に落ちるし」
黒磨はそう言いながら、腰のホルダーに携えている短剣を取り出した。
それを見た明子も、鞘から刀を抜いた。
「……でもまぁ、侵入者迎撃も俺の仕事だし、仕方ない事なのかな」
村實ホテル屋上。
「……久しぶりだな」
「…………」
屋上では、吉崎龍牙と杵島ギンが向かい合っていた。
「……杵島はがねはどこだ?」
「…………」
龍牙の問いに、無言を貫くギン。
「……まだホテル内にはいるんだろ?」
「…………」
「答えろよ」
「…………」
そして……