元素3 これは一応ヒーローショーだからね?
「わっはっはー、俺は怪獣酸素星人、地球の酸素をうばってやるー(棒読み)」
ガシャーン、ガシャーン
俺は科学室内を数歩だけ歩く。
「わっはっはー、酸素は全て、おいどんの物だー(棒読み)」
俺はゲラゲラ笑う。
多分、目は笑ってないと思うけど。
その時
「まてぇい!」
カーテンをマント代わりに装備している杵島先輩、机の上から飛び降りる。
スカートひらひら。
スタッ!!
着地成功。
「むむむ、お前は誰だ?(棒読み)」
構える俺。
「私の名前は化学マン! 地球の元素を守る、スーパーヒーローだ!」
杵島先輩、ビシッとキメポーズ。
シャキーンッ!
「酸素星人、地球の酸素を守るため、お前を倒す!」
「ふっふっふ、おいどんを倒せるかな?(棒読み)」
その時、杵島先輩が一気にその場から跳躍。
きゃー身軽。
そして……
「覚悟しろ酸素星人、これが必殺……」
杵島先輩、右腕を高らかに上げる。
俺、先程から構えのみ。
「化学パーンチ!」
……まぁ、普通のパンチ。
それが俺の顔に直撃!
バコッ!!
「痛ッ!!」
予想以上に痛かった。
「ぐあー、や、やられたー(棒読み)」
ドッスーン。
俺は内心でツッコミながら倒れた。
……ショーって、こっちのショーかいッ!
まさかのヒーローショー。
「いつでも正義が勝つのだ!! わっはっは!!」
高らかに笑う化学マン。
ってか、アンタはウーマンだろうが。
ちなみに琴浦さん、呆然状態。
だよねぇ。
「Cよ、私の化学ショーはどうだったか?」
酸素星人を殴った自称化学マンが、一般人琴浦さんに接近。
「えっと……あの……その……」
琴浦さん、答えに詰まる。
ちなみに俺、まだ倒れてます。
ってか、もう嫌。
普通にグーは痛かった。
「Cよ、感想を聞かせてくれ!!」
自称化学マン、超目が輝いとる。
「えっと……まぁ、面白……かった……かな?」
琴浦さん、目が泳いでいるよ?
「そうか、面白かったか! そうかそうか!!」
満面の笑みを見せる杵島先ぱ……いや、自称化学マン。
もう今回は自称化学マンで通してやる。
意地だ。
「では、入部のほうは……?」
あれで入部させるのか?
さすがにひどいと思うぞ自称化学マン。
「…………」
沈黙琴浦さん。
ちょっと俯き気味。
で、
「……分かりました。入部……します」
……え?
嘘!?
あれで!?
ちょっ……え?
はぁ?
マジで?
「本当かC? それは嬉しいぞ!!」
自称化学マン、嬉しさを表現するためにピョンピョン跳びはねる。
あー、埃舞うぅ〜。
倒れてる俺、超埃吸っちゃうがな!!
「げほっげほっ」
むせた。
「私……今まであまり友達が出来なくて……」
俺がむせている間に、琴浦さんが何やら心境を語り出した。
「その……なんか二人をみてたら……なんか……面白くて、楽しくて……」
なるほど、ショーではなく俺ら自身が面白かったと。
ほぇー、なんかグサッと来た。
「だから……」
俯き気味だった琴浦さん、今はしっかりとこちらを向いていた。
「……そうか、分かった。入部を歓迎するよC!!」
自称化学マン、ニッコリと笑顔。
「よ、よろしくお願いしますっ!」
琴浦さんも、笑顔になっていた。
……化学部らしい事、一切してないのに。
まぁ、何はともあれ、これで部員は3人になった。
部長、杵島はが……自称化学マン
副部長、俺
書記、琴浦さん
さて、あとは2人だな!!
キャラクタープロフィール紹介!
No.2
杵島 はがね
私立石鉄高等学校2年2組在籍。
女性・16歳・B型
誕生日:10月11日
身長:165㎝
体重:45㎏
好きな物:化学、特撮ヒーロー物、おでん
嫌いな物:化学以外の理科の科目(物理学とか)
本作のヒロイン的な感じかな?
基本ボケ役。
ちょっとズレた思考の持ち主。
でも学力は学年でも上位だったり。
運動もそこそこ。
日曜朝はもちろん特撮ヒーロー物を見てる。
見た目は可愛いが、化学部副部長曰く「中身が残念」