げんそなかのじょ! 3
本編との温度差パねぇ!
げんそなかのじょ!
第3話「合宿」
【事の発端】
「合宿をすれば、きっとみんな化学人間になるぞきっときっとキットカット!」
「…………ぁ?」
とある金曜日の部活中、突然クルパが発狂した。
ってか意味不明発言をした。
本当に意味不明。
いや、逆に理解したくない。
「え、キットカット!?」
アキコはどこに反応してんだよ。
「とにかく明日からは土日だ! つまり合宿だ! みんなパジャマ持って夕方6時に科学室集合だ!!」
「おい、ちょっと待て」
「布団や食事も各自持参! 共に楽しい合宿をしようではないか!」
「だから先輩ちょっと待って」
「おやつは300円までだ。約束だぞ?」
「こら先輩シカトすんな、そもそも何の合宿」
「ちなみにバナナはおやつだ! 飲み物はお茶か水だぞ? ポカリは駄目だぞ?」
「話を聞けぇ!!」
【合宿の意味】
結局、絶対王政しかりの化学部メンバーは自宅に荷物を取りに帰宅。
そしてまた集合。
そしたら既に先輩は熊さん着ぐるみパジャマ着用で科学室にスタンバっていた。
「先輩……そもそもこの合宿の意味って、何ですか?」
「合宿の意味? そんなモノないに決まっているであろう!」
「Σ( ̄□ ̄)!」
「まぁ、強いて設けるならば、化学人間の増強が目的となるな」
「化学人間て!?」
【よくよく考えると】
「くそっ、まだ来て5分だがもう帰りたい……」
頭を抱え、必死に来た事を後悔する俺。
まさに絶望。
……そんな糸色望中の俺に歩み寄ってくる人影あり。
「黒鉄君、今日の合宿って何をやるのかな?」
「……ん? あ、琴浦さんか……悪い、俺は何も……」
ん、琴浦さん?
「今日はみんなで科学室にお泊まりなんだよね! 私、楽しみ!」
みんなで、科学室に、お泊まり?
みんなで……科学室に……
「私、初めてなんだ。学校でみんなとお泊まりなんて」
琴浦さんと同じ部屋(科学室)で、お泊まり……
「もしかしたら私、ちょっとはしゃいじゃうかもだから、よろしくね!」
笑顔の琴浦さん。
まて、ん、まさか、琴浦さんと……同じ……
「Yes合宿ッ!!」
「うわっ……と、突然どうしたの……黒鉄君?」
【ご飯】
「今日の夕飯は科学室でカレーを作ろう!」
クルパ曰く、ガスバーナーとアルコールランプで火力は十分だと。
俺的に不十分かと。
「♪ニンジンさんをトントントンっ、じゃがいもさんをさっさっさっ!♪」
アキコは何らや自作の歌を歌いつつ、野菜の下ごしらえをしている。
「♪玉ねぎさんは目が痛い〜! 黄色くなるまで炒めたらぁ、そしたらみんなでルーさんの海で泳ぎましょ♪」
「何か可愛い歌、歌ってんなお前」
「ん? ひっ! て、テツっ!?」
アキコ跳ねた。
ウサギか。
「可愛いじゃねぇか。玉ねぎさんは目が痛いのか、そうかそうか」
「……ッ!!」
ドスッ
「がはっ……」
奇跡の不意討ち。
まさかのグーパンみぞおち一丁頂きました。
「う、うるさいっ!」
【やっぱり】
カレー完成後のみんなの一言。
「何か……凄い水っぽい……」
「ルーが辛くないです……スープ系?」
「あれ? ちゃんと野菜炒めたのに、凄いみずみずしい……」
「マズイヨコノカレー!!」
あれ、金髪いたんだ。
「うむ……美味くないな」
火力十分と言ったお前が言うな。
【お風呂】
お風呂は校舎内にある合宿生徒用の風呂を使用する。
「……あの、せ、先輩?」
「なんだ?」
「なんで……アンタ、バナナボート持ってんの?」
「それは楽しいから!」
「…………」
【男風呂】
「ふぁっ……生き返る……死んではないけど」
シャワーを浴びて、湯船にちゃぽん。
身体の芯からポッカポカ。
「もう……極楽じゃ……」
「ナアクロガネ」
おっと、ちなみに今風呂には未だ名前すら出てきてない金髪の子もいます。
「オマエ、オトコチッセーナ(笑)」
「影薄いキャラを脱したいからって、突然下ネタに走るな金髪」
「シカシチイサイ。イヤハヤ、チイサイ」
「うっせーな、出番なくすぞ」
「アハハハハ、チイサイナー」
カチッ
「小さい小さいうるさいんだよ金髪ッ!」
ザバッ!
俺は思いっきり湯船から立ち上がり、金髪のオトコを一見……はっ!!
「お前……っ!?」
「ア? ナンダヨ?」
「いや、まさか……そちらまでもが金髪だったとは……」
「……ミンナヨ」
「……あ、すまん」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
【女風呂】
「きゃっほぉーい!!」
「ちょ、施仗さん……お風呂で泳いだら……」
「いいじゃん琴浦さん! 先輩はバナナボートの空気入れでまだお風呂に来てないし、今お風呂にいるのアタシ達二人だけなんだし!」
「それはそうだけど……」
「誰にも迷惑掛けてないしいいじゃん! よし、次は背泳ぎっ!」
「…………」
私が迷惑なんだけど……
【金髪的には】
「センパイハA、オカシオンナがB、モジモジさんがD!」
「おい金髪、何言ってんだ?」
【就寝】
科学室は薬品臭い。
そんな中、科学室の実験机を避ける形で布団を敷く。
男は北側、女は南側。
「では、電気を消すぞ」
先輩が壁にある照明のスイッチをオフ。
科学室内真っ暗。
「……にしても、薬品臭せぇ」
【寝言】
黒鉄徹哉は薬品の匂いが気になり眠れない。
「……眠れねぇな」
思わず独り言。
その独り言が室内に響く。
虚しさ倍増。
そしたら
「……うぁんっ」
!?
こ、琴浦さんの声?
「あぁん、はぅっ……」
もしかして……寝言?
「はぁはぁ……んっ……あはっ……ぃゃぁっ……」
「…………」
より一層眠れねぇ。
【おはよう】
「……マジか」
結局俺は一睡もせずに朝を迎えた。
朝日の光が眩しいなぁ。
おはよう太陽。
「……テツ?」
「ん? アキコもう起きたの?」
今朝6時。
向こうの方からアキコさん襲来。
寝癖すげぇ。
なんかこう……ビヨーンって。
「うん……いつも剣道の朝練あるから、クセで……」
「ああ……」
寝起きのアキコはなんか小動物みたい。
なんか……破壊力がある……。
「……テツ?」
目が半分しか開いていないアキコ。
若葉色のダボダボパジャマが破壊力を倍増させている気が……
「……いや、なんでもない」
直視出来ない。
「……ん?」
【結局】
「結局はこの合宿、何がしたかったんだ?」
「ただ単に遊びだ!」
「普通それを合宿とは言わないよ先輩……」
「じゃあただのパジャマパーティー!」
「…………」