元素番外編 始まりはコンビニのおでんから
こんにちは。
作者の五円玉です!
今回は以前自分のブログで書いた、元素彼女の番外編をお送りします!
まぁ、時間軸的には第0話って所ですかね。
黒鉄くんがまだ中学生だった頃のお話です!
「うい〜……寒い」
真冬のとある夜。
俺、黒鉄徹哉は分厚いコートを羽織り、近所のコンビニに来ていた。
理由?
いや、何となくコンビニのおでんが食べたくてね……。
「ぜってぇ卵と大根は買う。ぜってぇだ!!」
おでんのロマン。
それは卵と大根にあり!!
あの煮汁が染み込んだ、ホクホクの大根はまさしく神!
体も心もほっかほっかになる。
ほっかほっかに。
ほっかほっか……
ほっか……ほっか……
……弁当屋かッ!!
そう、日頃の俺なら絶対に言わない、寒すぎるノリツッコミが口走ってしまうほど、大根は強いんだぜシスター!!
……大根1つでこんなになる自分が嫌だ。
とにかく、コンビニ到着!!
「いらっしゃーせー」
入店直後、ぐだぐだな営業ワードをぐだぐだに発する金髪バイト君。
超だらけ中の金髪バイト君を尻目に、俺はおでんコーナーの前へ。
「さーて、あったかおでんを……ん?」
おでんコーナーの前。
俺が長時間陣取るハズだったその場所に、先客が1人いた。
多分……女性。
後ろからだと判別がしにくい……。
けど、彼女が着ているのは、俺がこの春受験予定の高校の制服。
上はブレザー、下はスカート。
多分、女性。
まぁ、この世の中、マニアックな方達もいますからね。
あ、ちなみに俺、今15歳。
中学3年生。
受験生。
落ちる禁句。
あ、自分で言っちまったがな。
とにかく、まずはおでんをッ!!
女性はしばらく退きそうにない。
「……卵、大根……」
……仕方ない、女性が退くまで店内ブラブラコースしますか。
あれから25分。
ど、どかねぇなアイツ。
こっちはマガ〇ン立ち読みして退くのを待ってる状態。
しかし、彼女は退かない。
微動だにしない。
金髪バイト君は……あれ? シカト?
……シカトしてないでさっさと退かせよ。
もう25分もおでんの前に居座る女性。
……漫画、だいたい読んじゃったなぁ。
暇だな〜……
…………。
……うん。
行くか。
黒鉄徹哉、一点突破の巻!!
どっかの昔の漫画のサブタイみたいな感じで、俺は半ば強引に女性の横、つまりおでんコーナーの前へ。
もうさっさと買って帰りたい。
俺は女性には目もくれずに、購入するおでんを選択。
あー、だし汁のいい匂い……ウへ、ウへへ。
……自分の語尾のキモさに引いた。
……とりあえず、大根、卵、竹輪、肉団子でいいかな。
うん、ベストメンバー。
で、俺が店員におでんを注文しようとした、
その時!!
「あ、こんな所にいたかッ!!」
店の入口の方から、ハスキーな女性の声。
俺は自然と視線がそっちに。
そこには、隣のおでん女(今、俺が脳内で命名)と同じ制服を来た女性が1人。
……まぁ、結構な……美人さんやん。
ショートな黒髪、くりくりお目め。
……ナイス。
「……む?」
その時、おでん女もまた、視線を声の主である女性の方へ向けた。
「……あ、Na先輩じゃないですか!」
……おでん女が発した言葉。
以外と綺麗な声……じゃなくて。
Na先輩って言った?
「はがね、そんな所で油売ってないで、早く帰ろ!!」
え、Na先輩? が、おでん女に向かって手招き。
おでん女、素直にそちらへ直行。
「はがね、アンタまた変な実験とか考えてたでしょ?」
「いや……竹輪の穴に電池を入れて、銅線で結んだら発火するのかな……と」
などと言う、凡人の俺にはさっぱり分からない会話をしながら、2人は去っていった。
「…………?」
竹輪に電池?
……何それ?
まぁ、いいか。
邪魔だったおでん女もいなくなった訳だし。
俺はおでんのロマン購入を実行!!
いやっほい!!
「……もしかしたら、あのおでん女って……」
それから数ヵ月後。
俺は高校生になった。
で、現在私立石鉄高等学校の科学室。
目の前には、楽しそうにレモンに電流を流す杵島先輩の姿。
……あぁ、多分、あれか。
今思い出した。
おでん女の事。
あぁ、そう言う事か。
「なぁOよ?」
「……はい?」
O……それが科学室での俺の呼び名。
意味は酸素って事。
意味不だよね。
「お前、レモンは好きか?」
「……食べませんよ」
杵島先輩は、こう言う人だ。