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元素な彼女と記号な俺  作者: 五円玉
杵島家強襲篇
26/45

元素22 お前、モブキャラじゃなかったのか!?

あれから、どのくらい時が経っただろうか……


先輩がお兄さんに連れてかれてしまい、そして俺には何も出来なくて……


ただ、見てる事しか出来なくて……


先輩の、見たくもない顔を見てしまった。
















「…………」


俺は1人、家の近所の公園のベンチに腰掛けていた。


空はもう真っ暗。

小さな星が輝いて見える。


「……はぁ」


もうため息しかでねぇよ。


何となくだけど家には帰りたくない。

漫画喫茶……って気分でもない。

ホームレス……も嫌だなぁ。


とにかく、帰りたくないんだ。


公園のベンチに座って、ただ空を見上げるだけ。


そして、俺の頭ん中をよぎるのは、やっぱり先輩―――


「……はぁ」


正直わかんない。


杵島家の事情なんか、部外者の俺なんかにわかるわけがない。


ってか、杵島家って何の家?


……ただ、先輩はとても嫌そうな感じだった。


何が嫌なのかはさっぱりだけど。


「……はぁ」


どうしよう……

俺は今、何をすべきなんだろう……


「……はぁ」


やっぱりため息しか出ない……



「♪♪♪♪♪!!」


「うおっ!!」


その時、突然携帯の着信音が鳴った。

雰囲気が雰囲気だったために、俺マジびっくり!


「♪♪♪♪♪!!」


「……はい?」


俺は携帯を手に取り、相手を確認。


「……え?」


相手は意外な人物だった。


「中澤先生!?」


電話の相手は俺の担任の教師、中澤。

あ、中澤先生ならプロローグにちょこぉ〜っとだけ出てるよ。

探してみよう。


「な、何の用だ?」


何か悪さしたっけ俺?


とりあえず、通話ボタンをプッシュ……


『もしもし、黒鉄かっ!?』


「せ、先生?」


電話に出た途端、向こうから聞こえてきたのは凄い焦り声。


『黒鉄、無事か?』


「……はい?」


何が?


『お前……杵島ギンに襲われたんだろ!?』


「えッ……!」


杵島ギン……

何で先生が……?


「せ、先生?」


『無事か、無事なのか!?』


「あ、ま、まぁ……」


『そ、そうか……』


電話越しに聞こえた、安堵の息。

って、そんな事より


「……あの先生。今、杵島って」


『あ、そうだッ!!』


だあぁッ!!

あのオッサン、電話越しに突然叫びやがった!


み、耳がぁ〜!!


「ちょ……み、耳が……ぁ……」


『黒鉄よく聞け! 今、きっと他の化学部の連中も杵島家と接触しているハズだ!』


「……は、はぁ?」


耳が痛くてよく聞き取れない……


『いいか黒鉄、お前が無事ならすぐに市民公園へ向かうんだ!』


「し、市民公園?」


何故に?

ってか耳ぃ〜!!


『詳しい事は後で話す! とにかく急いで市民公園へ向かうんだ!』


超が付く程焦っている、電話越しの中澤先生。


そして……


『早くしないと……琴浦が危ないッ!!』


「えっ……?」

















「何なんだよぉもうッ!!」


俺は、夜の町を全力疾走していた。

街灯の少ない、市民公園へと向かう小道。


「あのセンコウっ!」


ついさっき担任から掛かってきた電話。


琴浦が危ない―――




……どうやら、俺が杵島ギンと出会っている時に、化学部のみんなも杵島家の連中と遭遇していたらしい。


そして―――


『杵島家の連中は、お前ら化学部全員を捕縛するつもりなんだッ!』




……突然さ、


担任からこんな事を電話で言われても、普通信じないよね。


少なくとも、昨日までの俺だったらイタ電と判断し即切るよ。

なんかのバトル小説かっての!




けど……


あんな事のあった直後。

俺は先生の言葉を信じて、市民公園へと走った。


先生曰く、


『琴浦は今頃、市民公園で犬の散歩でもしているハズだ。多分、襲われるならこのタイミングだろう』


だと。


あんたはストーカーかっ!?


ってツッコミはぐっと押し込んで。


『施仗と中臣は武道に通じてるから大丈夫だろうが、琴浦は運動音痴だ。早く助けに行け!』


ならお前が行け国会公務員。


生徒に危険を背負わすな……ってツッコミもぐっと押し込んで。


しかし……


何で一般教師中澤が、杵島家襲撃の事を知ってるんだ?




「……とにかく!」


とにかく、今は市民公園へと急がなければ!

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