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元素な彼女と記号な俺  作者: 五円玉
杵島家強襲篇
21/45

元素19 宇宙人のせいなのか、単に俺が末期なのか

「わ、私はOの事なんか好きじゃないんだからねっ!!」


「………はい?」


ある日の放課後。

科学室に嫌々部活しにいったら、笑顔の杵島先輩がいて。






……なんかツンデレっぽくなっていた。














「ちょ、何じろじろと見てるのよ! やめてよ変態っ!」


「………俺、精神的に参ってきてるのかな?」


甘ったるい声を出し、ガラでもねぇ事を言っているクルパ。


これは俺の幻聴なのか?

それともクルパが壊れているのか?


どっちなんだ?


「……ねぇO」


「ああ……幻覚だとしても俺は酸素呼ばわりなんだ」


幻覚ならせめて本名で読んで欲しい。


「Oはさ……そ、その……えっと……」


俺はほっぺたをグイッてつねる。

痛い。

これ、幻覚じゃねぇ!?


「その……私の事……ど、どう思って……」


突然モジモジし出したクルパ。


えぇい何かおかしい!

不覚にも一瞬、可愛いって思ってしまった自分を殺したい。


モジモジは琴浦さんの特権なんだぞ!!


ってか、それより!


「先輩、ガチでどうかしました? まさか宇宙人に脳内改造されたとか?」


本当に今日の杵島先輩はおかしい。


ツンデレキャラは元素彼女にまだ登場してないタイプなのに……


「な、何を言ってんのよO! 私は別にアンタの事なんてこれっぽっちも……」


「……マジで宇宙人にやられたのかよ」


今日は確か近所の病院は普通に営業中だったな。


この場合脳外科?

それとも精神科?


「ふ、ふんっ! もうOなんか知らないっ!」


な、何もしてないのに嫌われた、俺?


ツンの使い方を間違ってるよ……


壊れたクルパはプイッと頬を膨らませ、科学準備室へと姿を消してしまった。


「…………」


……ああ。


もしかして俺、末期なのかもしれん。















「……どういう事だ、これ?」


あれから10分。

俺は科学室の席に着き、ペットボトルのお茶を一口。


……科学準備室に入った杵島先輩、今だ出てこず。


俺は何か怖くて科学準備室の中を覗く勇気が出ない。


だって怖いよ!!


宇宙人がいるかもだし!!


「いや……まさか、本当に宇宙人なんているわけ……」


ちょっと、何俺びびってんだ!?


宇宙人なんているわけねぇだろ!!


仮に宇宙のどっかにいたとしても、こんな一般高校の科学準備室にはいないだろ!!


いたらノーベル何とか賞が貰えちゃうわッ!!


「ハハッ、何考えてんだ俺は」


ここは冷静に。


まだこの科学室にはアキコと琴浦さんとジョンソンは来ていない。


もし来たら、そいつに科学準備室の中を調べさせよう!!


うん、宇宙人はいないだろうけど。


……ってか


「それ以前に杵島先輩、なんで今日に限ってツンデレ?」


俺はとりあえずお茶を一口。




その時……




「あ〜! お兄ちゃんだけお茶ずる〜い! あたしにもちょうだい!」


「フブゥッ!!」


突然の事にお茶を吹いてしまった。


……いやね、今科学準備室からね、


「ちょっとお兄ちゃん、きたないよぉ!」


「な、なな、なななッ!?」


その清楚な黒髪をツインテールにまとめ、


何故か制服ではなく、熊さんのプリントされたTシャツを着て、


超顔を真っ赤にし、


声がめっちゃ甘ったるい、


「もぉ〜、お兄ちゃんはしょうがないなぁ!」


「……え、嘘?」


そこにいたのは、


「ロリ化した琴浦さんッ!?」


「……え?」


そうなのだ。

何故かそこには、めっちゃ幼げな琴浦さんがいたのだ!


いつもの清楚なモジモジはどこへやら。


し、しかも……


「どうしたのお兄ちゃん?」


「あ、ああああ、あり得ない……」


ちょ、お、お兄ちゃんって何ッ!?


い、妹なのか?

そうなのかッ!?


「ん? 何かいつもと違うよお兄ちゃん」


「ああ……本当に俺、末期なのかもしれない」


これはマズい。

もしかして宇宙人に改造されたのって、俺の方なのか?


寝てる隙にやられた?




いや、そんな事よりもだ。


「お兄ちゃん?」


いや……その、こ、琴浦さんの着てる熊さんTシャツがね、小さいのか何なのかね、


そのですね……む、胸元の熊さんがですね……こ、こうビヨーンって……


ナイスなお胸がデカイのか何なのか、Tシャツにプリントされた熊さんがはち切れんばかりにこう……ビヨーンて。


「ちょ、お兄ちゃんどこ見てんのッ!?」


「え……あ、ぐはっ」


血ヘド吐きそうになった。


いけない!!

これ以上黒鉄くんの精神状態を悪化させてはいけない!!


「もう……お兄ちゃんのえっち!!」


「…………」


俺、ノックダウン。



琴浦さんは顔面を林檎なみに赤らめつつ、科学準備室へと帰っていった。

これはアカーン。

















「何なんだ、今日は何かがおかしいぞ?」


俺、黒鉄徹哉は考える。


今朝は普通に家を出て。


普通に学校へ着き。


普通に授業受けて。


普通に科学室まで来た。


……よし、ここまではいつも通りだ。


で、いつも通り科学室へ入ったら、


杵島先輩がツンデレ化していた。




……あれ?

いつからおかしくなった?


俺は相変わらず科学室の席に着いてます。


さっきまでもう帰ろうとか考えてみたけど。


まだ、科学準備室の謎を解いていないわけで。


そもそもツンデレ杵島もロリ琴浦も、全ては科学準備室から出てきて、科学準備室へと帰っていった。


……つまり、あの科学準備室に何かある!!




「……おし」


ここは男徹哉、ちょっくら様子を見に行ってみるか!


「こ、怖がっていてはダメだ俺! あの科学準備室の謎をこの手で……」


そうして椅子から立ち上がった、


その時……




「あら、テツ……じゃなかった、黒鉄くんじゃないの?」


「……なっ!?」


一歩遅かった。


今度は科学準備室から……


「オッホッホッホ、いいわぁ〜その顔、調教しがいがあるわぁ!!」


三角赤ふち眼鏡、髪の毛おだんご、何かスーツ、手には鞭を持った……


「お前アキコだろッ!?」


パシィィンッ!!


「だからめいこぉッ!!」


鞭で床を叩きつけ、何となく女王様っぽくしているアキコ(暫定)。


「ちょ、鞭危なッ!」


「オッホッホッホ、やっぱり下僕は下僕らしく、地面にでも這いつくばってなさいな!!」


パシィィンッ!!


「だから危なッ!」


ってかアキコに女王様は似合わねぇ……。


「さぁ下僕、さっそくご奉仕の時間ですよ」


「アキコ……とうとうお前、そっち方面に……」


昔はあんなに無垢だったのに……


小学生時代、仲良くみんなで鬼ごっこした思い出が脳内にフラッシュバック。


「だからめいこだって!!」


とかいいつつ、科学室の椅子に座るアキコ。


「さぁ下僕、靴の裏でも舐めなさい!」


「……は?」


何言ってんの?

マジで宇宙人改造疑惑なの?

俺はどうなってるの?


そうこう考えているウチに、上履きをデーンって出してくるアキコ。


「ほら下僕、さっさと靴の裏をお舐めッ!」


「…………」


……やっぱり何かおかしい。


アキコは確かにSMで言ったら若干のソフトなSだが。


こいつ、こんな高飛車系人間だいっきらいとか前に言ってたし。


それにツンデレ杵島も、ロリ琴浦も。


何か、絶対に裏がある。




……よし、ここは


「早く舐めなさい下僕! それとも、鞭でお仕置きを……」


「なぁアキコ、今俺ポテチ持ってんだけど食べる?」


「食べる!!」


まさかの速答ッ!?


ってか引っ掛かった!!


「ほれ、コンソメだけど」


今朝、コンビニ行った時に何となく買ったポテチが役に立った!


俺はそのポテチの袋をアキコに渡す。


「お、ダブルコンソメ!! サンキュー!!」


さっそく封を開け、ポテチを御賞味するエセ女王様。


超笑顔。


俺はそんなアキコの耳元へそっと近づき……


「……誰が下僕だ、あぁ?」


囁いてみた。


「……あ、しまった」


アキコ、ポテチを口に入れながらフリーズ。


「しまったじゃねぇよ! お前何してんだよこれ!?」


とにかくこれで宇宙人疑惑解消。


「あ……いや、こ、これはね……」


一気に挙動不審になるアキコ。


しかしポテチへ伸ばす手だけは軽快に動く。


「まさか、さっきの二人も……」


全て分かった!!


「ちょ、テツこれは……」


やっぱりあたふた気味なアキコさん。


「お前ら……まさかグルで俺をはめようとしたな!?」


「ちょ、だからまずは話を……」


「なんだ、そんなに俺の戸惑う姿が見たかったのかよッ!?」


「だから違……」


あーもう!!

つまり俺はおどらされてたんだ!!


みんなでいつもと違う格好して、俺を困らせて楽しむ!!


「クソッ、どうせ全ての元凶はあのクルパだろッ!!」


俺は勢いよく歩き出し、科学準備室へと向かう。


どうせまだ科学準備室にいるんだろ、あのクルパ!!


チクショー!!

今回ばかりはキレるぞ俺!!

怒鳴るぞ!!


「ちょ、待ってテツ……」


俺はアキコの制止を振り切って、科学準備室のドアのとってに手を掛ける。


クソッ、人を小馬鹿にしやがって!!


「おいッ! 杵島はがねッ!!」


俺は怒りに身を任せ、ドアを開けた。














「杵島はがねッ、てめぇいい加減にっ……」


「……あ」


「……っ!!」


俺がドアを開けた先、科学準備室。


そこには……


「……は?」


その……何と言うか……


「…………」


「…………」


フリーズ&無言でこっちに視線を向ける、


お着替え中の杵島先輩と琴浦さんの姿が……




「……やべっ」


お互いにフリーズして約0.5秒。

先にフリーズから解けたのは俺。


で、咄嗟にドアを閉めた。


バタンッ!


ドアの閉まる音が、科学室内に響く。


「青白のストライプと……純白」


……あれ?


俺は何を言っているんだ?


確かにドアを開けた時、その2つが見えた。


それは……何の色?


答えは……




「テェェツゥゥ……ッ!!」


「ひっ!!」


突然背後からする、謎の寒気。


何だろう……金縛りかな?


恐怖で体が動かない。


「アンタ今、見たわね……ッ!!」


「いや、その……ふ、不可抗力って言葉を、アキコさんはご存知かなぁ……?」


俺はゆっくりと、ゆっくりと振り返ってみた。


そこには……


「だからめいこだって言ってるでしょうがぁッ!!」


……鞭を構えた、鬼女王様の姿があった。




……あ、これ俺死ぬな。




次の瞬間……






パシィィンッ!!


「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁッ!!」















「コンカイノシンソウハ、ジカイニテアキラカニナルヨッ!!」

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