元素18.5 僕の名前はガーネット和島さセニョリータ!!
こんにちは。
いつも元素彼女を読んで頂き、本当にありがとうございます!
さて、今回は作者の出来心で番外編をお送りします。
まさかの主人公チェンジです。
誰が代わりの主役なのかは……サブタイトル見ればわかるよね?
では!
「うーん……今日もナイスでエブリワンな青空だね!」
朝日が眩しいよセニョリータ!
やぁみんな、グッド・シャーロット・モーニング!!
みんな覚えているかい?
……そう、僕の名前はガーネット和島!
現在の物理部の部長さベイベー!!
「フフっ、ああぁ……今日も太陽が僕らを照らしているのだな」
今僕は自宅から通学中。
もちろん、行き先は私立石鉄高等学校!!
「鳥のさえずり、風のオーケストラ、そして僕の命の輝きッ!」
町の全てが僕を歓迎してくれているような感じがするね!
ああぁ……今日もきっと素晴らしい1日が始まるんだろうな……
さぁ、素晴らしい学校生活の始まりだ!!
「……あ、出たよ金髪リーゼント和島!」
……おや?
いつの間にか僕の隣にいたのは、同じクラスのコットン甲野ではないかッ!!
「コットン甲野じゃねぇし、普通に甲野一太だし」
ワァイ!?
なぜ彼は僕の心の叫びが聞こえているんだい?
「うるせぇ黙れ和島定信」
「和島定信? それは一体だれの事だい?」
「お前の本名だろうがッ!!」
……何を言っているんだこのモミアゲ少年は?
僕の名前はガーネット和島さ!!
……コットン甲野とは一年生の頃から同じクラスでね。
僕のこの美しいリーゼントが気に入らないのか、やたらちょっかいを出してくるんだ。
それはまるで、好きな異性の子にちょっかいを出してしまう、幼き小学生の如く……
「……定信てめぇ、超気持ち悪いぞ」
「だから僕は定信ではない! ガーネット和島だッ!!」
全く……いつになったら僕の名前を覚えてくれるのだか。
そして何故、彼は僕の心を読めるのだ?
これが愛の以心伝心ってやつなのかいハニー?
「……もう俺、てめぇとは関わりを持たない事にするわ」
おやおや?
コットン甲野がはや歩きで学校の方へと行ってしまったではないかッ!
全く……照れているのだな?
まぁ、流石の僕も同性相手には気が引けるが……彼が本気なら……
「…………」
……おや?
今、僕の横をマッハの速度で素通りしていったのはまさか……
「…………」
「……やっぱり、黒鉄くんではないかッ!!」
あれは憎き杵島はがねの部下、黒鉄徹哉!!
忘れもしない、あの横顔!!
「おーい、待ってくれ黒鉄くーん!」
僕はダッシュで追いかける。
「あ、ヤベッ、バレた!!」
何故だ?
急にスピードを上げ走る黒鉄くん。
「待ってくれ黒鉄くん、何故きみは走っているんだい?」
「イベントフラグを立てたくねぇんだよッ!」
相変わらず猛スピードで走る黒鉄くん。
僕も猛スピードで追いかけよう!!
「あっ、てめぇ、ついてくんなッ!」
「待ちたまえ黒鉄くん、今日こそ君を拉致して杵島はがねを……」
「やっぱりこれ、イベントフラグがバリバリに立ってるッ!!」
何というスピード!
まさにあれは日本のベン・ジョンソン!!
「……ア? ダレガニホンノジョンソン?」
途中、どこかで見た事のある金髪の横を素通りし、黒鉄くんの後を追う。
「くそっ、まだついてきてんの!? しつこいぞ金髪リーゼントッ!」
「だから僕はガーネット和島さベイベー! 大人しく拉致されろ黒鉄くん!」
「絶対嫌だ!!」
……くそっ、意外と速いな黒鉄徹哉!
もうすぐで学校だ!
これで万が一科学室にでも逃げ込まれたら、僕に勝ち目が無くなる。
ならば、その前に……
「……あら、そこにいるのはガーネット?」
おや?
僕の目の前の角から、見慣れた顔が。
「そこにいるのはレンドル倉坂じゃないか!」
そう。
この妖精の如き美貌の持ち主こそ、現在物理部副部長のレンドル倉坂!
まさに天使!
「どうしたのガーネット? そんなに急いで?」
彼女も今登校らしいな。
「実はな、ほらあそこに……黒鉄徹哉がいるだろ?」
僕は遠くを全力疾走している黒鉄くんを指差す。
「まぁ、本当? ならば早く捕まえなくては!」
レンドルは制服の袖を捲り、その美白な腕を外に見せつけている!
ナイスだ!
「さぁガーネット、わたくし達も早く走って、彼を捕まえましょう!」
「そうだなレンドル。さぁ、行こうかッ!」
そして、僕らは全力で走り出す。
全てを超越せし、陸の頂点に立つあのチーターの如く!!
「うおッ、なんか追っ手が増えてるッ!?」
黒鉄くんはラストスパートを掛けたらしく、さらにスピードが上がっているな!?
「待つんだ黒鉄くん、僕ら物理部の捕虜となれ!!」
「そうですわ! 大人しく捕まりなさいッ!」
僕らも黒鉄くん同様、一気にスパートを掛けようではないかセニョール!!
「はぁはぁ……くそッ……」
それからしばらくして、学校の校門が見えてきた辺り。
とうとう日本のベン・ジョンソンがバテてきたようだ!!
スピードが明らかに落ちてきている!
「ガーネットっ!」
「ああ、今がチャンスだッ!!」
僕とレンドルは互いに頷き、ラストスパートを掛けた!!
「うわっ、く、来るな優しい物理部ッ!」
黒鉄くんはとうとう脇腹を押さえ、はや歩き状態に!!
「逃がさないぞ黒鉄くんッ!」
「逃がしはしませんわッ!!」
「ちょ、ちょっとタンマ……ゲホっゲホっ」
……おや?
黒鉄くんがむせているぞ?
盛大に……むせている!!
「レンドル、一旦ストップだ」
「え……?」
僕はレンドルに止まるよう指示。
「大丈夫か黒鉄くん? 結構むせているようだが?」
「……やっぱりあんたら、優しいヤツだ」
とか言いながらも、相変わらずむせている黒鉄くん。
もしかして……喘息なのか?
それとも……結核?
まさか……末期がん?
「本当に大丈夫なのか? 保健室まで運ぼうか?」
「……あんたさ、何かその優しさの後ろにいつも盛大な妄想とかが入ってそうだよね」
何を言っているのだ黒鉄くんは?
「とにかく、一旦保健室まで行った方が……」
その時……
「あ! あんたら、またテツにちょっかい出してるわね!?」
後ろから聞こえた、ガールの声。
レンドル……ではなさそうだな。
「……誰だい?」
僕は振り返った。
そこには……
「あんた達、覚悟は出来ているんでしょうね?」
……竹刀を構えた、鬼のようなガールが立っていたのさベイベー!
……むむ、このパターンはどこかで?
「待てアキコ、このままだとまた俺まで巻き添え喰ら……」
何故黒鉄くんが怯えているのだ?
「いくわよッ!」
何が?
「施仗桜花流三ノ型“夜桜”ッ!!」
次の瞬間……
鬼ガールは一瞬で僕とレンドル、黒鉄くんの横を通過し、僕らの背後へ。
そして……
バキッ
「ぐはっ……」
「あうっ……」
「だから何で俺までっ……」
少し遅れて、強烈な痛みが腹部に……
ぐうっ……
「相手の横を一瞬で切り抜け、その切り抜け様に腹部に強烈な斬撃を与える技……それが三ノ型、夜桜……うぅ」
何か説明しながら倒れていく黒鉄くん。
しかしながら……僕ももう……限界が……
視界が真っ暗に……
次に目を覚ましたのは、始業のチャイムが鳴った後のあの襲撃を受けた路上だった。
レンドルは同じく隣に倒れていて、何故か黒鉄くんの姿もあった。
白目むいて気絶中らしい。
「……これは完璧な遅刻だなセニョリータ」