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元素な彼女と記号な俺  作者: 五円玉
化学部日常篇
2/45

元素1 そんなこんなで始まる俺の部活ライフ

「Oよ、君は博士になるのだ!!」


「……ワッツ?」







……こんにちは。

黒鉄徹哉です。




ここは勿の論、私立石鉄高等学校。


そして勿の論、科学室。


そして、俺は唐突に杵島先輩から将来を決めつけられた。


ってか、


「何の博士ですか?」










今日は4月の終わり。


前回より少しだけ時は進みました。


現在、石鉄高化学部は、俺と杵島先輩の二人だけです。


「4月が終わるまでに、あと部員3人を確保しなければ!!」


俺に謎の博士命令を出した杵島先輩。


現在、先輩はビーカーに塩酸いれてます。

かなりしゅわしゅわ。

何すんの?


「ってか先輩、あと部員3人、一体どうすんですか!?」


正直ヤバい。

あと一週間もない4月。

この間に、部員の最低数である5人の部員を確保しなければ、廃部になってしまう!


つまり、あと3人!


「先輩、そろそろいい加減に考えないと……」


入った部活がすぐに廃部ってのは避けたいし。




その時、ビーカーに塩酸注入中の先輩に動きがッ!!




「……Oよ」


「は、はい?」


……相変わらず元素記号呼ばわり。

これに慣れつつある自分が嫌だ。


先輩はガラス製の棒で塩酸ビーカーをぐるぐるかき混ぜ中。


「……Oよ、博士になれ」


「だから何故!?」


先に言っておく。

杵島先輩は、基本的にどっかが抜けてる人だ。


「よいかO、博士と言うのは、頭がいいんだ」


「は、はぁ……」


だから何だ。


「Oが頭良くなれば、部員勧誘の方法を考えてくれるだろ?」


「……?」


何言ってんだこの女?

……失礼、この先輩?


「あ、あのー先輩? それは一体……?」


先輩は相変わらず塩酸ぐるぐる。

あ、今何かビーカーに入れた。


「Oは博士だ。博士になって、部員勧誘の方法を考えてくれ!」


「…………」


分かった。

杵島はがねはバカなんだ。


天然? 電波?


NO!


バカ!!


「先輩、それは博士でなくても考えられますよ?」


正論で対抗。


「Oは効率の良い勧誘方法を研究する博士」


先輩、塩酸ぐるぐる。

頭もぐるぐる。


「……つまり、それただ単に俺に勧誘方法を考えろって事?」


自分で考えるのが面倒くさいって事?


「……それでこそ化学部の酸素的存在、O」


当たりかッ!?


「任せたぞ、O」


先輩、塩酸の中に大量の卵白を投入!!


ってか卵白!?

どっからそんなもんを……


「……先輩、入部したての後輩に全部投げやりて……」


……この人、本当に先輩なのか?


「……中和完了!」


……卵白はアルカリ性。

知ってた?







杵島はがね

塩酸と卵白混ぜて喜ぶ高校2年生。


黒鉄徹哉

これから先輩にこき使われる事になる哀れな高校1年生。




これが現実なのです。










翌日、昼休み、教室。


俺は最近出来た友人と昼飯中。

ちなみに友人の名前は宝崎くん。


至ってフツーの子。


どっかの先輩とは大違いで。


「なぁ、黒鉄?」


「あ?」


俺は持参弁当。

宝崎くんはパン。

ちなみにあんパン。


あ、決してアンチバイ菌の動くあんパンではなく。

フツーのあんパン。


「お前さ、確か化学部に入ったんだよな?」


「……一応」


昔の俺はどうかしてたぜぇい。


「なぁ、その……化学部って、杵島先輩いるだろ?」


「……ああ、いるけど何か?」


ニトロをハンマーで叩く女。

危ない。


「……杵島先輩、やっぱり彼氏とかいるのかな?」


「……いたら凄い」



あの化学バカについていけるヤツがいたら凄い。


「じゃ、じゃあ、彼氏いないの!?」


鼻息荒い宝崎くん。

青春男子。


「しらねぇ。自分で聞けよ」


俺はそんな思春期真っ盛りの青春男子を見捨てる事にした。

鼻息荒いし。

フンガーッて。


「そんな……お前、同じ部活なんだろ? 聞いてきてくれよ!」


宝崎くんは必死。


「だから、自分で聞けって」


「そんなぁ〜」


宝崎くん、がっかりしながらもあんパンを一口。

俺も無表情で弁当の唐揚げを一口。




……まだ、俺ら1年生が高校に入学して1ヶ月。


既に、杵島先輩の噂は1年生にも回ってきている。




……確かに、杵島先輩の第一印象は……可愛いと思う。

無邪気そうな笑み、見事なスタイル。


けど、肝心の中身が……まぁ、残念。










「こんにちは〜」


その日の放課後。

俺はいつも通りに科学室へ。


正直、結構面倒くさい。

え? 何故かって?


……そりゃ、言わんでも分かるでしょ。


「あ〜、今日もまたパシリ的な部活になんのかなぁ〜」


絶望視。


で、俺は科学室へ入室。

部屋の扉に手を掛け、横にスライド。










「あ、あぅ……や、やめ……ぁ……」


「さぁCよ、ここにサインをするのだ!」


「あ、あのぉ……わ、私……化学部には……あッ、やめっ……ぁ……」


「サインしないと、もっとくすぐるぞC!」


「ああぁッ……」


……………。


あれ? 教室間違えたかな?

俺は教室の入口に掛かっているプレートを確認。


科学室


って書いてある。

うーん……俺、疲れてんのかな?

目の錯覚?


「さぁさぁCよ、サインをするのだ!」


「やめっ……あっ……やめて……」


…………ちょいまち。


俺の目の錯覚でなければ今、科学室の中で……


杵島先輩が見ず知らずの女子を……襲っている。

正確にはくすぐっている。


杵島先輩は真面目そうな表情。


一方の相手、大人しそうな女子生徒は超赤面。


……うん、ニトロ以上に危ないな。このシチュ。


「いいからサイン、サインをするのだC!」


「やめっ……てっ……下さ……い」


……とりあえず


「オイ、何してんだテメェら」


冷静に対処。

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