元素14 プールだッ水着だッ青春だッ!!
はろーぐっともーにんぐ!
まいねーむいずミンナノ黒鉄クン!!
ないすとぅみーとぅ!!
さてさて、わたくし黒鉄徹哉は先週、風邪を引きました。
そう、全ての元凶は杵島先輩でもアキコでもない、あのぐーたら作者!
もうサブタイトルからしてわかりきっていた事とは言え、やっぱりムカつくよね。
主人公補正が適用しません。
……よし、今から早速抗議に……うわなにをするやめろ。
……見えない力が働いた。
……しかし今、そんな作者の悪行を許してしまうほどの奇跡が、俺の身に起きている。
「黒鉄君……その……私……」
「……え?」
「私……く、黒鉄君の事が好きなのッ!!」
「……ッ!!」
神展開キター!!
全ての始まりは、昨日の放課後まで遡る。
「みんなで温水プールへ行こう!」
ある日の部活中、突然クルパが意味不明な事を言い出した。
すんごい笑顔で。
「お、温水プール?」
当然ながら俺は聞き返す。
ちなみに俺、今某狩りゲー中。
銀レウスパネェ。
ジョンソンは相変わらず赤ヒゲレース。
コイツに二足歩行のキノコを使わすとマジで強い。
琴浦さんは日なたぼっこ中。
光合成でもしてんのだろうか?
アキコはまた大量のお菓子を買い込み、1人黙々と食事中。
「そうだ温水プールだッ!! 実はな、いつも世話になっているBから、こんなものを貰ったのだ!!」」
そう言って、カバンから何かを取り出す杵島先輩。
俺はそれを尻目に狩り狩り。
「じゃーん! アクアランドの無料入場券!」
カバンから取り出したのはチケット。
それを杵島先輩はビシッと掲げる。
「ん、アクアランド?」
俺はチラッと杵島先輩の手元を確認。
……青いチケットらしき紙を5枚持っていた。
アクアランド
まぁ、温水プールのある年中無休の巨大アドベンチャーパークだ。
基本水を使ったアトラクションが多く、家族連れとかに人気のスポット。
俺も昔、家族と行った思い出が……ッて、
「しまった!」
よそ見している間に火炎ブレス食らってた!
あ、ゲームの話ね。
「ヤベッ、回復薬グレートッ!!」
しかし、回復しようとしたがピヨって……
銀レウスの突進食らって……
1落ち。
「あぁ……ッ!」
報酬金減った……
「どうだみんな? 今度の休みにでも行かないか?」
杵島先輩は科学室内をチラチラ。
「アクアランド……ですか?」
光合成琴浦さんがまず反応。
「そうだ! たまにはこういうのも良いだろうしな!」
先輩ノリノリ。
「そうですね……行きたいです」
琴浦さん承諾。
「あ、でもアクアランドって事は、水着……」
琴浦さんはやっぱりモジモジが一番だね。
ってか、
み、水着!?
おいおい、マジでか!?
本当にか!?
琴浦さんのボッキュッボンなボディを水着で……
……いいねぇ。
「……Oよ、顔が何かふにゃふにゃしているぞ!?」
「……ハッ!」
その時、ゲーム内の俺はまた体力0になり、2落ち。
「やばっ、後がなくなったッ!!」
「AuとLiはどうだ?」
俺がクエリタするかどうか悩んでいた頃、先輩はジョンソンとアキコに視線を向けていた。
「ボクハモチロン、センパイニツイテイキマスヨ!!」
とか言うジョンソンの視線は手元のダブルスクリーンゲーム機。
「あたしも行きます! どうせ暇だし!」
とか言うアキコの口の周りには生クリームが。
「よし、じゃあみんな行くでいいな!!」
「……ちょ、俺まだ行くとは一言も……」
「では、今週の日曜日辺りにでも!!」
「俺に聞かずに決めるな! ってかまだ行くとは……」
「浮き輪は向こうで膨らませればよい!」
「人の話を聞けぇ!!」
そして、日曜日。
ちょっと雲があるが、まぁ晴れた。
「……よし、これで全員揃ったな!!」
そう言って腰に手をあてているのはお馴染みクルパ先輩。
いつものセミロングの髪を、今日はポニーテールにしていた。
ってか先輩の私服初めて見た……
超普通だし。
あ、ちなみに現在アクアランドの前。
時刻は昼10時。
「キョウハセンパイノゴキゲンヲトル!」
緑のダウンジャケットにジーンズのジョンソン。
コヤツ、まだあの夢を持っていたのかッ!!
「流れるプールを絶対制覇してみせるわッ!」
白いパーカー&黒っぽいジーンズが目印のアキコさん。
彼女は今日、流れるプールを逆そうすんだってさ。
他の客に迷惑。
「……うぅ」
そして何故かモジモジしている琴浦さん。
相変わらずの純白ワンピース。
「よし、ではアクアランドに突入だ!!」
杵島先輩は子供だ。
精神が。
「うわッ、すげぇ!」
広かった。
え? 何がかって?
プールが。
「すげぇ広さ!」
バカ広いプールには、大量の人間が浮かんでいた。
家族連れ、友達同士、バカップル等々。
「イイカクロガネ、センパイノゴキゲンヲトルノハコノオレダカラナ!」
となりには金髪ジョンソン。
「…………」
コイツ、黄色い水泳帽子にピッチピチの競泳用海パン。
緑色のゴーグル。
すげぇ浮いてる。
家族連れ多いレジャープールの中、超浮いてる。
周りの客の視線がッ!
「ハハッ、ミンナオマエノダセェカオミテワラッテルゾ!」
「…………」
半笑いのジョンソン。
痛い子だ。
しかし……
「遅いな」
約10分前にそれぞれ更衣室内へ入った化学部のメンバー。
まぁ、男の俺とジョンソンはこうして着替え終わり、現在プールサイドにいるのだが。
「オマエ、マサカセンパイノミズギミテコウフンスンジャネーゾ!?」
「黙れしエセ日本語野郎」
こんなジョンソンはほっておいて。
女子が遅い。
いやマジで。
「……しかし」
女ってのはいつも時間かかるよね、準備に。
何しても時間かかる。
「全く……先に泳いでようかな」
「ミズギギャルノムナモトニメガオヨグッテカ?」
「日本語おかしいぞ金髪」
その時……
「も、もしかして黒鉄君?」
遠くのほうから聞こえた、俺を呼ぶ声。
「あ?」
俺は声のした方へ振り返った。
そこには……
「やっぱり、黒鉄君だっ!!」
黒髪ショートのビキニガールがいた。
そしてその顔には、見覚えが。
「もしかして……賀谷か?」
「久しぶりだね、黒鉄君!!」
「ク、クロガネニヘンナフラグガタチヤガッタ!!」