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尼子の忍び 鉢屋外伝 其の弐

作者: 伹見宏
掲載日:2026/09/12

尼子の忍び 鉢屋外伝


盗賊退治編


富田川の川衆


 雲州広瀬、月山富田城の峻険な城影を背に、城下を流れる富田川のせせらぎが響く広々とした河原では、尼子の忍び鉢屋衆が朝稽古に励んでいた。


 濡れた砂利を踏み締める足音と、荒い呼吸が朝靄(あさもや)に混じり合う。


「正拳突き十本!気合いを入れてっ!」


 若頭の安長の掛け声に合わせ、数人が並んで同時に正拳突きを繰り出した。


「せいっ!せいっ!せいっ!…」


 風を切る音が重なり、一拍遅れて河原の小石が擦れ合う音が響く。


「前蹴り十本!気合いを入れてっ!」


 続けて掛け声に合わせ、前蹴りを一斉に繰り出した。


「せいっ!せいっ!せいっ!…」


 息つく暇もない連撃の稽古がひとしきり続いた後、安長の合図で一同は動きを止めた。


 荒い息を整えながら、それぞれが自身の影に溶け込むように河原へ腰を下ろし休憩する。


 暫くして安長は立ち上がり両拳を体の前に突き出し、素早く拳を胸元に引き戻すと同時に息を吸って、ゆっくり息を吐いて構えた。


 向にいる流世も立ち上がり両拳を体の前に突き出し、素早く拳を胸元に引き戻すと同時に息を吸って、ゆっくり息を吐き構える。


「いくぞっ!」

 安長は流世に叫んだ。


「おう!」

 河原に声が響き渡り、安長と流世は徒手空拳(としゅくうけん)の組手を始めた。


 徒手空拳は各地で古来より独自に発展してきた古武道である。武器を持たない徒手空拳は、柔術と体術と(やわら)などと呼ばれ発展した。


 単なる筋力による格闘技ではなく、合理的に骨格を動かし、最小の力で最大の効果を生むという先人たちの智慧が詰まったものである。


 二人の傍には、真之介と真次郎と良太と沙和が組手を見守り座っている。近くにいた周りの川衆が見物に寄って来た。


 川衆は水運を担う人々である。川で舟を使って物資の米、塩、鉄などを運び、川を警護する水上警固衆としての顔も持っていた。


 尼子氏は、これら川衆を流通に組み込み、軍事と経済の基盤とした。尼子経久や晴久の歴代の当主が雲州を中心に中国地方の広大な地域を支配下に置いたが、山陰や山陽を繋ぐ大動脈は道だけでなく河川の水運もあった。


 各地域を治める大名や領主は、領内に独自の関所を設け、そこを通過する旅人や商人から関銭を徴収した。


 大名から特別な許可を得た商人や、軍事的な運搬を担う者に対しては、関所の通過を無料にし、優先的に通したりする特権を与えていた。


 その際に発行された関所通行の免除の許可証が過所である。尼子氏は富田川に関所を配置した。それは冨田関所と呼ばれ、各関所を必ず通過しなければ、物資を運ぶことが出来なかった。川衆は尼子氏の過所を携えて各流域の関所を通過したのである。


 組手を見物していた川衆は徒手空拳に興味をもった。盗賊から物資を守る為、格闘術を独自にもっていたが防御については何も無かった。


「あの一撃を、まともに喰らえば骨が砕ける。だが、なぜ彼等は倒れない?」

 川衆の一人が、食い入るように組手を見つめていた。


 川衆が盗賊から物資を守るために編み出したのは、ただ力任せに拳を叩きつける、荒々しい攻めの技だけだった。命がけの乱打のみである。


 しかし、目の前で繰り広げられる鉢屋衆の組手は、まるで違っていた。襲いかかる猛打を、紙一重でかわし、(てのひら)で滑らせるように逸らす。


 激流が巨岩にぶつかり、二つに割れて流れていくかのように、放たれた威力が虚空へ消えていく。その美しさに、川衆たちは息を呑んだ。


 突然、川衆の一人、竜が大声で安長と流世に懇願する。

「どうか、技を教えてくれないか?」

 時が止まったかの様に、組手をする安長と流世は動かなくなる。


「えっと、今、組手勝負の途中なんだけど…」

 流世が小声で呟くと、安長は諦め顔になった。


「いいでしょう、技を教えますよ。」

 川衆に安長は笑顔で答えた。


 安長は流世に向かって微笑むと流世も微笑んで呟く。

「しゃあねえな、勝負は、お預けか…」

「勝負は、いつでも出来るよ。」

 流世に安長は囁いた。


 富田川の河原で居合わせた川衆達と稽古が始まる。安長は受け払いを教えた。受け払いは痛みを伴うが相手の攻撃から急所を逸らす技である。


 急所は、身体の中で生命に関わる重要な場所で外部からの衝撃に弱く、攻撃を受けると激痛や失神、生命の危険が生じる部位である。


 脳、こめかみ、喉、みぞおち、心臓、股間など血管や神経が集中していたり、骨が薄くて守りにくかったりする場所が該当する。


 迫る一撃を完全に無効化することはできない。しかし、その痛みを引き換えにしてでも、致命傷だけは絶対に回避するという執念の技が受け払いである。


 稽古を終え、皆河原に座って休憩していると、川衆の竜が安長達に話し掛けてきた。

「富田川の下流で盗賊が出るんだ。神庭の武士団に追い払ってもらうように頼んでるんだが、奴らには手を焼いている。」



神庭横山城


 富田川の河口には、神庭横山城と赤崎山城がある。


 日々、武士団が富田川の警備に当たっているが行き届かないところがある。盗賊達は隙を突いて川衆を襲ってきた。


 安長は頷く。

「よしっ!盗賊を退治しに行こう!」

 川衆に言って立ち上がった。


 安長、真之介兄弟、流世、良太、沙和は川衆の案内で船に乗り神庭横山城にやって来る。


 神庭横山城は、月山富田城の周囲を固める尼子十砦の一つである。

 冨田川下流域を押さえる要衝であった。


 城主は川井信濃守、能義郡の西北部の拠点で、東へ張り出した丘陵の先端頂部に築かれた山城である。


 三方を海に囲まれた海城としての側面もあり、月山富田城の水軍拠点としても機能していた。


 神庭横山城に到着した安長達は城主の川井氏のところへ挨拶に行く。


「川井様、初めて(かしこ)まって御前に進み出ます。これは、鉢屋衆が若頭、この安長、ならびに我が手下の一座に御座います。富田の地より、命を帯びて参上いたしました。」

 安長は挨拶の口承を述べた。


 川井氏は微笑んで口を開く。

「これは、ご苦労、到着して突然であるが、君達に、是非、見せたい物がある。」

 家臣が布に包まれた物を持って来て川井氏に渡す。


 早速、布の中身の物を見せる。

「火縄銃じゃ!神庭横山城と赤崎山城でも使うことになった。」


 かつて銀山による莫大な財力や、日本海交易のルートを持っていた尼子氏は、比較的早い段階から最新兵器である鉄砲を入手していた。


 尼子軍の編成には鉄砲隊が既に存在し、鉄砲を扱う専門職があった。


 尼子氏と毛利氏の最大の決戦となった白鹿城の戦いでは、火縄銃が大量投入され、月山富田城の防衛線の第一の支城である白鹿城を巡る戦いにおいて、尼子軍と毛利軍の双方が鉄砲を激しく撃ち合った。


 尼子軍は鉄砲を導入していたものの、織田信長のように組織化された集団鉄砲隊として運用が遅れていた為、防衛が主体になっていたのである。


 川井氏は真剣な眼差しで鉢屋衆に言う。

「君達に(おとり)となって盗賊を撃退して欲しい。」


 安長は頷く。

「分かりました。期待に沿えるよう尽力致します。」


 川井氏は喜んで鉢屋衆に言う。

「有難い、是非、この火縄銃を使ってくれ。」


「使い方を教えてくれる方は、誰か…?」

 安長は川井氏に尋ねた。


「赤崎山城に鉄砲隊の鉢屋掃部(はちやかもん)がいる。扱いを教わってくれ。」


 こうして鉢屋衆の安長達は川衆に扮して囮となり、襲ってくる盗賊を撃退する作戦が始まる。


 川衆に扮して囮となった安長達は船に乗り、一度、安来港に行き、荷物を積み、赤崎山城に向かう。


 安来港から南西にいくと尼子十砦の一つの赤崎山城がある。


 中海に突き出した海城の十神山城と、尼子氏本拠城の月山冨田城を結ぶ位置に赤崎山城はある。


 両城の連絡を担い、付近の神庭横山城と呼応して海上周辺を守備していた。


 赤崎山城は単独に築かれた低い山城で標高は低くとも周囲が海に囲まれていたことから、海が天然の堀の役割を果たし、北方の十神山城との連絡は、ほとんど船によってなされていた。


 安来港を出た囮の船は周囲を警戒して運行する。海上で十神山城の水軍が警備に当たり、囮船には船頭と川衆の竜、鉢屋衆が乗り合わせた。


 川衆の竜が呟く。

「安来港から赤崎山城の間は、十神山城水軍が守ってくれるが、赤崎山城から先は、警備が手薄になるんだ…、奴らは、いつ襲ってくるかわからない…」


 安長は竜に聞く。

「盗賊は、どんな風に襲ってくるんだ?」


 竜は思い出しながら答える。

「そうだな、小舟でやって来て…、襲いかかる奴を相手してると、いつの間にか盗まれて持っていかれちまうんだ…」


 安長は頷いて、再び聞いた。

「襲われて、怪我はしないのか?」


 竜は、両手を挙げて答える。

「多少、傷を負うが、大怪我しない程度に襲ってくる。奴らは、俺達、川衆が怪我して運べなくなったら盗めなくなるからな…」


 安長は目を閉じて呟く。

「なるほど…、達が悪い奴らだな…」



鉄砲小頭の鉢屋掃部


 囮の船は赤崎山城に到着する。

 岸に鉢屋掃部が待っていた。


 尼子軍に鉄砲隊が組織された時、鉢屋衆から入隊した一人が鉢屋掃部である。


 白鹿城の戦いで、掃部は尼子軍の鉄砲隊の鉄砲小頭を務めた。

 鉄砲小頭は、鉄砲隊を率いる下級指揮官である。


 掃部は赤崎山城での鉄砲の運用を任され、鉄砲隊五名を率いて駐屯していた。


「よう、やっと来たか、待ってたぜ!」

 掃部は笑顔で迎えた。


「初めまして、よろしくお願いします!」

 安長達は挨拶した。


「鉄砲の扱い方を教える。扱えても弾丸が命中しないと駄目だ。どんなに遠くても弾丸を命中させる狙撃は経験が必要だ。」

 掃部は強い口調で言った。


「では、鉄砲のいろはを教えて進ぜよう。」

 そう言うと、皆を引き連れ火薬庫に行く。


 火薬の装填の説明が始まり、続いて弾丸の装填、点火、発砲を教える。


 一連の動作を覚えると、一人一人試し打ちをすることになる。


 遠く離れた的を狙い、それぞれ打ち始めるが当たらない。そんな中、沙和だけ命中し始める。次第に、命中率は上がっていく。


「なかなか、良い筋してるじゃねえか!とにかく集中して、しっかりと狙うんだ。」

 掃部は沙和を褒めた。


「有難う御座います。」

 沙和は喜び御辞儀をする。


「私、鉄砲撃ちになりたい…」

 沙和は呟く。


 隣にいた兄の安長は囁く。

「沙和が、やりたい様に、好きな様に、生きれば良い。」

 沙和は頷いた。


 掃部は腕を組み語り始める。

「さて、今回の囮作戦なんだが、俺達の鉄砲隊は赤崎山城で待機する。囮の船から鉄砲の発砲音がしたら船で救援に向かう。。それまで盗賊と格闘することになる。持ちこたえてくれ。」


「はい!」

 安長達は一斉に返事した。


「では、明日の朝、作戦の開始だ。赤崎山城で、ゆっくり休んでくれ。」

 掃部は、そう言って赤崎山城に安長達を案内する。


 城主の原民部少輔が掃部と鉢屋衆を労う。

「ご苦労様、明日に備えて、ゆっくり休むが良い。」

 安長達は女中に広間を案内され、食事と休憩をした。


 安長達は作戦について話し合う。

「盗賊と遭遇したら、まず沙和が発砲する。」


 皆、頷く。流世は良太に言う。

「良太、お前、沙和ちゃんの鉄砲の補助をしろよ。火薬と弾丸の準備をして、狙撃の援護をするんだ。」

「ああ、了解だ、兄貴。」


 真之介が皆を見て話す。

「近づいて来る盗賊達と、どう戦う?」


「棒手裏剣を撃つか…、船に乗り込んで来た盗賊とは格闘になるだろう。」

 安長は想定しながら話す。


 真次郎が呟く。

「盗賊は武器を持ってるのか?」


 安長は腕を組み考える。

「脇差しぐらいは持っているだろう…、鎖帷子を装備して忍刀(しのびがたな)で戦おう。」


 流世が顔を曇らせた。

「忍刀の扱いが上手く出来ないんだ、俺は徒手空拳で戦うよ。」


 安長は頷いて話す。

「そうだな、流世は、その方が良いかもしれない。」


 安長は静かに話し出す。

「生きてると、皆どんどん変わっていくな。前とは違うけど仕方ない。失うものが有れば、得るものがある。それが、生きるってことなんだろう。」


 流世が呟く。

「確かに、俺や良太は万歳の芸をやって、今度は盗賊退治だ。生きてりゃ、色んな事があるな…」

 良太は頷く。


 沙和が呟く。

「私、鉄砲撃ちになるって決めたの…」


 安長は沙和に言う。

「やりたい様に、好きな様に生きれば良い。」


 真之介が呟く。

「俺達は万歳の芸と忍びの技に精進だな。」

「そうだな。」

 真次郎は頷いて呟いた。



囮作戦の決行


 赤崎山城から囮の船がでる。

 船頭と川衆の竜に囮船の運行が委ねられ、ゆっくりと富田川の河口に向かっていた。


 船の上では、周囲を安長と真之介兄弟と流世が見張り、沙和は既に弾丸が装填された火縄銃を持って構えている。


 沙和の傍で良太は、手運び出来る木箱に火薬と弾丸を整え、小型の火鉢を入れ、中の炭火を絶やさないようにして、直ぐに火縄銃に火を移せるようにしていた。


 川衆の竜が皆に声を掛ける。

「河口に着いた。下流に入るぞ。」


 暫くすると、遠くに小舟が現れる。


 それを見て、安長は沙和に告げる。

「沙和、こっちに舟が現れたぞ!」

 間も無く、もう一つ新たな小舟が現れる。

 真之介が見つけ沙和に告げる。

「こっちにも舟が現れた!」


「その舟、盗賊なの?」

 沙和は聞いたが、小舟は遠くで、安長と真之介は分からず返事が出来ない。

「どうしよう…、撃つの?」

 沙和は呟いた。傍にいる良太が沙和に言う。

「撃とう!炭の火を鉄砲の縄に移すよ…」


 沙和は、狙いを定める。

 そして、発砲音が響く。

「撃った…、当たったのか…?」

 安長は呟く。

 小舟は何も反応が無く不気味である。


「火薬と弾丸、装填完了!」

 良太は鉄砲を沙和に渡した。

「いくよ!」

 沙和が叫ぶ。


 再び、発砲音が響く。それと同時に沙和の狙った小舟から弓矢が飛んで来た。

「ああっ!」

 弓矢は沙和と良太の側を掠め、良太は驚いた。


 安長は川衆の竜に聞く。

「今まで盗賊が弓矢で襲ってきたことは?」

「いや、無い!今回が初めてだ!」

 竜は答える。

「皆、隠れろ!鎖帷子では、矢が刺さる!」

 安長が皆に言うと、一斉に姿勢を低くした。


「火薬と弾丸、装填完了!」

 良太が沙和に鉄砲を渡すと、沙和は言った。

「発射すると、こっちを狙って矢が飛んで来るよ!」

「ああっ!分かってるっ!」

「じゃあ、いくよ!今度こそっ!」

 発砲音が響いた。再び、弓矢が飛んで来る。


 沙和が狙った小舟から呻き声がする。

「当たった…?」

 沙和が呟いていると、良太は頷いた。

「火薬と弾丸、装填完了!」

 良太は鉄砲を渡した。


 一方、掃部は囮船からの発砲音を聞き、救援に向かっていた。五名の隊員を伴って狙撃の準備が始まる。


 囮船に近付いて来ると、次第に状況が分かってくる。

「周りに小舟が見えます!三つ?いや、五つ!」

 隊員が掃部に言った。

「よしっ!小舟の盗賊を狙撃しろっ!」

 掃部が、そう言うと隊員は撃ち始める。


 囮船には、盗賊が何人か乗り込んでいた。掃部は沙和に近付く盗賊を見つけ、狙いを定める。

「我に力を与え給え…」

 掃部は呟き狙撃する。

 沙和に近付く盗賊は、弾丸を受け船から転落した。


 囮船の傍に鉄砲隊の船が来る。

「味方と敵が密集していて狙撃できねえな…」

 掃部は呟いた。


 囮の船上では、盗賊と安長ら真之介兄弟、流世達の睨み合いが続いている。

 真之介と真次郎が棒手裏剣を撃つと盗賊に刺さり、怯んだところで流世と徒手空拳で格闘が始まった。


 一方、安長は忍刀で盗賊と立ち回っていた。

 盗賊は太刀を持って構えている。


 盗賊は十文字斬りで攻撃を繰り返しては、安長が交わし(しのぎ)を削っていた。


 次の盗賊からの十文字斬り攻撃を安長は宙返りで交わし、空中で忍刀の(つか)に仕込まれている棒手裏剣を抜き撃つと盗賊は倒れる。棒手裏剣は首に刺さっていた。

 

 安長は、流世に目をやると、まだ徒手空拳で格闘している。すると、沙和が叫んだ。

「皆、離れてっ!」

 流世が盗賊から離れると、沙和は鉄砲を撃った。


 沙和から放たれた弾丸は盗賊に命中する。

 盗賊は倒れ、全ての盗賊が退治された。


「やれやれ、やっと終わったか…」

 掃部は呟く。



沙和の入隊


 盗賊退治により安全を確保された富田川で、川衆は水運を利用して、食糧や物資を滞り無く運び込むことが出来るようになった。


 しかし、毛利元就による雲州侵略の徹底的な包囲網により、海や川を経由する補給が厳しくなっていた。

 命綱の輸送路は絶たれようとしている。


 尼子氏は起死回生の策として、尼子十砦に鉄砲隊を配置して、局面を打開しようと戦略を立てる。

 新たに鉄砲隊の募集が有り、沙和は入隊することにした。


 月山富田城で尼子軍鉄砲隊の入隊式が行われ、沙和は入隊する。


 安長は入隊式を見に来て沙和の入隊を喜んだ。

 沙和は兄を見つけると駆け寄る。


「私、鉄砲撃ちになっても、鉢屋衆のくノ一だからね。」

 沙和は兄の安長に言った。


「鉢屋衆くノ一の鉄砲撃ち沙和、頑張れっ!」

 安長は励ました。



 月山富田城で、入隊の祝砲が撃たれる。


 富田の山々に祝砲が鳴り響いた。


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