お外
お母さんが洗濯物を干しに外に出た。
玄関のドアが少し開いている。
僕は、よいしょよいしょと力をこめて玄関のドアを押し開ける。
すう。お鼻の中が冷たい。
お外は久しぶりだ。
このおうちに来る前を思い出す。
しばらくすると、妹のアンコが玄関から顔を出した。
お母さんは、洗濯物を干し終えたのか「だめよ。アンコ」と行ってアンコを家の中に戻しピシャんと玄関を閉めてしまった。
まあ、いいさ。しばらくしたら僕を心配して開けてくれるさ。
※
僕がおうちの近くで枯れ草を鼻でつついて、フガフガしているとお母さんとお兄さんが玄関から出てきた。僕は、怒られるのが嫌いなので、ちょっと隠れた。「フクちゃん」と、名前を呼ばれたら出ていったら良いんだよ。いつもそれで許してくれる。
あれ?
お母さんとお兄さんは、車に乗って、ぶう。と行ってしまった。
※
困ったな。困ったけれど、困んない。僕は猫だから。スタスタと家の周りを闊歩する。黄土色の葉っぱ。鼻をつけても乾いた匂い。この間、お外に出たときの葉っぱは青い匂いだったのに。お外がお爺ちゃんになったのかな。
ちょうちょもいない。小さい虫もいない。
寒いな。喉も渇いたよ。
僕は、またひとりぼっちになっちゃった。
※
ぶう。
お母さんとお兄さんが帰ってきて、ふたりはおうちに入った。しばらくして、お母さんが「フクちゃんが外に!」と言っておうちから出てきた。
僕は、お母さんに近づいた。
お母さんは「こんなに汚れて」と、僕を抱っこして、ぽんぽんと叩いた。僕は怒られた。と思って身をよじってしまう。お母さんの手から逃げてしまったんだ。
「フクちゃん、フクちゃん」とお母さんが呼んでる。お母さんの優しい声を聞くと僕は、僕を悪い子だと思ってしまうんだ。ごめんなさい。
「フクちゃん」と、別の声が僕を呼んだ。
お兄さんだ。
お兄さんは、僕をひょい、と抱き上げた。
お兄さんは怒らない。きゅうと、僕を優しく抱いて頭を撫でた。僕は、くたっとお兄さんの胸に頭をつける。
「疲れちゃったね。フクちゃん」と、お兄さんは言った。




