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昭和25年生まれ 木村悦子75歳  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


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第7話 順子誕生

 健太を出産して3年後、浅間山が12年ぶりに大噴火した昭和48年、わたしは長女の順子を産みました。

 この年は医療保険の制度が変わり、70歳以上の老人医療費が無料化されたのです。

 そのおかげで、順子が生まれたお祝いに義理の両親からも、実家の両親からも、それなりの金額をいただくことができました。

 額でいったら、健太の時よりも多かったです。

 

 まだまだ銀行金利の高い時代でしたし、健太郎さんの勤め先が銀行でしたから、しっかり貯金しましたけどね。

 嫁入りに備えて貯金しておきたかったので、助かりました。


 男の子は自分で稼げるように学費を、女の子は嫁ぐ日のために嫁入り資金。

 そんな感覚でしたね。

 時代はどんどん変わっていき、女の子にも学びを、と言われてはいましたけれど。

 働き続けたところで生涯年収は男の子のほうが圧倒的に多かったですし、女の子には子どもを産んで育てて欲しいという気持ちが大きかったです。

 

 夫が銀行員ですから、娘も行員になれば、という気持ちもありましたが。

 大きな額の横領事件を女性が起こし、愛人に貢ぐという事件などもありましたから、ちょっとね、という気分になってしまいました。


 男女を問わず、幸せは犯罪を遠ざけるお守りみたいなものですからね。

 娘にも、息子にも幸せになって欲しい。

 そんな気持ちでした。


 この年は、オイルショックがあって、なぜかトイレットペーパーの買い占めが起きるなどの騒動もありました。

 幸せに生きる、賢く生きる、なんて言葉にすれば簡単ですけど、実際にそれを続けていくのは大変な作業です。


 全部動いていくのですもの。


 わたしは1年経てば1歳年を取り、老いていくけれどその分、賢くなったという実感もなく。

 世の中も賢く生きやすくなるかと言えば、そうでもない。


 2025年はお米のことで色々とザワザワしましたけれど、この年には大手の会社が「ヤミ米買い付け容疑」で手入れを受ける、なんてこともありました。


 コインロッカーから赤ちゃんの死体が発見された事件もありましたし、望まれなかったり経済的な事情で育てられない乳幼児を他人の実子として斡旋していたことを公表した医師がいたりと【子ども】について考えさせられる事柄も表面化しました。


 子どもを産んだばかりのわたしにとっては、とても身近な問題に感じられたものです。

 自分で子どもを持つと、他人の子どもの幸せも心の底から願えるような、何か不思議なものが湧いてくるのです。

 全ての子どもには幸せになって欲しい。

 そんな気持ちになったものです。


 子どもを手放した【お母さん】の気持ちというものにも思いを馳せるようになります。

 今の大人はいつかの子ども。

 どんな幼少期だったのか、どう大人になっていったのか。


 真っ当な大人、なんて簡単に言えますけど、本人の努力だけでどうにかなる問題だけではありません。

 

 母になれる年齢となっても、環境次第で人はどうにでもなります。

 

 わたしの子どもたちには【幸せになれる人】になって欲しいと願いました。


 それがどうすれば手に入るのか、さっぱり分かりませんでしたけどね。

 やれることをするだけです。


 健太の生まれた昭和45年には、赤軍派により日航機よど号がハイジャックされるという事件がありましたし、順子が生まれた年には、日航機がパレスチナゲリラにハイジャックされるという事件がありました。


 子どもを持つ前と後では、世の中の出来事に対する感じ方も変わります。


 全ての不幸から守ってあげたいけれど、そんなことが出来るはずもありません。


 わたしは日々、できることを一生懸命にこなしながら、ちょっとだけ社会問題に目を向けるようになったのです。

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