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昭和25年生まれ 木村悦子75歳  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


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第43話 令和へ

 2019年。

 天皇陛下が退位されたことより平成は終わり、新たな天皇陛下が即位により令和が始まりました。


 わたしは昭和、平成、令和と3つの時代を味わい生きる。


 なんだか不思議な気分です。


「昭和って終わる気がしなかったのに、平成も終わって今は令和か。不思議な気持ちですねぇ」


 健太郎さんも同じ気持ちのようです。

 テレビを眺めながらしみじみとつぶやいています。


 生きていたら色々と変わっていくのが普通でしょうけれど、昭和が長かっただけに不思議な気持ちがします。

 平成だって31年あったのですから、短くはないのですが。

 昭和生まれのわたしたちにとっては、昭和が終わったことすらまだ受け入れられない状態ですからね。

 不思議です。


 この年は、消費税率も上がりました。

 10%という消費税率は、どうなのでしょうね。

 消費税だけが税金というのなら、10%でも不満はなかったかもしれません。

 ですが日本の場合には、ほかに色々ととられた上に10%ですからね。

 手痛いです。


「我が家は年金暮らしになるというのに、いまさら消費税を上げられてもなぁ」


 さすがの健太郎さんもぼやいています。


 金融機関に勤めていた健太郎さんは、お金のことが不得手というわけではないのですが、未来を見通すことなど無理ですからね。


「働き始めたころは、生きていくだけでこんなにお金がかかるとか、思っていなかったよ」

「そうですね」


 わたしは健太郎さんの言葉にうなずきました。

 わたしたちが若い頃には、健康で働ける状態ならどうにかなる、という考え方でしたからね。


 あっという間に変わってしまいました。


 第二次世界大戦を知っている世代も、まだ生きているというのに。

 どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?

 未来はどうなってしまうのかしら、と考えると玲子のことが心配になります。


 本人はどうにかするから大丈夫、といって笑っていますが。

 違う時代を知っていると不安になります。

 今振り返ってみれば、わたしたちの時代はよい時代だったのでしょうか?

 子育てに必死で、まったく考えたことなどありませんでしたけれど。


「そもそも年金は60歳からもらえる予定だったからなぁ」


 お金のことに詳しくて、しっかりと真面目に働いてきた健太郎さんでも愚痴が出る程度には、いまの時代は難しい。


「不安だから稼げるときに稼いでおくけど。畑仕事も健康や家計のためには役に立つよね」


 そうです。

 畑仕事は体を動かしますし、収穫した野菜を無駄にしないように食べていると自然と健康になります。


「あまり真剣にやりすぎると、料理するのが面倒になってお惣菜頼りになりますけどね」

「そうだね。体を酷使しすぎて怪我や病気をしたら、医療費のほうがかかるからね」


 わたしの言葉に、健太郎さんが笑っています。


 畑仕事をするといっても、わたしの場合には無理をしすぎないほうがいいのです。

 自分で作った野菜は美味しいですが、家事がおろそかになると不都合も色々と出てきます。

 ほどよくやるべきなのですが。


「バランスが難しいですね」

「そうだね。バランスが難しいね」


 わたしがぼやくと健太郎さんもほやきます。


 わたしも、健太郎さんも、来年には70歳。

 いくら長寿になったからといっても、それなりに体のあちこちにはガタがきています。

 無理をすると後に響くのです。


「兄さんたちが元気すぎるからね」


 健太郎さんが苦笑いしています。

 そうなのです。

 義兄夫婦のペースに合わせていると、わたしたちはへとへとになってしまいます。


「僕は稼ぎに行くほうが楽かなぁ」


 健太郎さんは、まだ時々、働きに行っています。

 現金収入があるというのは心強いですが、この年で稼ぎに行かなければならないのも問題があると思います。


 堅実にやってきたはずですが、これってどうなのでしょうね。

 

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