第41話 なんとなく回復
天皇陛下が退位される。
その日が2019年4月30日と決まり、時代は変わっていくのだな、と感じました。
わたしがどれだけ戸惑いを感じようと、気持ちが塞ごうと、時は流れていきます。
菜の花。たけのこ。アスパラガス。
春の野菜の収穫も、移り変わっていきます。
畑仕事は長い期間がかかりますが、収穫するとなったら一気です。
「悦子さん。ジャガイモ掘りに行きましょう、ジャガイモ」
わくわくした表情で健太郎さんに誘われる頃には、なんとなーく気持ちが回復していきました。
梅雨時期は気持ちが塞ぐものですが、晴れ間を狙って収穫するものもあります。
そんな時には人手が必要です。
玲子が遠くに行ってしまいましたから、わたしも働き手の1人に加えられてしまいました。
ずっと世話をするわけでもなく、収穫の時だけですからね。
忙しい時くらい手伝わないと、美味しい野菜がもらえません。
「掘りたてのジャガイモは、レンジでチンしてバターをのせただけでも美味しいですよね。楽しみですね、悦子さん」
健太郎さんが、とても嬉しそうな表情を浮かべています。
ジャガイモですか。
肉じゃがもいいですし、カレーやシチューにしても美味しいですよね。
素揚げにしても美味しいし、お味噌汁に入れても……。
などと考えれば、収穫に付き合わないわけにはいきません。
義兄夫婦とのお付き合いもありますし、わたしも結局は畑へ行って働きます。
六月、七月と梅雨の時期に入ってくれば、畑に行ったからといっても晴れているとは限りません。
でも体を動かしていると不思議なもので、なんとなーく『いつもの自分』が戻ってくる気がしてきます。
義姉は明るく、義兄は陽気な人ですからね。
わたしなど話を聞いているだけで笑いっぱなしです。
キュウリにオクラ、ホウレンソウ。
種をまいて、芽が出るころには、夏休みで戻ってくる玲子に何を食べさせようか、わくわくしながら考えるようになっていました。




