第27話 家庭菜園の準備
わたしは、お花を育てるのが好きです。
でも野菜となると分かりません。
口にするものですからね。
お花とは、また違ったテクニックが必要なことでしょう。
その点、わたしには強い味方がいます。
義兄夫婦です。
健太郎さんの兄夫婦は、宅地に変えなかった田畑を相続しました。
義兄は既に定年を迎え、本格的に農業をしています。
仕事をしていたときにも、義両親からいろいろと仕込まれていたようです。
義姉も畑仕事が好きなようで、昔から農作業のお手伝いをしていました。
だから、農業のことは詳しいのです。
「わたしはお花くらいしか育てたことがないので、いきなり本格的な農作業は無理だと思います」
「そうね。悦子さんは、体が弱いから」
義姉はそう言って笑っています。
いえいえ、あなたに比べたら、世の大体の女性は体が弱いことになると思いますよ?
わたしはそう言いたいところをグッとこらえます。
こらえる必要もないほど明白なことですけど、話が長くなるのでこらえます。
「シソやネギ程度なら、すぐに育てられると思うわよ。匂いが気にならなければ、だけど」
シソはともかく、ネギは気になりますからね。
簡単に育てられるわよ、と昔から言われていた野菜です。
でももらえるから、自分で育てたりとか、あまりしませんでした。
「悦子さんはお花が好きだから、スイスチャードもいいかもね。見た目が綺麗だから、お花と一緒に植えても綺麗よ」
義姉おすすめの野菜のようです。
お花と一緒で構わないというのは、魅力的です。
「いいかもしれませんね。スイスチャードって、レタスみたいに生で食べられる野菜でしたっけ?」
わたしの質問に、義姉はうふふと笑って説明してくれました。
「葉が小さいうちなら。ベビーリーフとしてサラダに使えるわ。でもホウレンソウと同系列の野菜で「シュウ酸」が多いからサッと茹でてあく抜きしてね。胡麻和えにしてもいいし、炒めても美味しいわ。変わったところでは、ロールキャベツのキャベツの代わりに使っても美味しいのよ」
それはもはやロールキャベツではなく、ロールスイスチャードですよね。
でも簡単に育てられて、見た目が綺麗というのは気になります。
庭に植えるなら匂いのことも気になりますからね。
「ならわたしは、スイスチャードと、シソとバジルあたりから始めようかしら」
「うふふ。それなら苗を用意してあげるわね」
「ありがとうございます」
畑仕事の先輩がいると安心です。
苗がもらえる4月から、わたしは野菜も育てることになったのですが。
義兄が気になることを言いました。
「これで健太郎も、奥さんと同じ趣味を楽しめそうだな」
あら、健太郎さんと一緒に?
「健太郎もああ見えて、畑仕事が得意だぞ? 夫婦仲良く畑仕事というのもラブラブでいいじゃないか」
義兄がニマニマしています。
この年になって、揶揄われるとは思ってもいませんでした。
頬が熱いです。




