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昭和25年生まれ 木村悦子75歳  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


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第24話 息子は勝手にやっているようです

 我が家には、順子だけでなく健太という息子もいたはずですが、随分と音沙汰がありません。


「あれはあれで付き合いがあるだろう」

「そうはいっても、お正月とお盆くらい帰ってくればいいのに。玲子と会ったのだって数えるほどですよ。結婚する気もないらしいですから、順子の家族とは親しくしておいたほうがいいのに」

「それはそうかもしれないが……」


 健太は進学した大学の近くで就職をして、それ以降、我が家へは数えるほどしか戻ってきていません。


「あいつにはあいつの人生があるからな。それは仕方ないじゃないか」

「そうですけれど……」


 わたしはモゴモゴと口ごもります。


 玲子がマイホームを建てるのであれば、別居は確実です。

 もちろん玲子家族と同居するとなれば健太に相談するのは当然ですが、同居しないとなっても相談するのは当然のように思えます。


「わたしたちだって何時までも若いわけではありませんよ」

「それはそうだ」


 孫の玲子、わたしの両親や義両親にとってはひ孫が小学校へ上がるのを待っていたかのように、親たちは弱っていきました。

 義父は施設に入所して残された義母は義兄夫婦と暮らしています。

 実家はだいぶ整理をしたのでスッキリしました。

 わたしの両親はそこで過ごしていますが、いつ倒れるか分かったものではありません。


 両親や義両親の介護問題が持ち上がる頃になれば、気になってくるのは自分たちの老後のことです。


「私も定年が近いけれど、年金が全額出るのは少し先になる。だが働き続けるつもりでいるから、お金のことはあまり心配しないでくれ」

「それは分かっていますよ。でも家のこととか、考えなければいけないことが沢山あるでしょう?」

「家か。んー……ちょっと早くないか?」

「そんなことはありませんよ」


 我が家はローンなどは抱えていませんが、昔の作りの家です。

 年寄2人で暮らすには、少々不便かもしれません。


「わたしだって何時まで元気に動けるか分かりませんし。老後のために家のなかも片づけたほうがいいと思いますよ」

「んー、そうかぁ」


 健太郎さんは首を傾げて考え込んでいます。

 仕事をバリバリしているのは分かっていますが、健太郎さんだって年を取れば体が弱りますからね。

 今まで通りというわけにはいきません。


「順子は別に家を建てるわけですし。健太も働いている間は、こちらに戻ってこない、というのなら。この家は老人が暮らしやすいようにリフォームしてしまうというのも方法のひとつですよ」

「リフォームか。金がかかるな?」

「わたしの両親やあなたのご両親を見ていたら分かるでしょ? 子育てした家で、そのまま暮らすのはリスクがあるわ」


 義実家には子育てを終えた健太郎さんのお兄さん夫婦が住み、義母の面倒を見てくれています。

 もともと住んでいた家には、甥夫婦が暮らしています。


「健太郎さんの実家は、お兄さんたちが一緒に暮らしているからバリアフリーの工事くらいで済んだけど。この家は、もうちょっと手を入れないといけない気がするわ」

「んー、そうかぁ。子どもたちがいなければ二階が無駄だから平屋に変えるとか?」

「そうよ。でも平屋にしたら固定資産税が上がるでしょ?」


 無駄は嫌ですし、年を取れば二階を掃除するのも大変になるでしょう。

 だからって税金が上がるのも嫌です。


「バリアフリーにして老人でも暮らしやすいようにしておけば、わたしたちの死後に健太が戻ってきて住んでもいいじゃない。順子の家も近くにあるわけだし」

「おいおい。それはちょっと先のことを勝手に考えすぎじゃないか?」


 健太郎さんがギョッとした表情を浮かべています。

 でも人間なんてすぐに年を取りますし、子どものことは心配なのです。


「あー……これは、いずれにせよ、健太も交えて相談が必要だな?」

「ええ。そうですよ」


 こうして健太も交えて相談すること()()が決まりました。


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