第21話 孫の小学校入学準備
子どもの成長はあっという間ではありますが。
小学校へ入学すると準備だけでもバタバタします。
子どもであっても5、6歳になると小型のゲーム機を使って遊ぶようになるのでしょうか。
孫がピコピコやって遊んでいると、目が疲れないか気になります。
「お母さんも一緒にやったらいいじゃない。ボケ防止になるわ」
「もう、この子ってば。親を馬鹿にして」
順子は孫にゲーム機を与えておいて、わたしの方を責めてきます。
なんなのでしょうね。コレは。
共通の話題があると楽しいですから、わたしももちろんやりますけれど。
目が疲れますし、集中してしまうせいか肩こりも酷いです。
子どもは体が柔らかいですから肩こりはしないようですが、集中力が違うので心配になります。
その集中力は別のところで使うべきものなのでは?
ちょっと気になります。
でも「みんなやってから」と言われると弱いですよね。
共通の話題は大切ですから。
この点では昔のほうが楽だったかもしれませんね。
わたしが順子を育てていたときには「テレビばっかり見ていてはダメ」と注意すればよかっただけですから。
アレも共通の話題ですし、わたしや健太郎さんと一緒に見ることが多かったですからね。
どんなものを見てるのか、把握がしやすかったのです。
感想を聞けば、子どもがどんな考えを持っているのかも理解しやすかったので、危ないと思うところは注意することができました。
でもゲームは……どうなのでしょうね。
まぁ子どもなんて、お小遣いを使って自分で物を買うようになれば、何をするか分かったもんじゃないものですから、いまから心配しても意味ないでしょう。
ならば一緒に楽しんで、何かあったら気付けるように、玲子のことを知ることを優先したほうがいいかもしれません。
世の中はどんどん変わってきます。
金融機関の統廃合など金融再編も進み、それは保険会社も無関係ではありません。
我が家は健太郎さんの勤め先が銀行ですから影響が気になります。
もちろん他の仕事をされているご家庭も無関係ではありません。
「玲子の学資保険、どうしよう」
お金回りのことは大切ですから、順子も頭を悩ませていました。
我が家のことも、順子の家庭のことも、お金回りのことは健太郎さんに相談しながら決めることも多かったです。
ですが、健太郎さんだって未来予知ができるわけではありませんからね。
新しい情報を手に入れて、最適な物を選んで、お金を移動させたり契約を見直したり、とにかく大変。
わたしなどは、1回決めたら動かしたくないタイプの人間ですから、本当に面倒です。
健太郎さんと順子は真剣に話し合っていましたが、わたしはノータッチで玲子と遊んでいました。
分からないことは任せてしまうのもひとつの手です。
全部やってたら時間が足りませんからでね。
わたしはわたしの出来ることをするのが一番です。
わたしたち夫婦も年を取ってきましたし、孫も健康でいて欲しいですから感染症対策に勤しみました。
人材派遣が製造業でも解禁されたり、働き方も変化を見せ始めました。
わたしの若い頃には正社員として雇用されるのは収入が保証された気楽な働き方、なんて言われたりもしていましたが、今度は正社員で働くことが難しくなってきたのです。
あっという間に労働環境なんて変わります。
公務員が安泰というのも、どうなのでしょうね。
公営が民営化された職場も報道で多く見てきましたから、安定とは? と疑問に思うことも多かったです。
市町村だって合併されたりしましたし。
地名が変わるというのは変な感じです。
地面は動かないのに、名前は人間の都合で簡単に変わります。
法律だって変わりますし、年金の支給時期だって変わってしまいました。
そこを変えられたら将来設計ができないというところもどんどん変えられてしまいます。
どんどん世の中は変わっていくのです。
戦後に生まれたわたしは、復興して平和に、幸せに、生きる未来を見つめて生きてきました。
強盗事件や殺人事件、集団自殺。
日本は豊かになったのではないですか?
なぜ小学生の女の子が殺されるような事件、起きなきゃいけないんですか?
ただでさえ台風や地震など自然災害だけでも大変だというのに。
景気も悪くて大変で、どうにかしなきゃいけないのに。
事件まで起きなきゃいけないんですか?
「最近物騒だから防犯ブザーは買う」
順子の言葉に、わたしは頷きました。
小学校入学の準備は大変です。
実際に入学するのは来年ですが、早く手配しないと欲しいランドセルを手に入れられなくなってしまいます。
玲子にも自分の好みというものが出てきました。
長く使うものだからお気に入りを選んで欲しい。
親は予算で悩んでいるようですが、わたしは祖母ですから孫には甘いのです。
だから防災や防犯のグッズを色々と買ってあげたくなるのですが。
「お母さん、玲子はそんなにたくさん持てないわよ」
あら大変。
全部持たせたら玲子が重さでつぶれてしまいます。
「ランドセルだって、背負っているというよりも背負われているみたいなのに」
順子はそう言って、ランドセルを背負った玲子を見せてくれました。
わたしは自宅のリビングで、順子から携帯電話でとった画像を見せてもらいながら溜息を吐きました。
我が孫ながら、なんて可愛いのでしょう!
「下見に行ってきたのね」
わたしが聞くと順子は頷きました。
「いろいろと欲しいものがあってね……」
「ん、分かってるわ。資金提供ね」
「ふふ。流石お母さん。話が早い」
もう順子ってば。
我が子ながらちゃっかりしているんだから!




