第16話 まぁ……こうなりますよね
乳飲み子がだんだん幼児になっていく。
子どもの早い成長を眺めながら、わたしは娘夫婦に振り回された生活を続けていました。
「わたしの子育ては終わったはずなのに」
「はははっ。「立っている者は親でも使え」っていうじゃない」
「もうこの子ったら」
子育てでヘロヘロしながら娘の軽口は変わりません。
産後しばらくは流石に様子が変でしたが、育児休暇中に元の性格がしっかり戻ってきました。
子どもを産んで親になったから変わるかな、と思っていましたが、わたしが甘かったです。
順子は育児休業を終えて仕事に復帰しました。
1995年の法改正で育児休業中もお金が出るようになりましたが、給付率は25%程度と高くはありません。
しかも他のお金回りとも連動してしまうので、長く休むことになると経済的なダメージが大きくなります。
幸い、順子の体調は順調に回復しました。
とはいえ、出産後の体で子育てしながら働くのは心配です。
本人は経済的なことを考えて、もっと早く復帰したかったようですが、周りで説得してギリギリまで休んでもらいました。
それでも1年間程度で復帰です。
過保護かもしれませんが、わたしは心配でした。
「私たちの知り合いは夫婦で頑張っている家が多くて、もっと放任なのに」
そう言って順子は笑いますが、わたしは心配です。
健太郎さんも、はっきりは言いませんが、心配なようです。
ですがお金回りのことは、健太郎さんのほうが詳しいですからね。
若い夫婦の決定に口出しするわけではなく、わたしに「出来るだけのことはしてあげて」と囁く程度です。
「わたしも放任でいいの? 玲子ちゃんの送り迎えもいらないのかしら?」
「あー、それはダメー! わーん、お母さん、お願い~」
「もう、しょうがないわね」
順子が仕事に復帰するのは実家を頼ることが前提です。
とはいえ、わたしは最近の子育てのことなどわかりませんし、もう年ですからね。
預かりっぱなしというわけにはいきません。
日中は保育園に預け、夕方に順子が迎えに来る、というスタイルにすることで話はまとまりました。
ですが本格的に働きだした順子に、日々の家事まで手が回ることもなく。
保育園の送り迎え担当はわたし、平日の夕食は我が家、平日の夜は我が家へ宿泊、順子だけでなく哲也さんも一緒に宿泊となるまでにそう時間はかかりませんでした。




