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恋焦がれた君に堕ちるまで  作者: ChaCha


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適性診断

王立学園の朝は、やけに眩しい。


石畳に反射する光。

高い天井。

行き交う制服姿の生徒たち。


……広い。


とにかく、広い。


私は、思わず立ち止まり、

首が痛くなるほど見上げた。


「すご……」


これが、学園。


これから、ここで学ぶ。

魔術を、使う。

夢にまで見た、魔法の世界。


胸が、そわそわする。


最初の行程は、適性診断だった。


魔力量、操作性、属性傾向。

それらを測って、

どの学科に進むかの参考にするらしい。


私は、白衣の先生の前に立った。


柔らかい笑顔。

優しそう。


「これから伸ばしていくのが、楽しみですね!」


……ん?


「……あの」


恐る恐る、聞いてみる。


「魔術科で、私は……やっていけそうですか?」


一瞬、先生は間を置いた。


そして。


にっこり。


「気合いで!」


「……き、気合いで……?」


笑顔のまま、続く。


「筋肉で!」


「……き、筋肉で……?」


……魔術って、筋肉いるんだっけ?


先生は、最後までにこやかだった。


「大丈夫ですよ。

努力は、裏切りませんから!」


にっこり。


私も、反射的に、にっこりした。


……何だろう。


この、

気合いと筋肉って。


測定器の前を離れながら、

首を傾げる。


「……?」


そのとき。


ざわ。


ざわざわざわ。


一気に、周囲が騒がしくなった。


……なに?


視線が、

一点に集まっている。


――アデルだ。


分かってしまった。


へなちょこスタートな私と違って、

彼の周囲は、

空気が、まるで違う。


「すごい……」


「桁が、違う」


「見た?今の……」


先生たちの声も、弾んでいる。


ずば抜けた、魔力量。

緻密な、魔力操作。

展開の、速さ。


え?


学ぶ前から、

もう卒業じゃないですか?


ヒソヒソ。


「ハミルトン……?」


「えっ、あのハミルトンさまの?」


……へ?


ハミルトン家って、

そんなに有名なの?


知らなかった。


いや、

知ろうとしてなかった。


ぼんやり考えていると、

その中心から、

アデルが、こちらへ歩いてくる。


注目の的。


来るなー。


来るんじゃないー。


心の中で、全力で念じる。


……きたー。


「ぷはっ!」


いきなり、吹き出した。


「なんて、顔してるんだよ」


わしゃわしゃ。


頭を、撫で回される。


「やめて!」


慌てて、手を払う。


「せっかくの学園デビューで、

お洒落が台無しになる!」


アデルが、顔を近付けて、

耳元に声を落とす。


「それは、俺のために?」


「違うからっ!」


即答。


周囲の視線が、

さらに集まる。


はー。


やれやれ。


本当に、ブレない。


そのとき。


「みなさーん!」


よく通る声が、響いた。


「各自、線に沿って進んで下さーい!」


床に引かれた光の線が、

次の会場へと伸びている。


アデルが、手首を軽く引いた。


「ほら、行くぞ」


「うん!」


足取りは、軽い。


「わくわくする」


本心だ。


本当に、これから

魔術、使い放題。


打ち放題。


RPG好きの私は、

ずっと、魔術師が好きだった。


杖。

詠唱。

派手なエフェクト。


頭の中で、

勝手に想像が広がる。


「ぶっぱなすぞー!!」


思わず、拳を上げた。


「……簡単には、いかないだろ」


アデルが、ぽそっと呟いた。


その声は、

私の耳には、届かなかった。


学園の中庭に出た瞬間、

私は、再び、圧倒された。


広さ。

設備。

訓練場の数。


思わず、両手を合わせる。


「……ありがたや……」


拝んだ。


ここが、

私の新しい世界。


不安もある。

差も、見えた。


それでも。


この場所で、

私は、踏ん張る。


気合いと、筋肉で。


……多分。


そう思いながら、

私は、光の線の先へと進んでいった。



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