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第9話 穢れの名

 翌日、僕は学校へ登校する。日浄さんのことは心配だが、僕にできることはない。登校途中、勝也と会い一緒に登校する。教室に入ると井上が話しかけてくる。

 「斎藤と連絡とったか。」「とっていないよ。」

勝也が答える。

 「斎藤の奴、メッセージ送っても既読が付かないし、電話も出ないんだ。昨日一緒に遊ぼうと思っていたのに。」「忙しいのだろ。」

松本が教室に入って来る。井上は松本に話しかけに行く。教室には斎藤の姿はない。いつもなら来ていてもいい時間だ。とうとう始業のチャイムが鳴る。井上が言う。

 「斎藤の奴、さぼりかー」「斎藤は真面目だから病気かもしれないぞ。寝込んでいたらスマホに出ないだろ。」「そうだな。」

勝也の言葉に井上が納得する。教室に担任が入って来る。教壇に着くと黙ったまま立っている。僕は嫌な予感がする。

 「先生ー、どーしたの。」

クラスの誰かが言う。担任はうつむく、そして、肩が震えている。僕の予感は確信に変わる。ここにいないのは斎藤だ。僕は斎藤を殺す夢を見ている。

 「みんな、つらい知らせがある。斎藤君が殺された。自分の家の中でだ。」

担任が話し始めると教室が凍り付く。顔を赤くして涙を流す女子もいる。井上は青ざめている。担任はさらに続ける。

 「このクラスから三人の仲間が殺されている。理由に心当たりがある者は先生に話してくれ。」

担任はそこまで言うと涙を流し出す。

 午前の授業が始まるが、調子を崩す生徒が出て授業どころではなかった。

 昼休み、楠木のスマホに電話がある。僕は楠木に教室から呼び出される。僕たちは空き教室で話をする。

 「日浄さん、意識が戻ったそうよ。それで私たちに会いたいそうなの。午後、授業を休んで会いに行かない。」「いいよ。行こう。」

僕たちは体調が悪いと言って早引けする。僕たちは一緒に校門を出て病院へ向かった。勝也が僕たちが校門を出るところを見ていたが、僕は気づかなかった。

 病室に到着すると日浄さんは元気そうだった。

 「すぐに帰りたいと言ったんだが、もう一晩泊まることになってしまった。」「良かった。死んでしまうかと思ったんですよ。」

 「友里ちゃん、人工呼吸してくれたんだってね。助かったよ。」「生きていたか。坊主。」

 「日下君ではないね。何と呼んだらよいのかな。」「アタラと呼ぶが良い。」

 「アタラよ。なぜ、人を殺す。」「お前は生きているだろう。」

 「殺し損ねただけだろう。」「しぶとい坊主よ。我は眠りから起こした連中に挨拶をしているだけだ。」

 「やはり、お前は滅せねばなるまい。」「死にかけの坊主が何を言う。」

この時、日浄は丹田に集中した気を一気に放出する。楠木には、光喜の黒い頭が波打ったように見える。光喜は元の頭に戻る。しかし、黒いものは光喜を覆っている。

 日浄は大粒の汗をかいて苦しそうにしている。楠木が声をかける。

 「大丈夫ですか。」「今のが私の精一杯だ。アラタは動きを止めたはずだ。これを日下君に渡してくれ。」

日浄は楠木に護符を渡す。楠木は日下に声をかける。

 「日下君よね。」「僕は何をしていたんだ。」

 「穢れに体を乗っ取られていたのよ。」「まさか、日浄さんに何かしたんじゃ・・・」

 「穢れは日浄さんが抑えてくれたわ。この護符を身に着けているのよ。」「ポケットに入れておけばいいかな。」

楠木は自分が身に着けていたお守りの袋に護符を折りたたんで入れて日下に渡す。

 「楠木のお守りまでもらっていいの。」「日下君、穢れに負けないでね。」

日浄が光喜に説明する。

 「穢れのアラタは私の気を浴びて動きを止めている。今のうちに護符を身に着けて、体を乗っ取られないようにするんだ。」「分かりました。」

光喜は護符の入ったお守りをポケットに入れる。

 僕は楠木と日浄さんのしてくれたことに報いるため、アラタに体を乗っ取られないように強い意志を持とうと考えた。

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