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第8話 小山再び

 僕が気がつくと日浄さんが担架で運ばれていく。僕には何が起こったのかわからない。楠木が僕に聞く。

 「日下君、大丈夫?」「大丈夫だけど訳が分からないよ。」

 「いつもの日下君のようね。」「何があったの。」

 「日浄さんが倒れたのよ。呼吸はしているけど、意識はないわ。」

すると突然、声をかけられる。

 「君たち事情を知っていそうだね。」「おじさん誰?」「刑事の小山だよ。」

 「光喜君、せめてさんをつけたらどうだい。私を嫌っていることが丸わかりだよ。」「どうして、ここにいるんだ。」

 「事件だからさ、住職の首には首をしめた痕がある。そして、光喜君がいる。どういうことかな。」

楠木は小山刑事が日下君を疑っていると思う。僕は隠しても何にもならないので正直に話す。

 「僕は日浄さんにお祓いをしてもらっていました。途中で気を失って、気がついたら日浄さんが担架で運ばれていたのです。」「君は肝心なところは何も知らないというのだね。」

 「正直に話しています。」「日下君の言うことは本当です。」

 「君は光喜君の彼女かな。」「クラスメイトです。」

 「親しそうに見えるがいいか。私は東警察署の刑事だ。自己紹介をお願いするよ。」「私は楠木友里。日浄さんとは幼い時から仲良くしてもらってます。」

 「友里ちゃんは、何を見たのかな。」「お祓いの一部始終を見ていました。」

 「それを教えてくれ。」「日浄さんは日下君を白装束に着替えさせて縄で縛り、護摩を焚いて準備しました。」

 「なぜ、縄で縛るのかね。」「難しいお祓いだと言っていました。おそらく暴れないためだと思います。」

 「そして、お祓いをしたんだね。」「日浄さんがお経を唱えると日下君は苦しみだして気絶しました。その後、日常さんが倒れたのです。」

 「おかしいじゃないか。誰が首を絞めたんだい。大事なところが抜けているよ。」「これが全てです。」

 「おいおい、悪魔でも出てくるのかな。そんな話は通用しないよ。これは二人とも署に来てもらって。事情を聞かないとなー。親御さんにも来てもらおうか。」「嘘は言っていません。」

 「友里ちゃん、こんな話が通ると思っているの。」

楠木は、スマホの動画を見せたくなかった。光喜が首を絞めていることは間違いないのだ。刑事は穢れの仕業と言っても信じないだろう。しかし、もう動画を見せるしかない。

 「私、スマホで動画を撮っていました。」「そうか、最初から言ってくれればよかったんだ。」

小山はスマホの画面を見る。動画は再生されていく、楠木は驚く。動画は楠木が見た物とは違っていた。光喜の黒くなった頭は映っていない。光喜の頭は変わらず映っている。

 当然、黒い鞭のようなものが日浄の首を絞める部分の映っていない。黒いものは撮影されていない。

 小山は動画を見た後、しばらく黙り込む。動画は楠木の言うとおりだった。小山は光喜に言う。

 「住職を坊主とは失礼だぞ。」

小山は頭をかきながら、二人から離れる。

 僕は、楠木から気絶していた時にあったことを教えてもらう、お祓いは失敗したらしい。それより、日浄さんの容態が気になる。

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