第45話 同棲
僕は退院して帰宅する。今日は学校を休んでいる。することもなく自分の部屋で考え事をしているとスマホに電話がかかって来る。
「日下君、体は大丈夫。」「大丈夫だよ。楠木。」
「お父さんがひどいことをしてごめんなさいね。」「楠木のせいじゃないよ。」
「あのね。私、家出をしたの。泊めてくれる。」「いいけど。お母さんが心配するよ。」
「心配はしないのよ。世間体を気にするだけよ。」「酷いなそれ。楠木一緒にいよう。」
その日から、僕と楠木は同棲を始めた。とは言っても僕には解決しなければならない問題がある。アラタのことだ。
僕は、問題が解決するまで、楠木と関係を深めないと心に誓う。
数日後、僕と楠木は学校へ登校する。教室に入っても誰も話しかけてこない。勝也はつらそうな顔をしている。
ホームルームの時間になると担任が教室に入って来る。担任は僕と楠木に声をかける。
「日下と楠木は、この後、職員室に来てくれ。」
担任が教室を出ると僕と楠木はついて行く。担任は職員室に入り自分の席に着くと疲れたようにため息をつく。
「学校中のうわさになっているぞ。お前たち、同棲しているのか。」「楠木の両親が来たのですか。」
「いいや、楠木のご両親に連絡を取ろうとしているのだが、話もしてくれなくてね。」「僕たちは同棲しています。」
「お前らまだ未成年なんだぞ。楠木は家に帰れ。」「私は家には帰りません。」
「困った奴らだ。注意はしたからな。それから学校には出てこい。もういいぞ。」
担任は僕たちの事情を察しているようだった。楠木が僕に言う。
「同棲はやめないからね。」「うん。分かった。」
放課後、僕たちは願本寺へ行く。僕は日浄さんに気のコントロールを復習しながら教えてもらう。
僕はさらに強力な気を使ってアラタを消そうと考えている。
僕たちはスーパーマーケットで買い物を済ませると家に帰る。夕食を済ませると居間でテレビを見ながら会話して過ごす。そして、自分たちの部屋に行く。
楠木の部屋は父の書斎を使ってもらっている。僕は久しぶりの登校で疲れたのか、すぐにベットに入って寝る。
僕はまたリアルな夢を見る。学校の体育館だ。照明は点いていないが非常口の表示の明かりで分かる。体育館には、他に誰かいる。
僕は近づいて行く。川口だった。川口は僕を見ると後ずさる。
「日下、本物か。化け物じゃないよな。」「・・・・・」
「何か言ってくれよ。怖くて漏らしそうだ。」「我に求めているのか。」
「ああーーーーーーーーた、助けてくれーーー」
川口は慌てて逃げだす。体育館から出ようとするがうまく出られない。川口は完全に混乱していた。
僕は集中して気を丹田に集める。力をためて、爆発を起こして、アラタを動けなくする。失敗したら川口が殺される。
アラタは右腕を黒い鞭のようにする。そして鞭を振るう。同時に僕は集めた気を爆発させる。アラタが膝をつく。
「光喜、やりおったな。体を返すぞ。」
僕に体が戻る。僕は川口に駆け寄る。
「川口、大丈夫か。」「・・・・・」
返事はない。鞭は川口の首を打ち据えていた。川口は首の骨が折られていた。僕は間に合わなかったのだ。




